「広島小1女児殺害事件」の版間の差分

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|判例集=刑集第63巻8号937頁
|裁判要旨=
# 刑事裁判において、関係者、取り分け被告人の権利保護を全うしつつ、事案の真相の解明することが求められるが。したがって、審理の在り方としては、合理的な期間内に充実した審理を行って事案の真相を解明することができるよう、具体的な事件ごとに、争点、その解決に必要な事実の認定、そのための証拠の採否を考える必要がある。そして、その際には、重複する証拠その他必要性に乏しい証拠の取調べを避けるべきことは当然であるが、当事者主義(当事者追行主義)を前提とする以上、当事者が争点とし、あるいは主張、立証しようとすることの内容を踏まえて、事案の真相の解明に必要な立証が的確になされるようにする必要がある。
# 第1審で被告人の検察官調書を取調べに関し、第1審裁判所に釈明義務を認め、検察官に対し、任意性立証の機会を与えなかったことが審理不尽であるとして第1審判決を破棄し、第1審裁判所に差し戻した原判決は、第1時的に第1審裁判所の合理的判断にゆだねられた証拠の採否について、当事者からの主張もないのに、審理不尽の違法を認めた点において刑事訴訟法294条、379条、刑事訴訟規則208条の解釈を誤った違法があり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであり、原判決を破棄しなければ著しく正義に反する。
|法廷名=第二小法廷
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初[[公判]]から50日目の2006年7月4日に[[判決]]。地裁では猥褻行為を生前に行ったこと、「悪魔」は罪を逃れるための言い訳であり「責任能力はある」と認められた。しかし、容疑者が過去ペルー国内において犯した犯罪について指名手配中であったが、[[推定無罪]]の原則上、前科が証明できず初犯扱いとなり、[[無期懲役]]の判決が言い渡された。
 
[[2008年]][[12月9日]]、[[控訴審]]の[[広島高等裁判所]]は第一審判決を破棄し、犯行場所についての供述を含む被告人の検察官調書が第一審で取り調べなかったことは違法であるとして審理を広島地方裁判所へ差し戻した。スピード裁判で十分な審理が行われなかったことに触れ、前科について破棄した事について「賛同することはできない」とした<ref>{{Cite news |title=「まことに不可解」広島高裁、1審判決を厳しく批判 |url=http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081209-OYT1T00816.htm |date=2008-12-10 |newspaper=[[読売新聞]] |accessdate=2014-03-07 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20081212055213/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081209-OYT1T00816.htm |archivedate=2008年12月12日 |deadlinkdate=2017年10月 }}</ref>。この判決を不服とし、現在被告側が[[上告]]したところ、[[最高裁判所  (日本)|最高裁]]は控訴審判決を破棄した。その理由は、検察官が第一審で取調べを請求した被告人の検察官面前調書の立証趣旨は被告人の弁解状況、殺意の存在及び被告人の責任能力とされ、犯行場所については立証趣旨とされていなかった。そのような中で、第一審裁判所が被告人質問の内容から犯行場所に関する供述内容が記載されていると推測し、弁護人に具体的な任意性を争う点を釈明させ、任意性立証の機会を与える義務まではないとして否定した。さらに、検察官が控訴審においてはこの点について特に解明する必要がないと態度をとっていた。したがって、第一審には釈明義務を認め、検察官に対し任意性立証の機会を与えなかったことが審理不尽として違法であるとし、当事者の主張もないのに、前記審理不尽を認めた判決は違法であるとした。
 
この事件は、[[裁判員裁判]]のモデルケースとされ、[[公判前整理手続]]が行われ、従来に比べ短い期間で判決が下され、公判における証拠調べのあり方についても問われた。最高裁は、証拠の採否について第一次的にゆだねられている第一審裁判所の合理的裁量を尊重し、当事者からの主張もないのに、たやすく控訴審がその判断を覆すのは妥当でないと判断したと思われる。