「タッチ (漫画)」の版間の差分

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[[高校野球]]と恋愛の2本を軸にしたストーリー展開である。分類としては[[野球漫画]]だが、野球に興味が薄い人間にも受け入れられたのは、普遍的なテーマ性が作品全体に表れているためである。こうした作風は本作より先に『[[週刊少年サンデー超|週刊少年サンデー増刊号]]』で連載していた『[[ナイン (漫画)|ナイン]]』の路線を踏襲したものである。
 
それまでは原作者を立てたり隔週での連載を行っていたあだちにとって、本作が初のオリジナルの週刊連載。タイトルの『タッチ』は、『[[ナイン (漫画)|ナイン]]』や『[[みゆき (漫画)|みゆき]]』を踏襲する3文字の単語かつ野球用語であることから着想を得る。連載のごく初期に、立ち上げ時からの担当編集者との打ち合わせで和也を死亡させる展開を決定し、『タッチ』にはバトンタッチの意味を込めることとなった。これは弟の夢を兄が受け継いでいくことを表している<ref>{{Cite |和書 |title=ダ・ヴィンチ 2012年12月号|date=2012-11-06 |publisher=メディアファクトリー |quote=「できのいい弟がいなくなって、残されたできの悪いやつが頑張る。亡くなるところまでは最初にちゃんと考えておいたんで、そんなに苦労はしないで描けたんですよ。」 }}あだち充2万字インタビュー&解体全書より。</ref><ref name=movie2005pamphlet>{{Cite |和書 |title=実写映画「タッチ」劇場用パンフレット |date=2005-9-10 |publisher=東宝 |quote=インタビュアー「「タッチ」というタイトルですが、通常は達也と和也がその状況や立場をタッチする意味ですよね?」あだち充「はい。(中略)当時は「みゆき」も「ナイン」も三文字ぐらいで決めていたから。(笑)兄弟の片方が死んでバトンタッチする展開や達也という名も後から考えましたね。とにかく、あまり限定されないイメージですよ。」 }}「監督×原作者あだち充対談」より。</ref><ref name="kamentotsu">『[[ゲッサン]]』2016年11月号 pp.106-107「カメントツの漫画ならず道」。2016年10月12日発行・発売。</ref><ref name="davinci20161022">{{Cite web |url=http://ddnavi.com/news/329541/a/ |title=『タッチ』のタイトルの由来にファン衝撃「驚きすぎて声も出ないわ(呆然)」 |accessdate=2016-10-23 |date=2016-10-22 |work=[[ダ・ヴィンチニュース]] |publisher=[[カドカワ]]}}</ref><ref>{{Cite |和書 |title=少年サンデーグラフィック 劇場用アニメ タッチ3 背番号のないエース |date=1986-5-7 |publisher=[[小学館]] |pages=53 |quote=Q「タッチの意味は」A「カタカナ三文字で野球に関係する言葉とだけ考えていたので『タッちゃん』とダブったのは偶然です。」}}「おもわず答えた…充先生、ハイ!! Q&A 100」より。</ref><ref name="adachibon20180808">{{Cite |和書 |title=漫画家本vol.6 あだち充本|date=2018-8-8 |publisher=[[小学館]]}} </ref>{{refn|group="注"|あだちは原作付きの剣道漫画『夕陽よ昇れ!!』で双子の片割れが死亡する展開を手がけた経験があった。あだち本人も連載開始前から和也を死亡させる構想を密かに持っていたが、当時の担当編集者も前任の担当(『夕陽よ昇れ!!』の担当)に今後の展開を相談した際に、和也を死亡させるようアドバイスされ感銘を受けていた。和也の死亡について先に切り出したのは担当の方だったという。そのため人気作品の人気キャラクターの死というハイリスクな展開ながら、両者の合意形成はスムーズだった<ref name="adachibon20180808"/>。}}。編集長をはじめとして当時の編集部は和也を死亡させることに強硬に反対し、連載中に配置替えしたでの後任担当編集者にも和也を殺すなと伝えるように命令していた。だがはじめは編集部側だったその担当も徐々にあだちの側に付くこととなる。和也の死亡が確定する第67話の原稿を描き上げたあだちは行方をくらませ、担当も密かに校了を終わらせて編集部から逃亡する{{refn|group="注"|当時の担当編集から「人気のあるキャラだから殺すな」と散々言われていたものの、死なないように描かされるのを嫌がったあだちは、原稿を置いて行方をくらませたと話している<ref name="kamentotsu"/><ref name="davinci20161022"/>。}}<ref name="adachibon20180808"/>。和也が死んだ際にはスタッフで和也の[[告別式]]が行われ、和也役の[[難波圭一]]が弔辞を担当した。当初に構想したバトンタッチ劇となる7巻以後、重くなるストーリー展開をなるべく軽妙にしようとあだちが参考にしたのはテレビドラマ『[[池中玄太80キロ]]』であったという<ref>『「ダメ!」と言われてメガヒット』p.73</ref>。この死者が生者を呪縛するテーマをもって漫画評論家の[[夏目房之介]]は、ラブコメの名作と評する一方で、『[[あしたのジョー]]』『[[エースをねらえ!]]』と連なる作品と位置付けた。
 
本作での主人公の兄弟関係の設定は、あだち充と兄の漫画家・[[あだち勉]]の関係の反映という見方も存在する<ref>『コミック・フィギュア王 平成版』[[ワールドフォトプレス]]、1999年</ref>。序盤においては表面上は賢弟愚兄の物語だが、ストーリーの進行につれて弟への遠慮もあって隠していた才能を兄が開花させていく。