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血液凝固因子を作るのに不可欠な[[ビタミンK]]や大豆由来の[[タンパク質]]が豊富であり、現在でも上質なタンパク質源とも言える。[[食物繊維]]は100グラム中に4.9 - 7.6グラムと豊富に含まれる<ref>[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802.htm 五訂増補日本食品標準成分表] 文部科学省</ref>。[[食物繊維]]は[[オリゴ糖]]等と共に[[プレバイオティクス]]と呼ばれる腸内環境に有用な成分であり、納豆菌は[[プロバイオティクス]]と呼ばれ、これも腸内環境に有用と考えられている。納豆には殺菌作用が認められ、[[O157]]を抗菌することがわかっている<ref>須見洋行「納豆菌が持つ抗菌活性―O-157に対する生育阻害効果」『新しい食品素材と機能バイオインダストリー』14 (2)、pp.47-50。</ref>。抗生物質が見出される以前は、[[赤痢]]<ref>河村一、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/kansenshogakuzasshi1926/10/9/10_9_948/_article/-char/ja/ 納豆菌ノ赤痢菌ニ對スル拮抗作用ニ就テ] 日本傳染病學會雜誌 Vol.10 (1935-1936) No.9 P.948-955, {{doi|10.11552/kansenshogakuzasshi1926.10.948}}</ref>、[[腸チフス]]<ref name=kansenshogakuzasshi1926.11.755>櫻田穆、[http://doi.org/10.11552/kansenshogakuzasshi1926.11.755 「チフス」の納豆菌療法の意義] 日本傳染病學會雜誌 Vol. 11 (1936-1937) No. 7 P 755-761,{{doi|10.11552/kansenshogakuzasshi1926.11.755}}</ref>、[[病原性大腸菌]]などの増殖を抑制する<ref name=j-nattokinase>[http://j-nattokinase.org/nattokinase/natto.html 納豆菌] 日本ナットキナーゼ協会</ref>作用があることから、腹痛や下痢の治療に用いられていた事がある<ref name=kansenshogakuzasshi1926.11.755 />。納豆に含まれる[[ジピコリン酸]]は、抗菌作用を有し、[[溶連菌]]、[[ビブリオ]]、病原性大腸菌などへの抗菌効果が認められている<ref>須見洋行、大杉忠則、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/73/12/73_12_1289/_article/cited-by/-char/ja/ 納豆および納豆菌中の抗菌成分ジピコリン酸] 日本農芸化学会誌 Vol.73 (1999) No.12 P.1289-1291, {{doi|10.1271/nogeikagaku1924.73.1289}}</ref>。
 
納豆には血栓を溶かす酵素が含まれており<ref>H. Sumi, H. Hamada, H. Tsushima et al. [http://www.springerlink.com/content/p2208h710613t971/ "A novel fibrinolytic enzyme (nattokinase) in the vegetable cheese Natto; a typical and popular soybean food in the Japanese diet"] Cellular and Molecular Life Sciences (CMLS) 43 (10), 1987年10月, pp.1110-1111</ref>、納豆から単離した[[ナットウキナーゼ]]を経口投与したイヌで血栓の溶解が観察されたという報告がある<ref>Sumi, H. et al. [http://www.jafra.gr.jp/eng/natto3.html "Enhancement of the fibrinolytic activity in plasma by oral administration of nattokinase"] Acta Haematol 84 (3), 1990, pp.139-143</ref>。
 
但し、ナットウキナーゼはタンパク質なので、口から摂取すると胃や腸の強力なタンパク質消化酵素(ペプシンやトリプシンなど)でアミノ酸にまで消化分解されてしまいます。これはタンパク質特有の弱点で、腸から吸収されて血管内に入る前に、ナットウキナーゼ自体が溶かされて(消化されて)しまいます。このため経口では血栓を溶解する前にナットウキナーゼ自体が先に壊されるので血栓を溶解できないのです。経口では消化されるという弱点を克服するためには、直接血管内に注入(点滴静注)すれば、タンパク質起源医薬品の血栓溶解剤ウロキナーゼ(注射剤)と同様に効果が出る可能性は有ります。
 
納豆に含まれるビタミンK<sub>2</sub>は骨タンパク質の働きや骨形成を促進することから、ビタミンK<sub>2</sub>を多く含む納豆が、特定保健用食品として許可されている<ref>[http://www.mizkan.co.jp/chilled/shohinshokai/01_hone.html ほね元気] [[ミツカン]]</ref><ref>[http://www.mizkan.co.jp/company/csr/rd/honegenki.html 特定保健食品に]</ref>。また、[[ポリグルタミン酸]]にはカルシウムの吸収促進効果があるため、納豆から抽出されたポリグルタミン酸が[[健康食品#特定保健用食品|特定保健用食品]]として許可されている<ref>[http://www.ajinomoto.co.jp/calvital/ カルバイタル] [[味の素]]</ref>。納豆菌の一部には、安定した芽胞のまま腸内まで生きて到達してビフィズス菌を増やし腸内環境を正常化する効果があることから、そのような効果を持つ納豆が特定保健用食品として認可されている<ref>[http://www.asahimatsu.co.jp/onaka/ おなか納豆] [[旭松食品]]</ref>。
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* [[日系アメリカ人]][[移民]]の多い[[ハワイ州]]や[[カリフォルニア州]]には[[豆腐]]製造業者があり、納豆も製造販売されている。
* 以下の地域では、納豆あるいは乾燥納豆と似た大豆発酵食品が製造されているが、納豆菌ではなく広い意味での枯草菌類の発酵作用を利用した食品である。日本の納豆は発酵作用が進むことにより、数日で食することが困難になる場合もあるが、以下の各国の大豆発酵食品は朝鮮の「清麹醤(チョングッチャン)」のように長期保存が可能なものもある。
** [[ヒマラヤ山脈|ヒマラヤ]]麓の[[ネパール]]および[[ブータン]]、[[インド]]の[[西ベンガル州]]と[[シッキム州]]、中国[[雲南省]]から[[タイ王国|タイ]]をはじめとする[[東南アジア]]にかけた地域に見られる<ref>原敏夫、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/28/10/28_10_676/_article/-char/ja/ 納豆のルーツを求めて] 化学と生物 Vol.28 (1990) No.10 P.676-681, {{doi|10.1271/kagakutoseibutsu1962.28.676}}</ref>。[[タイ王国|タイ]]・[[ラオス]]では[[トゥア・ナオ]]という加工食品を作る<ref>吉田よし子『マメな豆の話: 世界の豆食文化をたずねて(平凡社新書)』平凡社、2000年 (ISBN 4582850383)。および、横山智「東南アジア大陸部のナットウ」『モンスーンアジアのフードと風土』明石書店、2012年、pp.132-148 (ISBN 4750336610)</ref>。
** [[朝鮮半島]]: [[チョングッチャン]](清麹醤、{{Lang|ko|청국장}})。
** [[インドネシア]]など東南アジア諸国: [[テンペ]]。大豆などをテンペ菌で発酵させる発酵食品。