「列車砲」の版間の差分

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[[戦間期]]に出現した中・大型の[[爆撃機]]は、すでに列車砲の砲弾以上の威力のある[[爆弾]]を投下することが可能となっており、また列車砲の最大射程と爆撃機の[[航続距離]](戦闘行動半径)は比較にならず、列車砲の存在価値は大きく減じられるものとなった。ただし、[[空対地ミサイル]]を始めとする長距離誘導兵器が未発達のこの時代では、[[航空機]]は目標の上空に到達しなければ攻撃できないために、防空網による阻止を突破しなければならず、この時代の航空機はまだ高い[[全天候型|全天候行動能力]]がないため、運用できる状況に制限があり、高精度の爆撃照準装置が発達していないために命中精度に難がある、といった限界もあり、その遠距離攻撃能力を常に十分な状態で発揮できるわけではなく、列車砲に対して絶対的な優位を確保できていたわけではなかった。
 
このため、適切な状況で運用した場合には、列車砲もなお圧倒的な威力を発揮した。列車砲にも「相手が同様の射程を持つ火砲を装備している場合には撃ち返される」という脆弱性はあったが、[[対砲兵レーダー]]がまだ未発達なこの時代には、現実的には射撃されている側が「攻撃中の敵火砲の位置を正確に逆算して即座に撃ち返す」という即時対砲兵射撃を常に行うことは難しく、また列車砲の側も数発撃つごとに移動する、地形が許せば隧道([[トンネル]])を利用しての射撃を行う(射撃時だけ隧道から出て、所定の発数を射撃したらすぐに隧道内に戻る)ことで敵の攻撃を避ける、といった対策方法もとっていた。
 
しかし、列車砲は編成を含めてその大きさは格好の目標であり、移動においては線路に制限されるという関係上、[[制空権]]を確保していない状況においてはその運用は困難であった。砲自体の運用に多数の人員が必要であった上、移動のために牽引する機関車とその運用要員、軌道を整備・修繕し必要に応じて敷設するための[[工兵隊]]、更には航空機が発達するとそれから守るための防空部隊([[高射砲]]部隊)といった付属要員・部隊が多数必要であり、継続的な運用のための後方整備にも多大なリソースが必要だった。長大で大口径な備砲は砲身の交換一つとっても多大な資源と設備、人員が必要であったからである。
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第二次大戦後の現代においては、自動車道路網の発達や[[戦闘教義|戦闘ドクトリン]]の変化、兵器技術の進化、特に[[ロケット]]技術の急速な発達により、「長大な射程を持ち、破壊力の大きな大口径大重量の砲弾を発射できる」という巨砲兵器の存在意義そのものが、[[弾道ミサイル]]や地上発射型[[巡航ミサイル]]および[[対艦ミサイル]]の前に失われてしまい、列車砲という兵器カテゴリーそのものが、大型の多輪式自走ミサイル発射機([[輸送起立発射機]]:TEL(transporter erector launcher)にとって代わられているが、[[ソビエト連邦軍]] / [[ロシア連邦軍]]の[[大陸間弾道弾]]には列車移動が可能なタイプが存在したことがあり、見方によってはこれは列車砲の子孫とも言える。
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== 歴史 ==
=== 起源 ===