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{{生物分類表
|名称 = ヤマナラシ属
|画像 = [[ファイル画像:Biei-tree1 2003.jpg|250px]]
|画像キャプション = イタリアポプラの樹形。北海道美瑛町の通称ケンとメリーの木
|分類体系 = [[クロンキスト体系]]
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|下位分類 = * 本文参照
}}
'''ポプラ'''({{lang-en|poplar}} , 学名{{snamei||Populus}})は、[[双子葉植物綱]][[キントラノオ目]][[ヤナギ科]]'''ヤマナラシ属'''または'''ハコヤナギ属''' に属する樹木(ハコヤナギはヤマナラシの別名)。北半球の温帯に約100種が分布する。
 
日本のポプラ属は、[[ヤマナラシ]]、[[ドロノキ]]、クロヤマナラシの3種が自生する。一般には明治期に導入された外来種をポプラと呼ぶ。
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== 特徴 ==
[[ファイル画像:Four_Poplars_in_four_seasonsFour Poplars in four seasons.JPG|thumb|ヨーロッパクロポプラの樹形。イタリアポプラと異なり横に広がる(ドイツ)]]
 
[[落葉広葉樹]]。葉は広三角形。雌雄異株で、春に花を咲かせる。花が終わるとすぐに綿毛付きの種子を大量にける。この種子が風にばされて空を舞い、並木など多数のポプラのある所では、地面が真っ白になることもある。このため、英語でコットンウッドともいう。
[[ファイル:Four_Poplars_in_four_seasons.JPG|thumb|ヨーロッパクロポプラの樹形。イタリアポプラと異なり横に広がる(ドイツ)]]
[[落葉広葉樹]]。葉は広三角形。雌雄異株で、春に花を咲かせる。花が終わるとすぐに綿毛付きの種子を大量につける。この種子が風にとばされて空を舞い、並木など多数のポプラのある所では、地面が真っ白になることもある。このため、英語でコットンウッドともいう。
 
成長が速い利点の反面、材は柔らかくて緻密さに欠け、燃えやすく強度や耐久性で劣り、用途が限られる。また寿命は比較的短く、数十年から100年程度で老木となり、台風などで倒れやすい。
 
== 品種 ==
主な品種を下記に記す<ref>[http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_srch_easy.php?any_field=Populus&family=&species=&capital=0&family_order=0&family_disp_type=1&spec_order=0&list_type=0&search=%E6%A4%9C%E7%B4%A2 倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)] - ''Populus''(2011年8月31日閲覧)</ref>
 
外来ポプラの和名は非常にややこしく、整理された和名がない。そのため同一種でも別名や別表記が多く、学術論文ですら混乱しており、植物園などの表記にも不統一なものが多い。以下の名称も統一名称ではない。
* ヨーロッパクロポプラ {{Snamei||Populus nigra}} - 別名・ヨーロッパクロヤマナラシ。ヨーロッパ原産。日本には明治中期に移入され、特に北海道に多く植えられた。
 
** [[セイヨウハコヤナギ]] {{Snamei||Populus nigra}} ヨーロッパクロポプラvar. {{Snamei|italica}} -  別名・ヨーロッパクロイタリアポプラ/イタリアヤマナラシ。ヨーロッパ原産クロポプラの改良種日本には明治中期に移入さ直立する羽状の美しい樹形で知られ、並木北海道に多く植えられた適する
* {{Snamei||Populus tremuloides}} カロリナポプラ (Carolina Poplar)  {{Snamei||Populus tremuloides}} - 別名・アメリカポプラ・アメリカヤマナラシ・カロライナハコヤナギ等。北アメリカ東部原産。イタリアポプラのように高く伸びず、樹高が低くて管理しやすく暑さに強いため、市街地の街路樹としてよく利用される。
 
* [[ギンドロ]] {{Snamei||Populus alba}}
** {{Snamei|Populus nigra}} var. {{Snamei|italica}} [[セイヨウハコヤナギ]] 別名・イタリアポプラ/イタリアヤマナラシ。ヨーロッパクロポプラの改良種。直立する羽状の美しい樹形で知られ、並木に適する。
* [[カロリナハコヤナギ]] {{Snamei||Populus angulata}}
 
* [[ナガバドロ]] {{Snamei||Populus cathayana}}
* {{Snamei||Populus tremuloides}} カロリナポプラ(Carolina Poplar) 別名・アメリカポプラ・アメリカヤマナラシ・カロライナハコヤナギ等。北アメリカ東部原産。イタリアポプラのように高く伸びず、樹高が低くて管理しやすく暑さに強いため、市街地の街路樹としてよく利用される。
* [[ヒロハヤマナラシ]] {{Snamei||Populus deltoides}}
 
* [[コトカケヤナギ]] {{Snamei||Populus albaeuphratica}} [[ギンドロ]]
* [[オオバヤマナラシ]] {{Snamei||Populus angulatagrandidentata}} [[カロリナハコヤナギ]]
* [[チリメンドロ]] {{Snamei||Populus cathayanakoreana}} [[ナガバドロ]]
* [[テリハドロノキ]] {{Snamei||Populus deltoidessimonii}} [[ヒロハヤマナラシ]]
* [[ドロノキ]] {{Snamei||Populus euphraticasuaveolens}} [[コトカケヤナギ]]
* [[バルサムポプラ]] {{Snamei||Populus grandidentatatacamahaca}} [[オオバヤマナラシ]]
* [[ヨーロッパヤマナラシ]] {{Snamei||Populus koreanatremula}} [[チリメンドロ]]
** チョウセンヤマナラシ {{Snamei||Populus simoniitremula}} [[テリハドロノキ]]var. {{Snamei|davidiana}}
** ケチョウセンヤマナラシ {{Snamei|Populus tremula}} var. {{Snamei|davidiana}} f. {{Snamei|tomentella}} ケチョウセンヤマナラシ
* {{Snamei||Populus suaveolens}} [[ドロノキ]]
** [[ヤマナラシ]] {{Snamei||Populus tacamahacatremula}} [[バルサムポプラ]]var. {{Snamei|sieboldii}}
* カナダポプラ {{Snamei||Populus tremula}} [[ヨーロッパヤマナラシ]] x {{Snamei|canadensis}}
** {{Snamei|Populus tremula}} var. {{Snamei|davidiana}} チョウセンヤマナラシ
** {{Snamei|Populus tremula}} var. {{Snamei|davidiana}} f. {{Snamei|tomentella}} ケチョウセンヤマナラシ
** {{Snamei|Populus tremula}} var. {{Snamei|sieboldii}} [[ヤマナラシ]]
* {{Snamei|Populus}} x {{Snamei|canadensis}} カナダポプラ 
 
 
ポプラは交配や繁殖が容易で、古くから品種改良が行われ、多くのハイブリッド種が作成されてきた。現在でも目的にあわせた品種の育成が行われ、ポプラの品種はいよいよ増えつつある。品種改良されたポプラは「改良ポプラ」と総称される。
 
 
== 利用 ==
[[ファイル画像:HokkaidoDaigakuPopuranamiki2004-5.jpg|thumb|北海道大学のポプラ並木(2004年5月)]]
[[ファイル画像:poplar_watage_01poplar watage 01.jpg|thumb|地面に舞うポプラの綿毛(札幌市)]]
* 紅葉や美しい樹形が特徴的で、日本では、並木や[[街路樹]]、牧場の境界の目印や[[防風林]]として植えられる。著名な[[北海道大学]]のポプラ並木は明治36年に植えられた。
* 材木は白色で柔らかく燃えやすいため、[[マッチ]]の軸木として使われる。合板、包装用材、パルプ用材などにも用いられ、えのき茸の栽培にも適する。しかし日本では用材としての利用は多くなく、身近にはあまり見られない。日本では[[1960年代]]に植林をめざ目指して実験が行われたが、病虫害や台風を克服できず、日本の自然環境下では大規模植林には適さないとされた。
* [[中華人民共和国|中国]]の内陸部では成長が早く活着が良いことに着目し、1950年代以降大規模な植林が行われている。多くは成長に水分を多く要するようになる樹齢20年以前を目安に伐採され、用材は地域の貴重な現金収入となっている。
* [[大韓民国|韓国]]では植林に成長の早いポプラの木が[[ニセアカシア]]の木とともに多く植えられる。
* ポプラは、その商業的価値の高さやゲノムサイズの小ささ(450–550 (450–550 Mbp) から、[[モデル生物]]として研究が進んでいる<ref name=":0">[http://aob.oxfordjournals.org/content/90/6/681.short Affiliations(2002) Populus: Arabidopsis for Forestry. Do We Need a Model Tree?]</ref>2006年にはPopulus trichocarpa のゲノムが解読された<ref>[http://www.sciencemag.org/content/313/5793/1596.abstract The Genome of Black Cottonwood, Populus trichocarpa (Torr. & Gray) Science(2006)]</ref>
 
== 人間との関係 ==
* <ref name=":0" />2005年6月にドイツで行われた[[FIFAコンフェデレーションズカップ]]では、大量のポプラの綿毛が試合会場で乱舞する様子がテレビでも映し出された。ドイツではこの綿毛が[[アレルギー性鼻炎]]の原因になることもある。
* [[ロシア]]では「トーポリ」と呼ばれている。[[第二次世界大戦]]後に[[緑化]]のために大量に植えられた。時期になると綿毛を大量に撒き散らすので、大変迷惑ではあるが、ロシアと切離しがたい風物詩ともなっている。
* 強風の吹かないヨーロッパ原産のイタリアポプラは台風に弱く、風で根ごと倒れることがある。[[2004年]]、[[平成16年台風第18号]]に襲われた[[北海道大学]]のポプラ並木は、半分ほども暴風で倒れてしまった。倒木から[[チェンバロ]]が造られ、同大に展示されている。
* [[1976年]]8月18日、[[大韓民国|韓国]]・[[北朝鮮]]の[[板門店]]で、視界の妨げとなるポプラの木を切ろうとしたアメリカ軍工兵と北朝鮮軍兵士が乱闘となり、米軍将校2名が伐採用の斧で殺害された。この事件は[[ポプラ事件]]と呼ばれ、第二次朝鮮戦争にも発展しかねない衝突だった。
 
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
* [http://treephys.oxfordjournals.org/content/early/2012/10/25/treephys.tps081.full Wullschleger, Weston, DiFazio, Tuskan(2012) Revisiting the sequencing of the first tree genome: Populus trichocarpa. ] Tree Physiol doi: 10.1093/treephys/tps081
 
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[[Category:ヤナギ科]]
[[Category:紅葉]]