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GBSSの欠損変異は[[トウモロコシ]]や[[イネ]]においては''waxy'' (ワキシー) として知られている[[劣性]]変異遺伝子による。被子植物の[[胚乳]]中の細胞のゲノムは[[重複受精]]によって3''n''となるため、胚乳中のデンプンがアミロペクチンのみからなるモチ性となるためには、3''n''の全てのGBSS遺伝子が''waxy''変異を持たなければならない。そのため、モチ性の品種であってもその近傍にウルチ性の品種が存在すると[[他家受粉]]の結果、[[キセニア]]現象が生じてウルチ性の胚乳を持つ種子となる場合がある。
アミロース含量が高いほど白米の胚乳は透明度が高く、低くなるほど透明度は低くなる。そのため、[[もち米]]や[[低アミロース米]]の白米は[[粳]]の白米に比べ白く濁っている[http://www.s.affrc.go.jp/docs/report/report18/no18_p5.htm]。
 
== 物理的性質 ==
* アミロース・アミロペクチンともに、白色の粒粉状物質で、無味・無臭。
* アミロースは熱水に溶けるが、アミロペクチンは溶けない。
* 天然の結晶状態にあるデンプンをβデンプンと呼び、デンプン中の糖鎖間の[[水素結合]]が破壊され糖鎖が自由になった状態のデンプンをαデンプンと呼ぶ(日本国内の呼び方で、国際的用語ではない)。これはつまり、蛋白質でいう、[[二次構造]]にあたる考え方で、αデンプンとβデンプンでは[[フォールディング]]が異なるということもできる。
 
===糊化===
デンプンを水中に懸濁し加熱すると、デンプン粒は吸水して次第に膨張する。加熱を続けると最終的にはデンプン粒が崩壊し、ゲル状に変化する。この現象を糊化(こか)という。このとき、デンプン懸濁液は白濁した状態から次第に透明になり、急激に粘度を増す。粒子が最大限吸水した時粘度が最大となり、粒子の崩壊により粘度は低下する。
 
デンプンの糊化は、[[結晶構造]]をとっているデンプン分子の隙間に水分子が入り込むことでその構造が緩み、各枝が水中に広がることによって起こる。このときデンプンが溶解しているように見えるが、前述したようにアミロペクチンは溶解しているという事ではない。
 
=== 老化 ===
糊化したデンプンの溶液を冷却すると、糊液は次第に白濁し、水を遊離して不溶の状態となる。これを老化と呼ぶ<ref name="調理">下田道子、和田淑子共編著「栄養士養成シリーズ」『改訂調理学』光生館、1998年、p.156、ISBN 4-332-70126-7</ref>。デンプン糊液の老化は、水中に分散したデンプン分子が再び結晶化することにより起こる。ただし、完全にもとの状態に戻るわけではない<ref name="調理" />。これがデンプンを原料に含むパンなどの食品が、時間が経つと硬くなる主要な原因といえる。
 
一般的に、アミロペクチン含量の多いデンプン粒では、糊化温度が低く、粘度(膨潤度)、保水力が高く,老化しにくい性質がある<ref name="調理" />。これは、直鎖状のアミロースよりも、分岐の多いアミロペクチンの方が、デンプン分子間で水素結合がおこりにくいからと考えられる。さらに、同じデンプンであっても、[[基原植物]]により、それぞれ老化の起こりやすさが異なることがわかっている。例えば、[[タピオカ]]、[[クズ]]、[[ジャガイモ]]由来のものでは、老化の起こりにくさの順は、タピオカ>ジャガイモ>クズとなっている。これは、アミロース、もしくはアミロペクチンとして単離しても、それぞれに老化の起こりやすさが異なる。アミロースではタピオカ>ジャガイモ>クズの順で老化が起こりにくく、アミロペクチンでは、クズ>タピオカ>ジャガイモとなっている。
 
アミロースでの順位は、重量平均重合度の小さい順と一致し、[[重合]]度が数千の高分子のアミロースでは、重合度の大きい分子ほど老化性が低いと考えられる。これは、重合度が高いと、一分子内で水素結合を作りやすくなり、デンプン分子間の水素結合による規則的結晶構造、つまりβ型をとりにくいと考えられる。さらに、タピオカのアミロース分岐がジャガイモのものより多いということも影響していると考えられる。アミロペクチンについては、ジャガイモのアミロペクチンの平均鎖長がクズとタピオカのものより、2.8 残基長い。このことより、アミロペクチンは単純に長いほうが水素結合をしやすいので、老化しやすいと考えられる。
 
老化を防ぐ方法として、[[トレハロース]]や[[マルトース]]などの[[糖類]]が使用されている。これは、デンプン分子と構造が似ている糖類を使うことで、[[インターカレーション]]をおこし、規則的結晶構造をとりにくくして、老化を防いでいると考えられる。
 
===性質の応用===
{{独自研究|section=1|date=2016年4月13日 (水) 01:57 (UTC)}}
常温においても高[[水素イオン指数|pH]]の[[水酸化ナトリウム]]溶液によってデンプンは糊化する。これは工業用の糊として[[段ボール]]や紙管、[[壁紙]]の接着に用いられる。
 
食品業界においては、糊化は'''α化'''(アルファ化)と呼ばれ、αデンプンの状態から凍結と乾燥を繰り返すことで製造できる、いわゆる「お湯で戻るインスタント食品」が多く存在する。
 
{{要出典範囲|日本でも長野県の郷土料理で[[凍り蕎麦]]などの保存食が古くから伝わり、[[十勝新津製麺]]が販売するインスタント麺の製造工程でもこの方法が採用されている。また、炊いた米を[[凍結乾燥]]することで[[アルファ化米]]などの製品が考案、販売されている|date=2017年3月}}。
 
== 化学的性質 ==