「ベンジャミン・リベット」の版間の差分

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リベットは後に、主観的な感覚の時間軸上の後ろ向き参照を媒介する、あるいは説明するような、''神経機構''は無さそうである、と結論した<ref name="L2004">{{cite book|last1=Libet|first1=Benjamin|title=Mind Time - The Temporal Factor in Consciousness|year=2004|publisher=Harvard University Press|isbn=0-674-01320-4}}</ref>。リベットは[[事象関連電位|誘発電位]](EP)は、時間マーカーとして機能すると想定した。誘発電位は皮膚刺激の約25ミリ秒後にふさわしい脳の感覚領域に出現する鋭い、正の電位である。リベットの実験は、時間軸上でこの時間マーカーにまで遡るような、自動的な意識的経験の主観的な参照が存在するということを示した<ref name="L19792L1979" />。皮膚の感覚は、皮膚刺激から約500ミリ秒が経過しないと我々の意識に上らないが、我々は主観的にはこの感覚が刺激と同時に起こったように感じる。
 
リベットにとっては、これらの主観的な参照は、脳の中に対応する神経基盤の無い、純粋に精神的な機能であるように見えたようである。実際に、この示唆は以下のようにより広く一般化することができる。<blockquote>ニューロンのパターンから主観的な表象への変換は、ニューロンのパターンから生じた精神の中において発達するようである。... 精神的な主観的機能についての私の見方は、それは適切な脳機能の性質が現れたものだ、というものである。意識的な精神は、それを生じる脳過程が無ければ存在することが出来ない。しかし、脳活動から、この物理的なシステムに特有の「性質」として出現しておきながら、精神は、それを生み出した脳神経の中にははっきりと認められないような現象を示すことができる。<ref>Libet, B. (2004). op. cit. pp. 86-87.</ref></blockquote>