「説文解字」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
10行目:
『説文解字』以前の文字に関する書には『[[蒼頡篇|倉頡篇]]』などがあったが、これらは文字を羅列して暗記させ、字に注釈をつけたものであった。これに対して『説文解字』は文字をその[[意符]]によって「一」からはじまり「亥」に終わる540部に分類することで大きな進歩をとげた。部首の順序にはある程度の意味がある場合もあるが、全体としてなぜそう並んでいるのかは知り難い。また、「艸・木・水」などの部には400を越える字を含む。なお、「木部」では冒頭に果樹を表す字、次に木名を表す字、続いて木の部分を表す字を並べるなど、各部内の並び順は字義によって整理がなされている。
 
部首と親字は篆書で示されるため、「刑」が井部・「法」が廌部・「善」が誩部など、楷書で考えるとなぜその部首に属するのかわからないことがある。また部首を立てるのは検索を便利にするためではなく、ある字を意符にした字がある場合は、原則として意符を部首に立てる。このため現在から考えると部首らしくない字も部首になる。例えば「箕」が部首になっているのは、この字を意符とする「簸」という字があるためである。一方で、「一」から「十」までの数字、「甲」から「癸」までの[[十干]]、「子」から「亥」までの[[十二支]]がすべて部首になっているが、この中には「三」・「四」・「甲」・「丙」・「寅」・「卯」など部首字1字しか属していないものも多い。
 
各文字の注はきわめて簡潔に本義と文字の構造のみを示す。日常使う意味が載っていないことも多い。例えば「始」は「女之初也。从女台声。」と女部に属することを重視した説明をしている。また「自」については「鼻也。象鼻形。」とのみあり、「自」の通常の意味である「自分・自然・……から」などの意味は全く載っていない。しかし文字の起源を考える上では重要な情報をもたらしてくれることもある。