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『'''恐竜戦隊ジュウレンジャー'''』(きょうりゅうせんたいジュウレンジャー)は、[[1992年]](平成4年)[[2月21日]]から[[1993年]](平成5年)[[2月12日]]まで[[テレビ朝日]]系列で毎週金曜17:30 - 17:55([[日本標準時|JST]])に全50話が放送された、[[東映]]制作の[[特撮テレビ番組一覧|特撮テレビドラマ]]、および作中で主人公たちが変身するヒーローの名称。
 
== 概要 ==
古代人類の戦士ジュウレンジャーと、人類滅亡を企む魔女バンドーラの一味の戦いを描いた本作品では、太古の動物であることから流行とは無関係であり、同時に大きく強い存在が子供たちの憧れであるという理由から、[[恐竜]]がモチーフとして選択されている{{Sfn|完全マテリアルブック 下巻|2002|p=20-21}}。また、当時[[マイケル・クライトン]]原作の小説『[[ジュラシック・パーク]]』のベストセラーや、[[スティーヴン・スピルバーグ]]が監督を務める同作品の映画版の制作が発表されたことも、このメインテーマの選定に影響を与えている<ref name="超世紀148">{{Harvnb|大全集|1993|pp=148-150|loc=「新たな世紀に向けて 企画者インタビュー [[鈴木武幸]]」}}</ref>。
 
『恐竜戦隊』と題されているが、哺乳類である[[剣歯虎|サーベルタイガー]]や[[マンモス]]、翼竜である[[プテラノドン]]など、恐竜以外の生物をモチーフにしているメンバーが多く、厳密な意味で恐竜に属するのは[[ティラノサウルス]]と[[トリケラトプス]]だけである。これは5体すべてを恐竜にすることで、デザインラインが似通ってしまうことを避けた結果である{{Sfn|アートコレクション 戦隊ロボ編|2002|p=89}}。初期設定での5体のモチーフには、ティラノサウルス(赤)、トリケラトプス(緑)、プテラノドン(青)、[[ブラキオサウルス]](黒)、[[ステゴサウルス]](黄)が設定されていた<ref name="material21">{{Harvnb|完全マテリアルブック 下巻|2002|p=21}}</ref>。しかし、モチーフとなった実際の生物にかかわらず、本作品では守護獣を「1億7千万年前の人類が各部族の象徴としていた恐竜」と設定している。
 
本作品よりバンダイの戦隊担当となった[[野中剛]]は、従来悪役イメージが強かった恐竜のイメージを覆すため、キャラクターの曲線を増やしたり、アーマーを強調するなど様々な提案を行った<ref name="gangu">{{Cite journal|和書|date = 2000-08-04|journal = 玩具人生|issue = 1|pages = 52-53|publisher = [[音楽専科社]]}}</ref>。また、本作品よりメインデザイナーに昇格した[[プレックス]]の加藤大志は大獣神の頭部デザインを人間的にイメージしていたが、最終的に神像をイメージした頭部に変更させている<ref name="gangu"/>。
 
スーパー戦隊シリーズは前作『[[鳥人戦隊ジェットマン]]』まで「-マン」表記が主流だったが、本作品では『[[秘密戦隊ゴレンジャー]]』や『[[高速戦隊ターボレンジャー]]』と同じく「-レンジャー」表記が導入され、これ以降は「-レンジャー」表記の戦隊が多くなった。タイトルロゴにも特徴があり、「ジュウレンジャー」の下に「獣連者」と漢字で書かれているが、これは名称から10人戦隊と誤解されることを防ぐための工夫である{{Sfn|完全マテリアルブック 下巻|2002|p=22}}{{efn|オープニング主題歌を歌った[[佐藤健太]]も、作品名を聞いたときに「今度は10人なのか」と思ったという<ref name="199pamphlet">『[[ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦]]』劇場パンフレット</ref>。}}。
 
また、前作『[[鳥人戦隊ジェットマン]]』の敵組織である次元戦団バイラムが、常に仲間割れを起こすなど終始ギスギスした殺伐としたものだった反省から、今回の悪役であるバンドーラ一味は、悪役でも子どもにも愛されるようなどこか憎めない愛嬌のあるタイプに変更されている。
 
=== ファンタジー性とゲーム性 ===
本作品ではファンタジー性や[[ロールプレイングゲーム|RPG]]テイストが強く意識されている<ref name = "超人画報">{{Cite book |和書 |editor=竹書房/イオン編 |date=1995-11-30 |title=超人画報 国産架空ヒーロー40年の歩み |publisher=[[竹書房]] |pages=207 |id=C0076 |isbn=4-88475-874-9}}</ref>{{Sfn|スーパー戦隊画報|2006|p=126|loc=「恐竜戦隊ジュウレンジャー」}}が、これは本作品で戦隊初参加となった、[[杉村升]]の意向である。前作が開拓した大人向け路線から一転して子供向けに戻ったことには反発もあったが、杉村は譲らなかった<ref name="MAX49">切通理作「仮面の世界 梶淳の巻【前編】」、『東映ヒーローMAX』VOLUME 49、辰巳書店〈タツミムック〉、2014年6月、pp.74 - 75</ref>。プロデューサーの[[鈴木武幸]]は、作品を大胆に変えることでターゲットを絞り込み、視聴者の目を引くことが目的であったとしている<ref name="超世紀148" />。企画書では、普遍性のある子供番組とすることや子供の視点に立つことなどが掲げられている<ref name="超世紀167">{{Harvnb|大全集|1993|p=167|loc=「戦隊20年の戦い シリーズの変遷 ファンタジーの導入 恐竜戦隊ジュウレンジャー」}}</ref>。
 
本作品の世界がゲーム的なファンタジーであるため、悪役であるバンドーラ一味も死なないことは決まっていた。その一方、ブライは短命という悲劇性を背負う人物として設定されているが、これは『[[ドラゴンクエストシリーズ|ドラゴンクエスト]]』に見られる「息子が父を越える」というテーマを「弟が兄を越える」と読み換えて構成したものであるうえ、バンドーラの死んだ息子カイと対比を成している<ref name="MAX49" />。
 
ファンタジー性の顕著な例として、従来作の巨大ロボットに当たるキャラクターには、「守護獣」という人知を超えた存在との設定がなされている<ref name="超世紀167" /><ref name = "超人画報" />。ジュウレンジャーを導き助力し、時に試練を与えるという守護獣の存在は、ストーリー面でも添え物以上の活躍を見せた。巨大ロボの存在がドラマパートから乖離しがちであることは前作当時からスタッフ間で懸念されており、メカという設定を廃したのはドラマが続いているという感覚を表現するためである<ref name="MAX49" />。
 
=== 「6人目の戦士」のレギュラー化 ===
本作品では、「6人目の戦士」をスーパー戦隊シリーズとしては初めてレギュラーキャラクターとするアイディアが導入されている<ref name="超世紀167" />。これは視聴率の好調な推移に伴う実験的な試みとして採用された<ref name="material21" />ものだが、スーパー戦隊シリーズの伝統的なフォーマットである「5人で1つ」を崩す反則的なアイデアでもあることから、6人目の準備は東映社内でも極秘裏に進められていたという<ref name="material21" />。当初は本作品限りの予定だったが、予想以上に「6人目の戦士」であるドラゴンレンジャーに人気が集まったことから、翌年以降も「6人目の戦士の登場」がスーパー戦隊シリーズのスタンダードとして定着する形になった{{Sfn|完全マテリアルブック 下巻|2002|pp=21-22}}。
 
=== 評価 ===
以上の本格的なファンタジー世界の構築、6人目の戦士のレギュラー化、海外版の制作開始など、本作品はさまざまな面でシリーズのエポックとなった重要な作品である。マニアからの支持は低かったものの、当時の幼児層からは高い支持を集めることとなった<ref name = "超人画報" />{{Sfn|スーパー戦隊画報|2006|p=137|loc=「BONUS COLUMN 11 『ジュウレンジャー』の真価とは」}}。
 
玩具売上は90億円強<ref>日経産業新聞、1993年4月26日{{要ページ番号|date=2017-12-18}}</ref>という数字を残しており、合体ロボットの売上がスーパー戦隊シリーズでトップの売上を記録した。また、なりきり玩具の中でも獣奏剣は特に人気商品となり、品切れ状態が続くなど、近年の特撮雑誌などで語り草になるほどの大ヒットに至った<ref>トイジャーナル2004年2月号{{要ページ番号|date=2017-12-18}}</ref>。[[プレックス]]に在籍していた[[大石一雄]]は、当時幼稚園児であった自身の子供の間でも、究極大獣神のインパクトが強烈で人気が高かったと述べている<ref name="gangu"/>。
 
日本国外からの評価も高く、アメリカでは本作品をベースにローカライズを施した作品『[[マイティ・モーフィン・パワーレンジャー]]』が放送され<ref>{{Cite book|和書|year = 2012|title = スーパー戦隊 36LEGENDS|publisher = 日之出出版|page = 97|isbn = 978-4891988623|chapter=緑の章 World パワーレンジャー}}</ref>、本作品でバンドーラ役を演じた[[曽我町子]]も同作品に[[リタ・レパルサ]]役として出演した<ref>{{Cite journal|和書|author = 大前京太郎(構成・文)|author2 = NIRDY(構成・文)||author3 = ヤス(構成・文)|date = 2001|title = ガオレンジャーVSパワーレンジャー|journal = [[フィギュア王]]|volume = No.44|page = 25|publisher = [[ワールドフォトプレス]]|isbn = 978-4846523183}}</ref>。
 
== あらすじ ==