「ネット検閲」の版間の差分

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ロシアのネット規制について加筆しました。
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== 概要 ==
[[オフライン]]での検閲とは別に扱われることが多いが問題点は同様である。主な違いはオンラインの方が[[国境]]を容易に越えやすい点にある。ある[[情報]]を禁止する国の住民は別の国のウェブ上でその禁止されている情報を得られる場合がある。逆に、ある[[資料]]を管理する政府が市民がその資料を閲覧するのを妨げる場合にはその政府が世界中のインターネットサイトを監視するなどして[[外国人]]をも制限する効果を持つことがある。
 
しかしながら、インターネットの基本的な分散的な技術によりインターネット上の情報の検閲を達成するのは非常に困難である。
 
=== よくモニター監視されるウェブサイト ===
当然ながら政府からの公式発表はないが、[[新聞]]や[[マスコミ]]などでの事件報道を参考にすれば、次のようなサイトがモニター[[監視]]の対象になっていると思われる。
*[[自殺系サイト]]や[[出会い系サイト]]あるいは[[アダルトサイト]]などの[[アンダーグラウンド (文化)#インターネットにおけるアンダーグラウンド|アンダーグラウンドサイト]]
*[[MySpace]][[Facebook]]などの[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス]](SNS)
*[[電子掲示板]]、[[チャット]]などの[[コミュニティサイト]]
*[[Yahoo! オークション]]などの[[インターネットオークション]]サイト
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{{BLR}}<ref>但し現在では「予備軍」に格下げされている</ref>、{{MMR}}、{{PRC}}、{{CUB}}、{{EGY}}、{{IRI}}、{{PRK2}}、{{SAU}}、{{SYR}}、{{TUN}}、{{TKM}}、{{UZB}}、{{VNM}}
 
なお、ネット検閲を実施している国家はここで挙げられたものが全てというわけではない。
 
=== 検閲事例 ===
政府の公権力により、インターネット上での情報開示に検閲が行われている事例は次のとおり。
*{{flagicon|AUS}} [[オーストラリア]]・{{flagicon|NZL}} [[ニュージーランド]]。[[青少年有害社会環境対策基本法案#オーストラリア・ニュージーランド|教育観点]]。オーストラリアは汚職をもみ消そうともした。
*{{flagicon|CHN}} [[中華人民共和国]]では「<span lang="zh" xml:lang="zh">网络审查</span>」(網絡審査)という名目でネット検閲が行われ、「<span lang="zh" xml:lang="zh">[[:zh:防火长城|防火长城]]</span>」と呼ばれる<span lang="zh" xml:lang="zh">中国防火墙</span>(中国のネットと国外の「反中国的サイト」とを隔てる[[ファイアウォール]])が設けられている。[[サーチエンジン]]でも特定の言葉の検索結果に対して[[フィルタリング]]が行われる(→[[金盾]]及び[[中国のネット検閲]]を参照)
*{{flagicon|MMR}} [[ミャンマー]]では個人によるウェブ接続やメール送信は認められず、検閲済みのサイトで構成されたミャンマー・ワイド・ウェブなるものが設けられている。現在は企業に一部開放しており、メールは政府による検閲が行われている。
*{{flagicon|CUB}} [[キューバ]]では許可のないインターネットの使用は違法とされている。許可を得られる例の大半は医師であり、医師の近隣住民が海外へのメール送信を依頼するが、キューバ政府はこれを制限しようとしてきた。
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*{{flagicon|TUR}} [[トルコ]]では、「政治的な理由」によって[[YouTube]]等のGoogle関連サイトを含む、約3700の外部サイトへのアクセスが政府によってブロックされている<ref>[http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-15804620100614 トルコ大統領、自国のネット規制をツイッターで非難] 2010年 06月 14日 12:39 JST ロイター(REUTERS)</ref>。[[Googleグループ#ブロック]]も参照。 さらに2013年6月、反政府抗議運動を抑え込むためにTwitterとFacebookまで利用制限するに至った<ref>{{Cite web|url=http://jp.techcrunch.com/2013/06/03/20130601as-anti-government-protests-erupt-in-istanbul-facebook-and-twitter-appear-suddenly-throttled/|title=イスタンブールの反政府抗議運動勃発で、政府がFacebookとTwitterを利用制限か|publisher=Tech Crunch Japan|date=2013-06-03|accessdate=2013-06-03}}</ref>。2017年4月には、ウィキペディアへのアクセスも完全に遮断した([[2017年トルコのウィキペディア閲覧制限]])<ref>[http://www.cnn.co.jp/tech/35100571.html トルコ、ウィキペディアへの接続遮断 「同国中傷の情報源に」] 2017年4月30日 [[CNN]]</ref>。
*{{flagicon|UAE}} [[アラブ首長国連邦]]では国内単一のプロバイダである[[エティサラット]]を通じてセキュアコンピューティングの手法で(すべてのサイトが62のカテゴリに分類され)強制的に検閲されポルノや政治的に微妙なものなど、UAEの道徳観に反すると思われるものはブロックされる。
*{{flagicon|SGP}} [[シンガポール]]では[[メディア開発庁]](MDA)はインターネット行動規範(Internet Code of Practice)の遵守と自主規制および自社制度を促している<ref>https://www.jetro.go.jp/world/qa/04S-140103.html</ref>。3つの主要なプロバイダによって提供されるインターネットのサービスは治安、国防、人種や宗教間の調和、公衆道徳への脅威となる材料を含むサイトを規制しブロックしており、また警察にはオンラインの通信を傍受する強い権限が与えられている。[[2005年]]に3人がブログにて反[[マレー人]]・[[反イスラム]]など[[人種差別]]を煽動する書込みをしたとして逮捕・起訴され、うち中華系男性2人が[[扇動防止法]]のもと懲役を受けた<ref>http://www.clair.or.jp/j/forum/pub/docs/423.pdf</ref>。ブログで教師を中傷する学生を訴えるという教職員組合による警告など、法的対応による脅威が増えることによる萎縮効果が議論された。
*{{flagicon|MAR}} [[モロッコ]]は[[2006年]]3月にLiveJournalなどの、多くのブログサイトへのアクセスをブロックした。
*{{flagicon|THA}} [[タイ王国|タイ]]では非合法活動の表現を規制するために多くの労力が払われた。タイが管轄する[[DNSサーバ]]の管理やプロキシの管理によりポルノ、[[ドラッグ|薬物]]の使用、[[ギャンブル]]が厳しく禁じられている。また王室批判は[[不敬罪]]で処断される。これによりそれらウェブサイトはアクセス困難になっている。政府はネット検閲を回避する方法を論じたサイトをもブロックした。
*{{flagicon|RUS}} [[ロシア]]では、裁判所がYouTubeに政治的な動画をアップロードした[[プロバイダ]]からのYouTubeへのすべてのアクセスを遮断するよう命じた<ref>[http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1008/04/news040.html Google、ロシア地裁のYouTube遮断決定に懸念を表明] 2010年08月04日 13時13分 更新 佐藤由紀子 [[ITmedia]]</ref>。[[ウラジミール・プーチン]]政権下でネット規制は強化されており、2017年には[[LINE (アプリケーション)|LINE]]が使用不可となった。ロシアのSNS「テレグラム」は利用者間通信の[[暗号]]解読鍵の当局への提供を拒否したことから、2018年4月に遮断され、首都[[モスクワ]]で抗議集会が起きた。このほか[[テロリズム]]対策を理由として、ネット事業者が利用者情報と全ての通信記録をロシア国内の[[サーバ]]に保存するよう義務付ける法律が2018年7月から適用される<ref>【プーチン支配】露 強まるネット規制/人気SNS遮断/監視「中国並み」懸念も『[[読売新聞]]』朝刊2018年5月4日(国際面)。</ref>。
 
=== 規制事例 ===
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*{{flagicon|BRA}} [[ブラジル]]の[[サンパウロ州]]は[[インターネットカフェ|ネットカフェ]]の利用者に住所氏名と生年月日、電話番号と[[身分証明書]]番号の登録を義務付ける最初の州となった<ref>[http://www.legislacao.sp.gov.br/dg280202.nsf/0d9687f04ed5ec4183256cfb0050146d/a09582edf8731132032570f400589b24?OpenDocument ブラジルの利用者登録] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20071222121454/http://www.legislacao.sp.gov.br/dg280202.nsf/0d9687f04ed5ec4183256cfb0050146d/a09582edf8731132032570f400589b24?OpenDocument |date=2007年12月22日 }}</ref>。
*{{flagicon|SWE}} [[スウェーデン]]では2005年から児童ポルノをブロッキングしている<ref>[http://it.nikkei.co.jp/security/column/web_miyajima.aspx?n=MMITzt000013052008 (宮島理)ネット危険地帯第50回:「ブロッキング」と「フィルタリング」の2つのネット規制の流れ]</ref>。
*{{flagicon|JPN}} [[日本]]では[[2008年]][[6月11日]]、[[青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律]](青少年ネット規制法)が成立し1年以内での[[施行]]が定められた。一部地域では[[地方自治体]]による独自規制もある。[[2008年]][[3月26日]]、[[広島市議会]]において青少年と電子メディアとの健全な関係づくりに関する[[条例]]が可決、成立し、2008年[[3月28日]]付けで公布された<ref>[http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1209083503179/index.html 広島市が青少年と電子メディアとの健全な関係づくりに関する条例を制定]</ref>。2008年[[3月26日]]に同条例施行規則が公布され、同条例第14条に基づき「広島市青少年と電子メディアに関する審議会」を[[2008年]][[4月1日]]から先行して施行される。最終的に同条例は2008年[[7月1日]]から完全に施行された。
*[[2008年]][[3月26日]]、[[広島市議会]]において青少年と電子メディアとの健全な関係づくりに関する条例が可決、成立し、2008年[[3月28日]]付けで公布された<ref>[http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1209083503179/index.html 広島市が青少年と電子メディアとの健全な関係づくりに関する条例を制定]</ref>。2008年[[3月26日]]に同条例施行規則が公布され、同条例第14条に基づき「広島市青少年と電子メディアに関する審議会」を[[2008年]][[4月1日]]から先行して施行される。最終的に同条例は2008年[[7月1日]]から完全に施行された。
*{{flagicon|EGY}} [[2011年]]1月に起こった[[2011年エジプト騒乱|エジプト騒乱]]で、反政府デモの混乱を鎮圧するために、[[エジプト]]政府は、[[Twitter]]の接続をブロックした後、1月27日から28日かけて広い地域において[[インターネット]]接続の遮断を行った<ref name="jbpress">[http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5370 エジプト政府、ネットと携帯電話を全面遮断] Japan Business PRESS</ref><ref name="compworld">[http://www.computerworld.jp/topics/move/190542.html エジプト政府がインターネット接続を遮断、ソーシャル・メディアの利用を阻止] IDG Computerworld Global 2011年01月31日</ref>。[[Facebook]]をはじめとする[[ソーシャルメディア]]がエジプト各地の都市における抗議行動の展開に大きな役割を果たしていたが、この措置で[[Yahoo!]]、[[Google]]などにもアクセスしにくくなった<ref name="compworld"/>。エジプトではサービス遮断は合法<ref name="jbpress"/>。また[[携帯電話]]の使用も全面遮断された<ref name="jbpress"/>。