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本稿では日本におけるコミュニティバスについて説明する。
 
== 概要 ==
コミュニティバスは、市街地で公共交通サービスを提供するほか、市街地内の主要施設や観光拠点等を循環する路線などさまざまな種類のものがある。いずれも従来の[[路線バス]]によるサービスを補う公共交通サービスとして運行されている。
 
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自治体が民間のバス会社に運行を委託し、運行経費の[[赤字]]分を自治体が補填する方式が一般的であるが、[[新宿区]]のようにバスの購入費のみを自治体が補助する場合もあるなど、その形態は様々である<ref name="nikkei201207"/>。[[狭隘路線]]であったり利用者が少ない場合は、小型のバスが使用されることが多い<ref name="nikkei201207"/>。
 
=== 定義 ===
「コミュニティバス」は法的に明確に定義されている概念ではない。法的には、普通の[[路線バス]](乗合バス)と同様、[[道路運送法]]などの規定に従う。
 
国土交通省の「コミュニティバスの導入に関するガイドライン」では、「本ガイドラインで『コミュニティバス』とは、交通空白地域・不便地域の解消等を図るため、市町村等が主体的に計画し、以下の方法により運行するものをいう」として「(1) (1)一般乗合旅客自動車運送事業者に委託して運送を行う乗合バス(乗車定員11人未満の車両を用いる「乗合タクシー」を含む。) (2) )(2)市町村自らが自家用有償旅客運送者の登録を受けて行う市町村運営有償運送」と定義している。
 
=== 運行形態 ===
コミュニティバスは、既存のバス事業者またはその子会社が運行するもの、貸切バス事業者が運行するもの、地方自治体が運行するものなどがある。自治体が運行する場合にあっても、地方自治体が[[国土交通省]]から運行許可を取得し、実際の運行は地元の貸切バス事業者や交通局(地方公営企業)に委託することもある。これは、コストや車両管理、運転士の雇用の関係である。
 
=== 運営 ===
京都市[[醍醐]]地区の「[[醍醐コミュニティバス]]」、[[四日市市]]の「[[生活バスよっかいち]]」などのように、沿線住民が路線の設定等、運行計画に当初から関与していくケースがある。
 
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実際の運営方式は、大まかには以下のように分類できる。
 
=== 一般的にコミュニティバスとされるもの ===
; 運行主体が自治体で、業務を民間に委託している場合
:* 全国のコミュニティバスブームの火付け役となった、[[東京都]][[武蔵野市]]の[[ムーバス]]などのように、計画や運営は自治体が行うが、実際のバスの運行業務は民間のバス事業者に委託している場合である。収益が出た場合は自治体のものとなることが多く、バス事業者へは収益の有無にかかわらず、運行委託に関わる費用を支払う。多くのコミュニティバスはこの形態であり、公営バスの民間委託と似たような形態である。
:* 自治体が費用を支出するため、運賃は通常の路線バスより安価で、100円程度の均一運賃であることが多い。
:* [[自治体バス]]の一形態ではあるが、一般的に自治体バスは地方の廃止代替バスなどを指すことが多く、コミュニティバスとは分けて考えることが出来る。
 
; 運行主体がバス事業者で、自治体が補助金を出している場合
:* 民間のバス事業者が通常の路線バスと同じように開設し運営する。営業収益はバス事業者の収益となることが多いが、運営に際しての費用(車両・燃料費など)や運行赤字分は自治体が補助金を支出する。また、開設までのルートや運行本数などに関しては、自治体や地域の町内会などと協議を重ねることが多い。近年開設された都市部のコミバス路線はこの方式が多い。路線開設や車両保有の際、バス事業者と自治体の連名になることがある。
:* 民間のバス事業者が運営するが、自治体が補助をするため、長期にわたる大幅な赤字計上の場合でも、路線退出せずに継続運行する場合がある。
 
=== 厳密にはコミュニティバスでないもの ===
; [[自治体バス|自治体運営バス]]([[廃止代替バス]]など)
:* すべての業務を自治体自身が行っており民間事業者に委託していない場合と、運行業務を民間事業者に委託している場合である。主に山間部や過疎地域の[[廃止代替バス]]などの市町村営バスが該当する。名称は[[小鹿野町営バス]]のように、自治体名がつけられていることが多い。これらはコミュニティバスとされることは少なく、どちらかと言えば[[公営バス]]の形態に近い。[[十津川村営バス]]が最初である。
:* [[都営バス]]や[[大阪市営バス]]などのような一般の[[公営バス]]は、地方[[公営企業]]として公営企業会計が適用され、[[一般会計]]と分離され、[[特別会計|独立採算]]による運営であるという点でコミュニティバスと大きく異なる。ただし、赤字基調であり、一般会計から繰出(運行補助)を行い、運行を支えている場合や、民間のバス事業者に運行業務を委託している場合がある。
 
; バス事業者の路線に対し、自治体が補助金を出している場合
:* バス事業者が運行するバス路線に対し、自治体が補助金を出すことがある。これは、事業者が退出意向を表明した路線や、山間部・地方などの過疎路線などの存続のため、自治体が補助金を出したり赤字分を補填する場合や、[[神奈川中央交通町田営業所|町田市民バス(まちっこ)]]のように、公共交通の利便性向上や利用促進などの何らかの理由により、通常の事業者負担では実施しにくい(赤字となりやすい)低運賃の路線を開設させる場合などに行われる。基本的に収益はバス事業者の収益となり、路線開設・変更やダイヤ改正の届出などは事業者が行う。
:* 前述のように、近年開設されるコミュニティバスはこれと似た方式であることが多く、これら自治体補助の通常バス路線の中には、コミュニティバスとの区別がつきにくいものも存在する。
 
; すべての業務をバス事業者が行い、自治体が関与しない場合
:* これは、通常の[[路線バス]]の運行方式そのものである。コミュニティバスの先駆とも言われる[[日本城タクシー|日本城バス]]<ref>[http://www.kawachi.zaq.ne.jp/dpcxp600/page005.html 路線バス あびこ]</ref>など小型車両を使用し狭い路地などを走行する路線の場合は、コミュニティバスと混同される場合がある。
 
このように、コミュニティバスと一般の路線バスの線引きは大まかにしか出来ず、またそれぞれを混同しやすくなっている。ひとつの自治体やバス事業者に上記のような複数の運営方式のバス路線が存在すること、コミュニティバスのはっきりとした定義が存在しないことなどが、その一因と考えられる。
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== 共通的な特徴 ==
概ね次のような特徴を持つ事が多い。
 
=== ルート・路線 ===
[[ファイル:Hachiko bus in Sendagaya, Shibuya, Tokyo.JPG|thumb|right|本来[[通行止め|大型車進入禁止]]の道路でも、コミュニティバスのために路線バスが除外指定されていることがある([[渋谷区]])]]
 
* 既存の[[バス停留所]]・[[鉄道駅]]などから遠く(300m程度)、また[[公共交通機関]]空白地帯で、狭隘路・坂道があったり、需要が小さいなどの理由により、通常のバス路線を導入する事が困難な地区を対象としている。
* 住宅地と、市役所などの公共施設・[[医療機関]]・金融機関・繁華街・ショッピングセンター・[[交通結節点]]([[鉄道駅]]・[[バスターミナル]])などを結ぶ。
 
* 一直線から程遠い巡回型の経路設定や循環路線が多く見られる。また一方通行の循環路線も多い。
* 住宅地と、市役所などの公共施設・[[医療機関]]・金融機関・繁華街・ショッピングセンター・[[交通結節点]]([[鉄道駅]]・[[バスターミナル]])などを結ぶ。
* 通常のバス路線よりも、停留所の間隔が一般的に短く、細かく停留所が設置されている。この特徴のため、既存のバス路線を補うように運行されている場合もある。
 
* 路線上に存在する事業所(小売店舗・工務店・医院等)がバス運行に協賛している場合、その事業所名が停留所名として採用されることもある<ref>変わった例では、青森県[[今別町]]が運行する「[[今別町巡回バス]]」で、「(個人名)宅前」というバス停<!---このPCでは外部リンクが貼れませんので「http://www.town.imabetsu.lg.jp/bus/」からPDFリンクの時刻表が開けます。--->がある。</ref>。
* 一直線から程遠い巡回型の経路設定や循環路線が多く見られる。また一方通行の循環路線も多い。
* 中心地から離れた集落など、利用の少ない停留所は要望や予約が無ければ経由しない路線もある([[デマンドバス]]も参照)。
 
* 停留所には[[駅ナンバリング]]のように番号が振ってあるところもある。ナンバリング設定後にバス停を新設する場合、前後のバス停の番号に枝番号をつけたものを付与して対応することがある。
* 通常のバス路線よりも、停留所の間隔が一般的に短く、細かく停留所が設置されている。この特徴のため、既存のバス路線を補うように運行されている場合もある。
 
* 路線上に存在する事業所(小売店舗・工務店・医院等)がバス運行に協賛している場合、その事業所名が停留所名として採用されることもある<ref>変わった例では、青森県[[今別町]]が運行する「[[今別町巡回バス]]」で、「(個人名)宅前」というバス停<!---このPCでは外部リンクが貼れませんので「http://www.town.imabetsu.lg.jp/bus/」からPDFリンクの時刻表が開けます。--->がある。</ref>。
 
* 中心地から離れた集落など、利用の少ない停留所は要望や予約が無ければ経由しない路線もある([[デマンドバス]]も参照)。
 
* 停留所には[[駅ナンバリング]]のように番号が振ってあるところもある。ナンバリング設定後にバス停を新設する場合、前後のバス停の番号に枝番号をつけたものを付与して対応することがある。
 
=== 車両 ===
* 中型以下の車両を用い、それまで大型車両の入れなかった道幅の狭い住宅街等へも路線を延ばすことが可能。使用される小型バスは[[日野・リエッセ|リエッセ]]や[[日野・ポンチョ|ポンチョ]]のほか、[[オムニノーバ・マルチライダー|マルチライダー]]、[[クセニッツ]]社のバスなど外国製の車両を導入した例もある(金沢市など)。輸送量が少ない路線では[[トヨタ・ハイエース|ハイエース]]などの[[ワンボックスカー]]やセダン型タクシーも用いられる。
 
* 低床で[[バリアフリー]]に対応した[[ノンステップバス]]や車椅子用リフト付きバスが使用されることが多い。
* 低床で[[バリアフリー]]に対応した[[ノンステップバス]]や車椅子用リフト付きバスが使用されることが多い。

燃料に[[天然ガス自動車|圧縮天然ガス(CNG)]]や[[LPG自動車|液化石油ガス(LPG)]]を使用したり、[[アイドリングストップ]]機構を搭載したり、[[電気自動車]]に改造されたりするなど[[低公害車|公害の低減]]がなされているものが多い。
 
<gallery>
ファイル:Dazaifu City Community Bus 7777.jpg|[[まほろば号]] [[日野・ポンチョ]]
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=== 運賃など ===
* 地域によって様々な仕組みがとられている。多くに用いられている仕組みには、100円から200円程度の均一料金制、既存バスに合わせた運賃制度などが挙げられる。一般的には、既存バスよりも安い運賃設定が取られている。地域によっては無料のところもあるが、送迎バスに近く、有償を前提としたバス事業としては別のものとして考えるべきである。
 
* 大都市圏のコミュニティバスにおいては委託業者によっては、東京近郊地域の[[バス共通カード]]や[[PASMO]]、大阪近郊地域の[[スルッとKANSAI]]や[[ICOCA]]などの[[乗車カード|SFカード]]が使える地域がある。
* [[一日乗車券]]や[[回数券]]、[[定期券]]を発行している自治体もある。定期券の場合、一般のバス路線と同様に、通学、通勤定期券の用意がある場合がある一方、高齢者や身体障害者等にのみに発行する場合(福祉乗車証目的)もある。
 
** 自治体の財政難から、自動車学校の送迎バスを福祉バスとして活用させてもらう地域もみられるが、この場合は自治体が学校側と協定を結んだうえ、利用対象者(高齢者・障害者)に利用券を交付する形態を採ることが多い。
* [[一日乗車券]]や[[回数券]]、[[定期券]]を発行している自治体もある。定期券の場合、一般のバス路線と同様に、通学、通勤定期券の用意がある場合がある一方、高齢者や身体障害者等にのみに発行する場合(福祉乗車証目的)もある。
** 正式な「路線バス」ではないが、許認可(運賃収受・停留所設置など)の都合上から、バス運行を行うNPO法人に運行経費の出資をし、会員証の発行を受けた住民のみを利用対象としているものもある。
 
* 一般路線との平行区間では、路線バスより安い運賃で利用できる区間<ref>一例として、青森県弘前市内おいて、弘前駅前から(弘前)市役所前間を利用する場合、一般路線バスだと170円(但し、「弘前さくらまつり」期間中は該当区間も100円で利用可能)だが、土手町循環バス(コミュニティバス)だと、100円で利用できる例など。</ref>も存在する。
** 自治体の財政難から、自動車学校の送迎バスを福祉バスとして活用させてもらう地域もみられるが、この場合は自治体が学校側と協定を結んだうえ、利用対象者(高齢者・障害者)に利用券を交付する形態を採ることが多い。
* 車両運用の都合上、終着後ただちに系統番号を変え、または同じ循環経路に入る連続運行が行われる場合にも運賃計算を打ち切らず通算し、一旦下車の必要もない地域も存在する。通常、A-B間とB-C間は独立して運行しているが、A-C間を続けて運行する便にB停留所を跨いで乗車した場合(循環路線の場合は始終点を跨いだ場合)であっても改めて初乗り運賃が発生しない、と云う訳である。
 
** 正式な「路線バス」ではないが、許認可(運賃収受・停留所設置など)の都合上から、バス運行を行うNPO法人に運行経費の出資をし、会員証の発行を受けた住民のみを利用対象としているものもある。
 
* 一般路線との平行区間では、路線バスより安い運賃で利用できる区間<ref>一例として、青森県弘前市内おいて、弘前駅前から(弘前)市役所前間を利用する場合、一般路線バスだと170円(但し、「弘前さくらまつり」期間中は該当区間も100円で利用可能)だが、土手町循環バス(コミュニティバス)だと、100円で利用できる例など。</ref>も存在する。
 
* 車両運用の都合上、終着後ただちに系統番号を変え、または同じ循環経路に入る連続運行が行われる場合にも運賃計算を打ち切らず通算し、一旦下車の必要もない地域も存在する。通常、A-B間とB-C間は独立して運行しているが、A-C間を続けて運行する便にB停留所を跨いで乗車した場合(循環路線の場合は始終点を跨いだ場合)であっても改めて初乗り運賃が発生しない、と云う訳である。
 
=== 運行システム・その他 ===
* 中規模以上の都市では高頻度運行(15分毎〜30分毎など)、[[ダイヤグラム|パターンダイヤ]]となっていることが多い。
 
* 住民に親しみをもってもらうため、愛称を公募して採用したり、車体のデザインや色の工夫もある。
* 路線維持のため、沿線の世帯ごとに毎月一定額の経費負担を行ったり、回数券を購入するといった協力が行われている地域もある。
 
* 決められた曜日のみ運行したり、毎日運行であっても学校の終業時刻に合わせ、曜日ごとに時刻が変わる路線もある。土曜・休日・[[お盆]]は運休する場合もあり、ほとんどの場合、[[年末年始]]は全便運休となる。大和高田市の「きぼう号」のように、月曜運休(祝日にあたる場合は運行)という地域もみられる。
* 路線維持のため、沿線の世帯ごとに毎月一定額の経費負担を行ったり、回数券を購入するといった協力が行われている地域もある。
* 通勤時間帯とデータイムでは異なる運行経路をとる地域も存在する。例として、北名古屋市の「[[きたバス]]」では朝夕に各住宅地と駅を往復し、昼間は公共施設・病院・商業施設等を循環する。
 
* 似た事例として、時間帯により運行形態が変わる地域も存在する。木津川市の「[[きのつバス]]」は奈良交通の一般路線と重複する区間が多いが、通勤通学に利用される朝晩は従来通り奈良交通が直接運行、主に高齢者が利用する昼間時にコミュニティバスとして集落内も経由する方式を採っている。また、飯田市においても信南交通が運行受託する「市民バス」の走らない時間帯は、地元タクシー会社が運行受託するデマンドタクシー「いいだ愛のりタクシー」を利用する仕組みが採られている。
* 決められた曜日のみ運行したり、毎日運行であっても学校の終業時刻に合わせ、曜日ごとに時刻が変わる路線もある。土曜・休日・[[お盆]]は運休する場合もあり、ほとんどの場合、[[年末年始]]は全便運休となる。大和高田市の「きぼう号」のように、月曜運休(祝日にあたる場合は運行)という地域もみられる。
* 美濃加茂市ではタブレットをバスに車載、音声合成でアナウンスを流し、時間・区分別乗降人数を記録する新太田タクシー開発のシステムを導入している。
 
* [[横浜市]][[港北区]]で運行されている[[菊名おでかけバス]]は、福祉運送施設からバスを間借りし、ボランティアが運転する方式をとる。運賃は無料であるが、会員でないと乗れない。
* 通勤時間帯とデータイムでは異なる運行経路をとる地域も存在する。例として、北名古屋市の「[[きたバス]]」では朝夕に各住宅地と駅を往復し、昼間は公共施設・病院・商業施設等を循環する。
 
* 似た事例として、時間帯により運行形態が変わる地域も存在する。木津川市の「[[きのつバス]]」は奈良交通の一般路線と重複する区間が多いが、通勤通学に利用される朝晩は従来通り奈良交通が直接運行、主に高齢者が利用する昼間時にコミュニティバスとして集落内も経由する方式を採っている。また、飯田市においても信南交通が運行受託する「市民バス」の走らない時間帯は、地元タクシー会社が運行受託するデマンドタクシー「いいだ愛のりタクシー」を利用する仕組みが採られている。
 
* 美濃加茂市ではタブレットをバスに車載、音声合成でアナウンスを流し、時間・区分別乗降人数を記録する新太田タクシー開発のシステムを導入している。
 
* [[横浜市]][[港北区]]で運行されている[[菊名おでかけバス]]は、福祉運送施設からバスを間借りし、ボランティアが運転する方式をとる。運賃は無料であるが、会員でないと乗れない。
 
== 課題 ==
{{独自研究|section=1|date=2008年11月}}
 
; 安易な導入
:* 他の自治体で導入しているから、またコミュニティバスが流行しているからという安易な理由で導入される傾向がある。
 
; サービスの妥当性の検証
:* 住民・地域団体の求めにより路線・停留所を決めて運行開始することが多いため、運行地域、運行回数、運行時間帯など、一般に需要量に比べて過剰サービスに陥りやすい。
:* 反面通勤需要を軽視されることがあり、朝は7時台から走っていても17時 - 20時台で最終便という路線も多い。これには需要の問題だけでなく住宅地内での騒音・振動の問題もある。通勤需要より高齢者などの交通弱者の需要や通学需要([[スクールバス]]を兼ねているものもある)を優先しているコミュニティバスが多いからである。
:* 特定の曜日のみ運行される場合、路線自体は病院の前を通過していても毎日診察が行われない診療科目を受診できなくなる問題が発生するおそれがある。
 
; 運行区域の制約や所要時間の増大
:* 行政主導の場合、なるべくその市区町村内のみを通るように路線を計画する傾向があり、隣接する市区町村内の商業地や鉄道駅などに乗り入れることで利便性が向上する場合であっても、それが実現できない問題がある。ルート上、隣接する市区町村内を通行する場合であっても、既存の路線バス停が設置されている場所でも、設置されない場合が多い。
:* 各路線のターミナルを役場や総合病院としている地域において、一部の路線しか鉄道駅を経由しない事例が見られる。この形態は、主に地域の公共施設を利用する住民にとってはさほどの不便さが無くとも、鉄道を利用して訪れる外来者からは乗り継ぎが増加して利用しづらくなる傾向にある。
:* 営業区域が広範に亘りながら、旅客需要や車両台数の制約から単純な往復や一方循環ではない複雑な経路をとる地域が見られる。そのため、所要時間の増大が見られる。これが原因で利用が敬遠されることがある。
:* 前記のように、コミュニティバスが地域中の公共施設等に乗り入れ、迂回するルートとなるために所要時間が伸びるのが嫌われ、既存一般バス路線からの利用転移が想定ほど進まなかった事例もある。
 
; 弾力的な見直しが困難
:* 一般に、一度始めると路線見直しや撤退が困難。特に自治体が関係することから、議会対策上も難しい。
 
; 既存路線バスとの営業面での差別化
:* 既存の路線バス事業者が委託を受けて運行するコミュニティバス路線では収支を別立てで管理する関係で、事業者が発行する[[乗車カード|バスカード]]や[[一日乗車券]]、[[ICカード]]が共通で使用できず、[[定期乗車券]]も設定されないケースが多い。自治体が発行する[[福祉乗車証]]についても路線によって利用の可否が分かれる。
 
; 政争に利用される可能性
:* 市町村長選挙や議会選挙時に「周辺自治体の中で、コミュニティバスが運行されていないのは、この町だけです」といった演説がなされる事があるが、前述のように「走れば黒字」という路線はかなり少ない。詳しい事情を知らない住民は「バスが走る」というだけで歓迎する向きもあるが、赤字分補填の場合でも、税金が使われる。逆に、[[交通弱者]]対策として効果を挙げている場合でも、税金による赤字補填を指して、「税金の無駄遣い」とバッシングを受ける場合もある。
:* 加えて、2002年及び2006年の[[道路運送法]]改正に伴い路線撤退が許可制から届出制になったことや、歳出削減を目的に不採算路線の切捨てを前提とした路線再編や路線廃止も認可制から届出制になった為にしやすくなった事も否めない。
 
; 安値による委託
:* コミュニティバスの運行の委託を入札制で行ったとき、(既存事業者の)今までの貢献度などが考慮されないまま、新規参入事業者が効率性を反映していない安値で入札する場合がある<ref>国土交通省「バス産業勉強会報告書」(2009年4月)p.7,p.14</ref>。
 
; 一般路線との競合
:* コミュニティバスと(既存の)一般路線バスとの路線調整が不調な地域では競合が起こっている。バス事業者からは、一般路線バスが「侵食されている」との声があり、両者の「すみ分け」が必要であるとの声があがっている<ref>国土交通省「バス産業勉強会報告書」(2009年4月)pp.77-79</ref>一方で、[[豊川市コミュニティバス|豊川市]]のように、路線バスをコミュニティバスのような運賃・路線体系に組み込むことで、両者が巧みに共存している地域もある。
 
== その他 ==
* [[日本の市町村の廃置分合|市町村合併]](平成の大合併)に関連して、合併したそれぞれの市町村の庁舎(合併以前の役所)や中心市街地相互間を連結する交通手段を確保するため、コミュニティバスの運行が開始された地域もある。<!-- 顛末等あればよいが。 -->
 
* 大災害([[洪水]]や[[津波]]など)の被災地において自家用車が浸水したと言われる中で移動手段として必要とされるコミュニティバスの支援が求められることがある<ref>2011年4月30日衆議院災害対策特別委員会における[[高橋千鶴子]]衆議院議員の[[東日本大震災]]で被災した自治体に関する発言</ref>。
 
== コミュニティバス一覧 ==