「文書偽造の罪」の版間の差分
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** 無形偽造とは文書の作成権限を有する者が虚偽の内容の文書を作成することをいう<ref name="chusyaku396" />。無形偽造により作出された文書を虚偽文書という<ref name="chusyaku396" />。
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文書偽造の罪の立法態様には実質主義と形式主義がある<ref name="chusyaku370" />。実質主義は無形偽造(虚偽文書の作成)の処罰、形式主義は有形偽造(他人名義の冒用)の処罰を中心に考える。
==== 実質主義 ====
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責任追及説とは、文書の名義人と作成者が一致していないにもかかわらず一致していると誤解を与える文書が作出されると、その受取人には名義人から作成者を把握することができなくなり作成者に責任を追及することができなくなるため処罰するものであるとする<ref name="chusyaku371" />。
=== 文書の作成者 ===
文書の作成者の意味については物体化説と精神性説がある<ref name="chusyaku399">{{Cite book |和書|title =注釈刑法 第2巻 各論(1)|publisher = 有斐閣|year = 2016 |page = 399 }}</ref>。
物体化説(行為説・事実説)では、文書を物理的に作成した者が文書の作成者であるとする<ref name="chusyaku399" />。しかし、物体化説によると乙が甲法人の代表者丙の依頼を受けて株券を印刷した場合、通常、株券には作成者の記載はないため名義人は存在しないことになってしまい、株券など法人の印刷物が文書偽造罪による保護の客体に含まれないこととなる問題点がある<ref name="chusyaku399" />。そのため物体化説はほとんど支持を得ていない<ref name="chusyaku399" />。
精神性説(意思説・効果帰属説)では、精神的営為として文書に意思表示を固定化させた者が文書の作成者であるとする<ref name="chusyaku400">{{Cite book |和書|title =注釈刑法 第2巻 各論(1)|publisher = 有斐閣|year = 2016 |page = 400 }}</ref>。精神性説では乙が甲法人の代表者丙の依頼を受けて株券を印刷した場合、その意思を表示させた甲法人が名義人であり、株券も文書偽造罪による保護の客体に含まれるとする<ref name="chusyaku399" />。
== 日本法 ==
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