「モンテ・クリスト伯」の版間の差分

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: それを聞いた会計士の'''ダングラール'''は、若輩であるダンテスの出世を妬み、ダンテスの恋敵の'''フェルナン'''を唆して、検事のもとに「ダンテスが[[ジョアシャン・ミュラ|ミュラ]]からナポレオン宛ての手紙を委託されてエルバ島に届け、代わりにナポレオンから支持者に向けて送った秘密文書を預かった」という嘘の密告書を届けさせる。そんなこととは知らないダンテスは、婚約者の'''メルセデス'''との結婚式の準備を進めるが、婚約披露のパーティーの最中に逮捕されてしまう。
; 収監、そして脱獄
: ダンテスを取り調べたのは検事代理の'''ヴィルフォール'''だった。ヴィルフォールに対して、ダンテスは「自分は船長の遺言に従っただけで、預かった手紙もベルトラン大元帥の私的なものだ」と弁明し、託された手紙を見せる。ところが、手紙の宛先であるノワルティエとはヴィルフォールの父親であり、手紙の内容はナポレオン軍の再上陸に備えて準備を進めるよう命じる、本当の秘密文書であった。本来であれば手紙を没収し、ダンテスは叱責のみかせいぜい数ヶ月の収監で済むところだが、ヴィルフォールは「[[フランス復古王政|王政復古]]の世の中において、身内にナポレオン支持者がいることが明らかになると身の破滅につながる」と考え、手紙をその場で焼却する。そして宛先を知るダンテスを、裁判無しで政治犯が収容されるマルセイユ沖の[[シャトー・ディフ]](イフ城)に裁判無しで投獄し、生涯出所できないよう手配する。
: 常に陽の当たらない土牢の奥でダンテスは無為の日々を過ごし、遂には餓死自殺を図るが、やがて隣の独房に投獄されていた'''ファリア神父'''という老人に出会う。ファリア神父はダンテスの身の上話を聞き、ダングラールとフェルナンにはダンテスを陥れる動機と機会があること、ノワルティエとヴィルフォールが父子でありヴィルフォールにもまたダンテスを陥れる動機があることを看破する。自らの身に何が起こったのかを理解したダンテスは、3人への復讐を決意する。
: 神父は無知無学であったダンテスに様々な学問を教え、一流の紳士へと育て上げていったが、やがて病に倒れ、[[モンテクリスト島]]に隠された財宝の在り処をダンテスに託して息を引き取る。神父の遺体と入れ替わることによって、ダンテスはシャトー・ディフからの脱獄に成功するものの、既に投獄から14年の月日が過ぎ、20歳前だった彼は34歳になっていた。
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: フェルナンの失脚後、モンテ・クリスト伯爵からフェルナンが彼におこなった非道な行いを明かされ、アルベールに伯爵との決闘を踏み止まるよう説得する。その後、夫を捨ててアルベールと共に故郷マルセイユに戻り、軍隊に志願したアルベールを見送る。
; アルベール ({{Lang|fr|Albert}})
: メルセデスとフェルナンとメルセデス間に生まれた青年息子。ダングラールの娘ユージェニーが許嫁だが、お互い結婚に乗り気ではない。ローマにて友人のフランツとの旅行中にモンテ・クリスト伯爵と出逢い、その後ルイジ・ヴァンパの手から伯爵によって救出されたことで、彼を慕うようになる。伯爵がパリを旅行で訪れる際に彼を自宅へと招待し、両親に伯爵を紹介する。
: 貴族院でのエデの告発をモンテ・クリスト伯爵による画策と考え、彼に決闘を申し込む。しかし母から父がかつて犯した罪を聞かされ、伯爵の復讐は正当な権利であると理解して決闘を辞退する。父の自殺後は、遺産すべてを恵まれない人々のための施設に寄付し、家名も捨てて母方の姓であるエレラ ({{Lang|fr|Herrera}}) を名乗り、マクシミリアンに倣って軍隊に志願しアフリカへ旅立つ。
 
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; ダングラール ({{Lang|fr|Danglars}})
: モレル商会の会計士。ダンテスの出世を妬み、また帳簿の不正を知られていたため彼の存在を疎ましく思い、虚偽の密告状を作ってフェルナンに提出させる。ダンテスが投獄された後、モレル氏の紹介でスペインの銀行へ入って頭角を現し、フランス有数の銀行家にまでのし上がった上、貴族の未亡人と再婚して[[男爵]]の地位を得る。
: やがてモンテ・クリスト伯爵の画策によって、融資先が破産する、誤報を掴まされて安定していた公債を売却してしまうなど、次第に銀行の経営が傾いていく。ユージェニーをアンドレアと結婚させ、彼の実家から送られる結納金を元手にして再帰を図ろうとするが、結婚式の最中にアンドレアの正体が発覚して面目を失った上、娘にも捨てられる。さらに最後まで残っていた預金をモンテ・クリスト伯爵とボヴィルに同時に引き出されたことで、銀行は破綻。不渡りを出さざるを得なくなり、家族を捨てて夜逃げした後、する。ローマで伯爵の受領証を換金し現金を手に入れる伯爵に指示されたルイジ・ヴァンバの一味に拉致される。飢えと乾きで散々苦しみ、食事と引き換えに有り金のほとんど奪わ巻き上げらて餓死寸前まで追い込まれる。やがて赦しを乞うたモンテ・クリスト伯爵の口から彼自身の正体を知らされショックで放心状態になった後、解放される。
; エルミーヌ ({{Lang|fr|Hermine}})
: ダングラール男爵夫人。フランス国王[[シャルル10世 (フランス王)|シャルル10世]]の侍従セルヴィユの娘で、前夫のナルゴンヌ男爵の自殺後、ダングラールと再婚する。再婚前はヴィルフォールと愛人関係にあった。金銭面や恋愛面で評判の良くない女。
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=== その他 ===
; ベネデット / アンドレア・カヴァルカンティ ({{Lang|fr|Benedetto / Andrea Cavalcanti}})
: ヴィルフォールとエルミーヌの間に生まれた不義の子供。生後すぐ絞殺されて庭に埋められたが、ヴィルフォールを刺したベルトゥッチオによって助け出され、ベネデットと名付けられる。しかし幼いうちから非行に走り、やがて同居していたベルトゥッチオの義姉を殺害し逃亡する。
: その後も贋金作りや泥棒など悪事を重ねるが、ツーロン監獄に収監されていたところをモンテ・クリスト伯に探し出され、「幼くして行方不明になったカヴァルカンティ家の嫡子」に扮して社交界に入る。そしてダングラールの娘のユージェニーと婚約するが、たかってきたカドルッスが疎ましくなって殺害し、ブゾーニ司祭がカドルッスに書かせた遺書によって逮捕される。留置所へ面会に来たベルトゥッチオから自分の出自を聞き、裁判の席でヴィルフォールが過去に行った悪事を白日の下に晒す。
; ガスパール・カドルッス ({{Lang|fr|Gaspard Caderousse}})
: ダンテスの隣家に住んでいた仕立て屋。お調子者の小悪党で、根は良い人間だが、気が弱い為にダングラールの悪巧みを知りながら真実を言えなかった。ダンテスが逮捕されてからは没落するが、ブゾーニ司祭と名乗り変装して現れたダンテスに真相を語った代償としてダイヤモンドを贈られる。しかし欲を出して宝石商のジョアネスを殺害してしまい、投獄される。獄中でベネデットと出逢い、後に2人で脱獄する。
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作中の設定によると、[[モンテクリスト島]]の財宝は、ファリア神父が秘書を務めたスパダ伯爵家([[メディチ家]]がモデルとされるが異説もある)の昔の当主である[[枢機卿]]チェーザレ・スパダが、[[教皇]][[アレクサンデル6世]]とその子[[チェーザレ・ボルジア]]によって、財産目当てで命を狙われていると察して隠した財宝である。この時チェーザレ・スパダと共に、財産を相続する筈だった甥のグイード・スパダも殺害されたため、教皇やチェーザレ・ボルジアのみならず遺族にも財宝を見付けることができなくなり、その在処は謎のままになった。
 
財産ほとんどを失ったスパダ家はその後没落していき、ファリア神父が仕えた代で子孫がなくなり断絶した。最後の伯爵から譲られた蔵書などの僅かな遺産を整理していた神父は、スパダ家伝来の祈祷書に挟まれていた紙片に、財宝についての記述があぶり出しで書かれていることを偶然発見した。金貨・金地金・宝石など、その総額は200万[[エキュ]](21世紀初頭時点の日本円にして、換算法によるが約60億円から数千億円<!-- この「エキュ」がいつの時代の単位か、神父が作中で換算した「現代の通貨」が何であるか、による -->)にのぼるとされる。
 
== 日本語版 ==