「ウインドシア」の版間の差分

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m 表記訂正。数式あとで訂正させて下さい。慣れた方がいたら偏微分記号入力して頂けたら助かります。
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'''ウィンドシアー'''(wind shear または、 windshear)、または、風のシアー。
 
'''ウィンドシアー'''とは、上昇流及び下降流を含む、風速・風向の(ないし、風ベクトル、または一方向の任意の風ベクトル成分の)、空間的かつ局所的な変化。鉛直シアは高度にz を用いると:<nowiki><math>\partial V \</math></nowiki>/:<nowiki><math>\partial z \</math></nowiki>/,また気圧高度p を用いると:<nowiki><math>\partial V \</math></nowiki>/:<nowiki><math>\partial p \</math></nowiki>/のように表現される。風が地衡風である場合は、鉛直シアは温度風方程式で与えられる。ある点におけるウンドシアは、その点における風ベクトルからシアベクトルへの回転の仕方によって、低気圧性あるいは高気圧性と呼ばれる。
 
その表記については、イを開拗音(小文字)にするか、語尾に長音(ー)をつけるか、シアかシヤか、いろいろな意見があるが、西暦2000年頃から気象庁では ウィンドシアー の表記に統一している。 [[ファイル:FAA-8083-13 Fig 7-20.PNG|thumb|right|300px|鉛直シア。風向差は僅か、風速差は10m/sほど。]]なお、シアーとは、ズレ・剪断の意味で、流体力学的には風のテンソルのgrad(傾度)のことである。
 
ウィンドシアーの単位については、その観測方法・解析方法により、種々の表現がとられる。特定の航空機に着目して、そのDFDR(Degital Data Recorder)等のデータを基に解析すれば、kt/s (MKS単位系では ms<sup>-2</sup>) となる。また、航空気象図等では、鉛直シアーとして kt/1,000ft (MKS単位系では s<sup>-1</sup>) となり、また、水平シアーの表現は kt/NM(MKS単位系では s<sup>-1</sup>) となる。さらに、ドップラー・レーダーやドップラー・レーライダーでの観測では、(隣り合う座標面の風速差という意味で、 単に、風速差 最大 kt、あるいは、kt の増加、 kt の減少 (MKS単位系では ms<sup>-1</sup>) という表記・単位が用いられる。
 
風の急変する場所にあるとき、重量のあるジェット輸送機は、[[揚力]]を急変させるが、この現象は離着陸時で揚力と高度が低レベルにある状態、及び[[音速]]に近い高速で飛行している時に問題となり、ウンドシアが注目される<ref>[[#中山 2010|中山 2010]], p.30</ref>。
飛行機はウンドシアによる対気速度減少分を補うために推力を増そうとするが、この際ジェット輸送機は、その重量のため加速が制限され、加速のタイミング遅れも手伝って事故になることもあり、またウンドシアによる対気速度の減少量が飛行機の加速性能に勝れば無事に飛行を継続できない<ref>[[#中山 2010|中山 2010]], p.35</ref>[[ファイル:FAA-8083-13 Fig 7-20.PNG|thumb|right|300px|鉛直シア。風向差は僅か、風速差は10m/sほど。]]
[[ファイル:Cirrus clouds2.jpg|thumb|right|250px|上空で鉛直シアが起こっていることを示す[[鉤状雲]]。]]
 
== ウンドシアとは ==
「ウンドシア」というのは、風の名前ではなく、風の状態である。それも、ある地点における風の状態ではなく、移動中の物体などにおける観測上の風の状態である。
 
例えば、[[寒冷前線]]を[[飛行機]]が通過する場合を例にとる。南北方向に長い寒冷前線があり、飛行機はそこを西から東に突っ切る形で航行する。寒冷前線の西側では風速8m/sの[[下降気流]]が吹き、東側では風速7m/sの[[上昇気流]]が吹いている。ここで、西側で下降気流に押さえつけられていた航空機は、東進して寒冷前線を通過したと同時に上昇気流に押し上げられることになる。ここでの風速差は15m/sとなる。
 
ンドシアを構成する2つの風は、風向が正反対の場合もあれば、お互いに直角方向の場合もあり、方向関係は様々である。また、風向が異なるウインドシアもあれば、風向が同じウインドシアもある。ある地点を境に風速が急に変わるような場合である。
 
以上では水平方向に移動する物体に対してのウンドシア(水平シア)を取り上げたが、鉛直方向のウンドシア(鉛直シア)もある。地上から目で観察する場合は、鉛直シアの方が分かりやすい。例えば、空を流れる[[雲]]を見て、高度によって雲の流れる方向や速さが違えば、それはウンドシア(鉛直シア)だといえる。
 
精密にウンドシアを観測する場合、[[ラジオゾンデ]]により上空の風を観測したり、デュアル[[ドップラーレーダー]]、[[LIDAR]]、[[SODAR]]などで地上から電波・光・音波等により観測したりする。
 
== ウンドシアの原因 ==
ンドシアは、風向の同異に関係なく、風速が強い風が吹くことが不可欠となる。この原因は、強い上昇気流や下降気流を発生させる気象現象である。具体的には、前線、発達した低気圧(時に中心部)、[[積乱雲]]内外など主なものとして挙げられるが、晴天下でも起こる[[晴天乱気流]](CAT)というものもあり、原因は多種多様である。
 
[[ダウンバースト]]の発生時にはほぼ例外なく、ウインドシアが発生する。
 
地表に近いほど、大気が[[摩擦]]の影響を受けるため、ウインドシアが起こりやすい。航空機に関しても、離着陸に関わる地表付近のウンドシア-(下層ウンドシア)の観測は、重要性が高い。
 
== 脚注 ==