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== 流言 ==
'''流言'''(りゅうげん)とは、正確な知識や情報を得られず、明確な根拠も無いままに広まる噂のこと。俗説、風説、流説ともいう。ある一部での話が連鎖的に広まり、それがやがて全体に広がっていく形態を取る。[[白川静]]によれば、中国の古代の歴史書[[書経]]に既に流言の例が見られるという<ref>白川『字通』の「流言」の項目参照。周の武王が死亡した後、後継者の成王を補佐していた大臣の周公旦に対して、謀反を起こした管叔らが「周公旦が王位を奪おうとしている」という流言を行ったというもの。</ref>。日本での流言の古い歴史は1600年ごろまでさかのぼる。最近ではSNSを通じたフェイクニュースの拡散も同様の事象と言える。
 
=== トイレットペーパー騒動 ===
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=== 関東大震災における流言 ===
[[ファイル:Caution1923 NeverSpreadFalseRumors.jpg|thumb|200px|関東大震災後に[[警視庁]]が配布した、デマの流布は処罰対象となる旨のビラ。]]
[[1923年]][[9月1日]]の[[関東大震災]]発生後、実際よりも大袈裟な、[[朝鮮民族|朝鮮人]](厳密には[[大韓帝国]]は[[1910年]]で消滅、[[1945年]]に解放されるまで日本領となっていたため、国籍上は日本人であった)による略奪や暴徒化に関する流言があった。当時は報道手段が新聞や[[週刊誌]]、[[ニュース映画]]しかなかったため([[ラジオ|ラジオ放送]]開始は大正末期の[[1925年]]である)一般市民が最新情報を入手しにくく、流言が広がりやすい環境下にあり、またそれ以前から[[三・一運動]]により、[[朝鮮半島]]出身者が治安上の脅威と考えられていたことによる。詳細は「[[関東大震災#影響|こちら]]」を参照。
 
その時に流れた主なうわさを以下に示す。
#“[[不逞鮮人]]が井戸に毒をいれた”
#“[[不逞鮮人]]が放火・暴動を起こしている”
#“[[不逞鮮人]]がクーデターを起こすため[[海軍無線電信所船橋送信所|海軍東京無線電信所]]を襲う恐れあり”
具体的な情報ではなく、平時ではただの噂で終わるが、震災による極度の混乱と“日頃から「異国人」である朝鮮系に抱いていた恐怖心や憎悪・蔑視”などが重なり虐殺事件へと発展した。震災後の混乱に対する[[自力救済]]のため各地で結成された[[自警団]]により、不逞鮮人と間違われた無関係の朝鮮人や日本人、中国人も含む多数が殺害された<ref>加藤直樹『[[九月、東京の路上で]]―1923年関東大震災ジェノサイドの残響』{{要ページ番号|date=2015年9月}}</ref>。多くの朝鮮人が各地の[[警察署]]に保護され難を逃れた。埼玉県[[本庄町]]の[[本庄警察署]]では、警察署を襲撃した民衆が朝鮮人を殺害した事件が発生している。
 
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=== 東日本大震災における流言 ===
[[2011年]]の[[東日本大震災]]でも多くの流言が発生している。「[[チェーンメール#チェーンメールが招いた悪影響]]」を参照。この地震に起因する流言を分析した[[松永英明]]によれば、震災発生後1か月で80個のデマが広がり、大別して11種類に分けられるという。内訳は「情報の混乱による[[デマ]]」「科学的・医学的知識の欠如によるデマ([[疑似科学]]を含む)」「偏向報道による[[デマ]]」「政治家を貶める[[デマ]]」「外国の支援を政府が妨げているとするデマ」「政府批判デマ」「その他企業・個人を批判する[[デマ]]」「人種差別デマ」「[[日本ユニセフ]]・[[アグネス・チャン]](・[[日本赤十字社]])を批判するデマ」「被災地の誤報」「好意的すぎる予断」「洒落がデマと化したデマ」などに分けることができるという<ref>[http://www.kotono8.com/2011/04/08dema.html 震災後のデマ80件を分類整理して見えてきたパニック時の社会心理] 絵文録ことのは2011年4月10日</ref>。特に、この地震のデマは[[Twitter|ツイッター]]上で流れた不正確な情報を大量にツイートする人がいたことから広まるケースが多かった。さらに国内マスコミに不信感を持つ人々が海外メディアの[[誤報]]をインターネットに転載したため、デマに拍車がかかった。外国メディアの中には「福島第一原発では核兵器開発が行われていた」「東日本は今後300年、焦土と化す」など、珍妙な報道をするものもあった<ref>{{cite web |url=http://spa.fusosha.co.jp/weekly/weekly00014616.php |title=アーカイブされたコピー |accessdate=2011年05月6日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110507115512/http://spa.fusosha.co.jp/weekly/weekly00014616.php |archivedate=2011年05月7日 |deadurldate=2017年08月 }}</ref>。
 
東北学院大教授の郭基煥が2016年9~10月に仙台市青葉区・宮城野区・若林区に住む20~69歳の日本国籍の770人から取ったアンケートによると、51.6%が被災地で外国人の犯罪があるという噂を聞き、聞いた者のうち信じた者は86.2%だった。その一方で外国人犯罪を見た者は0.4%、外国人犯罪ではないかと思われる現場を見た者は1.9%だった。情報源(複数回答)は68.0%が家族や地元住民による口コミ、インターネットが42.9%であった。年齢や性別で大きな差はなかった。宮城県警は流言を否定するチラシを避難所に配った。郭基煥は、災害教育にデマ対策も位置付けるべき、と述べた<ref>[http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201701/20170116_13008.html <外国人犯罪デマ>被災地半数聞き86%信じる] 河北新報 2017年1月16日閲覧</ref>。