「ランキンサイクル」の版間の差分

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# [[復水器]](C) --- タービンを出た高かわき度[[湿り蒸気]]は、復水器内で冷却されて飽和水となる。復水器は一種の管胴形[[熱交換器]]であり、管内に冷却水(海水)を通し、管外の蒸気を凝縮する。管外の蒸気側は冷却水温でほぼ決まる低圧に維持され、等圧冷却となる。凝縮水(復水)は復水器内底部に溜まるが、これがさらに冷却されてサブクール水となることは、この後のボイラで必要な加熱量の増加となり、まるまる損失となる。このため、タービン排気が直接復水に接触するように冷却水を通す伝熱管を配置しているので、復水器出口は飽和水となる。
 
上記の説明は、主に火力発電や大型船舶主機を念頭に置いている。原子力発電の場合は、[[加圧水型原子炉]]では[[蒸気発生器]]が、[[沸騰水型原子炉]]では原子炉そのものがボイラの役目を果たす。いずれの型であっても構造上の制約から、発生蒸気はほぼ飽和蒸気の状態でタービンへ送られる点が異なるだけである。
原子力発電の場合は、[[加圧水型原子炉]]では[[蒸気発生器]]が、
[[沸騰水型原子炉]]では原子炉そのものがボイラの役目を果たす。
いずれの型であっても構造上の制約から、
発生蒸気はほぼ飽和蒸気の状態でタービンへ送られる点が異なるだけである。
 
[[蒸気機関車]]で用いられるサイクルでは、タービンの代わりに[[レシプロエンジン|往復動式]]の蒸気機関が用いられるのに加えて、復水器が無いことが大きな違いである。この理由は、復水器が大きなスペースを要することの他に、蒸気機関の排気を煙突から勢いよく放出することによりボイラー内の通風を良くして燃焼を助けるとの積極的な目的がある。排気を放出して新たにボイラに給水するので、大気が復水器の代りを果たしており、復水器圧力が大気圧になったサイクルと同等である。
[[蒸気機関車]]で用いられるサイクルでは、
タービンの代わりに[[レシプロエンジン|往復動式]]の蒸気機関が用いられるのに加えて、
復水器が無いことが大きな違いである。
この理由は、復水器が大きなスペースを要することの他に、
蒸気機関の排気を煙突から勢いよく放出することにより
ボイラー内の通風を良くして燃焼を助けるとの積極的な目的がある。
排気を放出して新たにボイラに給水するので、
大気が復水器の代りを果たしており、
復水器圧力が大気圧になったサイクルと同等である。
 
{| class="wikitable" style="text-align:center"
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上記のように、等圧変化、等エントロピー変化を仮定したとき、T-s 線図上のランキンサイクルは図 2 のようになる。ただし、T-s 線図のサブクール水領域の等圧線は、実際はほぼ飽和水線に重なるので、ここではその間隔を拡大して表示している。また、-50 ℃ 以下の温度範囲を割愛している<ref group="注釈">-273.15 ~ -50 ℃ ( 0 ~ 223.15 K )の範囲を割愛しているので、T-s 線図の面積を熱量に対応させるには、
上記のように、等圧変化、等エントロピー変化を仮定したとき、
T-s 線図上のランキンサイクルは図 2 のようになる。
ただし、T-s 線図のサブクール水領域の等圧線は、実際はほぼ飽和水線に重なるので、
ここではその間隔を拡大して表示している。
また、-50 ℃ 以下の温度範囲を割愛している
<ref group="注釈">-273.15 ~ -50 ℃ ( 0 ~ 223.15 K )の範囲を割愛しているので、
T-s 線図の面積を熱量に対応させるには、
図の下方の割愛した部分を補って考えることが必要である。</ref>。
 
*ポンプ所要仕事:<math> w_P = h_2 - h_1</math>
 
ボイラ等で圧力損失が無視できない場合、またはタービンで等エントロピー膨張とならなかった場合でも、これらの式は、各装置出入口の実際の比エンタルピーを用いれば、そのまま用いることができる。
またはタービンで等エントロピー膨張とならなかった場合でも、
これらの式は、各装置出入口の実際の比エンタルピーを用いれば、
そのまま用いることができる。
 
このサイクルの熱効率は
と表される。
 
実用上、<math>w_P << w_T</math> であるので、<math>h_2 \simeq h_1</math>と置き換えると、ランキンサイクルの熱効率は次式で与えられる<ref name="新蒸気" />。
<math>h_2 \simeq h_1</math>と置き換えると、
ランキンサイクルの熱効率は次式で与えられる
<ref name="新蒸気" />
 
<math>
=== 熱効率に対する圧力・温度等の影響 ===
 
上式より求まる熱効率に対する復水器圧力、タービン入口蒸気圧力・温度の影響を図 3、4 に示す。
図 3、4 に示す。
<gallery widths="257" heights="200">
Efficiency of Rankine Cycle Back Pressure.svg|図 3. 熱効率に対する復水器圧力の影響
コロナ社 ISBN 4-339-04184-X</ref>。
 
前者のためには、深層取水等によりできる限り低温の冷却水を用い、また、冷却水流速、伝熱管材料、不凝縮ガス除去等の復水器の伝熱性能向上策が取られる。
また、冷却水流速、伝熱管材料、不凝縮ガス除去等の復水器の伝熱性能向上策が取られる。
 
後者の高温高圧化は熱効率改善に有効であるが、蒸気条件を単に高温高圧化するだけでは次のような問題が生じる。
蒸気条件を単に高温高圧化するだけでは次のような問題が生じる。
 
# 最高温度(500 - 600 ℃)が抑えられると、図 5 に示すように、高圧化によりタービン出口のかわき度が低下する。かわき度低下は、タービンの湿り損失増加やタービン翼のエロージョンの原因となるため、これを避ける必要がある。次項の[[再熱サイクル]]が一つの解決策となる。
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