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[[画像:AMeDAS.jpg|thumb|right|250px|運用中[http://www.jma.go.jp/jp/amedas_h/today-56276.html?groupCode=41&areaCode=000 アメダス][[石川県]][[小松市]]にて。]]
[[画像:Expo AMeDAS-2005-7-22.jpg|thumb|right|250px|[[2005年日本国際博覧会|愛・地球博]]会場に設置されていた万博アメダス(気象庁が設置するものとは異なる)]]
 
'''アメダス'''('''AMeDAS''':'''A'''utomated '''Me'''teorological '''D'''ata '''A'''cquisition '''S'''ystem:自動気象データ収集システム)とは、[[日本]]国内約1,300か所の[[気象]]観測所で構成される[[気象庁]]の無人観測施設である「地域気象観測システム(ちいききしょうかんそくシステム)」の通称である。
 
== 概要 ==
日本国内約1,300か所に設置されている'''アメダス観測所'''で気象観測を行っている。観測網の密度は[[降水量]]が約17km(=17km四方の正方形につき1か所)、4要素の観測点は約20kmであり、概ね[[メソスケール|メソβスケール]](20km - 200km規模)の現象を捉えることができるとされている。都府県レベルの気象現象の把握には効果を発揮している。しかし、近年需要が高い[[集中豪雨]]や[[雷]]、[[突風]]などのより狭い範囲の現象([[局地現象]])の把握は難しい(対応するためには観測点を数十倍に増やす必要がある)。局地現象に対しては[[気象レーダー]]の方が効率的であり、近年はこちらが増強される傾向にある。
 
観測している気象要素は、[[降水量]]、[[気温]]、[[日照時間]]、[[風向]]・[[風速]]の4気象要素であを観測している地点が多く、主に豪雪地帯においては[[積雪量|積雪の深さ]]観測している。観測で得られたデータは[[ISDN]]回線などを通じて気象庁内の地域気象観測センター(通称アメダスセンター)へ10分ごとに集信され、データの品質チェックを経たのち全国に配信される。
 
アメダスのデータは、気象庁ウェブサイトで公開されているような地図・表形式の観測値として利用されるほかに、[[数値予報]]の入力データとしても用いられる。
 
また、通常の観測網とは別に[[地震]]や火山[[噴火]]などで大規模な災害が発生し、地盤の緩みや[[火山噴出物]]の堆積などによって、通常よりも弱い気象現象で災害が発生する危険性が長期的に継続する場合及び観測所自体が被災した場合にはアメダスの臨時観測点が設けられることがある。過去には[[雲仙]][[普賢岳]]や[[兵庫県南部地震]]、[[2000年]]の[[有珠山]]及び[[三宅島]]の噴火、[[2008年]]の[[岩手・宮城内陸地震]]で運用された。
 
現在運用されている観測所の数とは別に、観測所の移設や臨時観測所の設置などが行われた影響で、観測所となった地点の数は通算2,000か所を超える。
 
=== 歴史 ===
[[1960年代]]から[[1970年代]]前半ごろ、日本国内の公的な気象観測地点は、おおむね100km間隔に配置された[[気象官署]]と[[気象レーダー]]、そして[[気象通報所]](有人の[[気象通報]]拠点、現在の地域気象観測所)と[[区内観測所]](委託式の気象観測所)しかなかった。
 
各地域の[[天候]]の記録や[[気象予報]]を強化していくためには、[[大雨]]・[[突風]]・[[大雪]]などの気象状況をきめ細かく、より迅速に把握することが求められる。当時の区内観測所は、観測点数では現在のアメダス観測所の総数をえていたが、観測が人の手で行われていたためにデータの報告速度や誤差に限界があった。観測の自動化・無人化によって報告速度を上げ、きめ細かい気象観測は気象官署に限定してデータの精密さを向上させることなどを目的に、新たに開発されたのがアメダスである。
 
運用開始は[[1974年]][[11月1日]]([[1979年]]3月には国内13161,316地点に観測所が整備され、一応の完成を見る)。積雪深計は[[1977年]][[12月1日]]から秋田県内で試験運用が始まり、[[1979年]]11月1日に正式運用開始。[[1993年]]2月には10分ごとの臨時配信が開始され、現在では'''第4世代'''のアメダスが運用されている。[[2006年]][[3月18日]]からは空港出張所、航空測候所、航空地方気象台の観測値もアメダスに取り込まれた。
 
2007年度から無人観測所の685か所で改良を行い、[[2008年]][[3月26日]]に[[アメダスデータ等統合処理システム]]の運用を開始し、従来は10分間隔で観測していた気温や風速について、気温は10秒間隔で観測を行い、さらに最大瞬間風速の観測を開始した。開始当初は気象台・測候所・特別地域気象観測所(154か所)及びアメダス観測所(230か所)の計384か所が接続された。残りの地点は2008年度以降順次接続を行っている<ref>[http://www.jma.go.jp/jma/press/0803/07b/amedas080306.html アメダスデータ等統合処理システムの運用開始について]、気象庁、2008年3月7日</ref>。
 
=== 名称 ===
「地域気象観測システム」の英語訳が"Automatic Meteorological Data Acquisition System"であった時代にその略称を考えた際、単にAMDASとするのではなく、AMeDAS(雨出す)としたほうがおもしろいとの提案<ref>[http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/gimon/119.html 「アメダス」とは?] NHK放送文化研究所</ref>が採用され、略称を"AMeDAS"、その読みを「アメダス」とすることとなった。後に英語訳が"Automat'''ed''' Meteorological Data Acquisition System"に変更されたが、特に略称の変更の必要は無かったためそのまま使用されている<ref>[http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061219/257338/ 天気や気温を伝える「気象庁のアメダス」] 平野亜矢、ITpro NETWORK調査隊 インフラ編、2006年12月22日、日経BP</ref>。<!-- このエピソードはあまり知られておらず、「雨です」がなまった「雨だす」にかけたものだ、とった俗説も一部にある。 -->
 
=== 課題 ===
アメダス観測は、観測精度の観点から、観測所付近の環境保守管理が必須条件となる。よって無人観測設備であるアメダスの環境保守管理水準を、いかにして維持するかが課題となる。
 
近年では、[[2010年]][[9月]]に[[京都府]][[京田辺市]]にあるアメダスの温度計を含む通風筒に[[つる植物]]が巻き付いていたとする報道<ref>[http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20100907000025 京都新聞]2010年9月7日付記事を筆頭とした一連の報道。</ref>をけ、気象庁がアメダス全1277箇1,277か所の緊急点検を行い、京田辺は気温・雨量、他14箇所は雨量観測に不適切な環境であり、京田辺を含む7所で実際に観測結果に影響があったとして、気象庁の統計に用いないこととした事例がある<ref>[http://www.jma.go.jp/jma/press/1009/30a/100930_amedas.html 気象庁記者発表]2010年9月30日付。</ref><ref>この京田辺のアメダスは、2010年9月5日に、全国9月日最高気温記録・2010年の日最高気温記録となる摂氏39.9度を観測した事で話題となっていた(この9月5日の観測値も、気象庁の統計に用いないこととした値に含まれる)。</ref>。
 
== アメダス観測所の詳細 ==
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観測所の周囲には、風の通りを妨げないような[[柵]]を設置し、外部からの侵入をできるだけ防いでいる。また、さらにその周囲は開けた場所とし、樹木や建物などによって日光が遮られたり、風通しが悪くなったりしないよう配慮されている。
 
また盆地内にあり風の測定に影響がある[[雲仙岳]]特別地域気象観測所のように、近くの山頂に測風塔のみ移設して風観測している場合もある。
 
積雪計は日本海側・山岳地の豪雪地帯などに集中的に設置され、それ以外の地域では気象台に併設するアメダスのみ設置となっている場合が多い。また積雪が非常にまれな暖候地では、気象台も含めて1台も設置されていない県がある。(静岡県・宮崎県・沖縄県等)
 
設置される機器をみると、まず観測データを集めてアメダスセンターに送ったり電源を供給したりするデータ変換装置が[[筐体]]に収納される形で設置される。データ変換装置は多くが屋外に設置されるが、屋内のものもある。
 
[[気象業務法]]第9条により、観測を行う機器は[[気象測器検定]]に合格したものでなければならないと規定されている。また同法37条により、観測機器を故意に壊した者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金の刑に処せられる。
 
== 観測網 ==