「人工透析」の版間の差分

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== 透析患者の主な合併症 ==
主な合併症<ref>[https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/neph/patient/kidney_disease/coexisting_illness.html 血液透析・腹膜透析に共通する合併症] 東邦大学医療センター大森病院 腎センター</ref>は、
* 貧血と腎臓~腎性貧血
* 骨と腎臓~腎性骨異栄養症
* 透析アミロイド症(手根管症候群、ばね指、骨・関節症)
* 動脈硬化・石灰化症
* 心不全・肺水腫
* 感染症
* かゆみ
* 悪性腫瘍<ref>大城吉則、与那覇博隆、謝花政秀 ほか、[https://doi.org/10.4009/jsdt1985.26.389 維持透析患者に合併した膀胱腫瘍の3例] 日本透析療法学会雑誌 1993年 26巻 3号 p.389-392, {{doi|10.4009/jsdt1985.26.389}}</ref>。林(1997)は、腎臓、大腸の腫瘍のみ高頻度で発生する可能性を報告している<ref>林春幸、林秀樹、村田紀 ほか、[https://doi.org/10.4009/jsdt.30.1363 一透析施設における維持透析患者の悪性腫瘍の罹患率] 日本透析医学会雑誌 1997年 30巻 12号 p.1363-1368, {{doi|10.4009/jsdt.30.1363}}</ref>。
 
=== 慢性腎不全の高血圧 ===
腎不全患者の血圧管理は透析導入前と透析導入後でマネジメントが大きく異なる。透析導入前の血圧管理は糸球体内圧の上昇による腎障害の進行を防ぐのが目標であり、塩分制限といった食事療法や降圧剤の投与といったことがされる。降圧剤はガイドラインではACE阻害薬やARBからはじめ、コントロール不良であったら、カルシウム拮抗薬や利尿薬を併用しシナジーを得るようにするように進められている。カルシウム拮抗薬に比べて、その他の降圧薬は効果が出るのに時間がかかるので外来での内服開始後、1週間くらいでは効果が分からないことが多い。降圧剤の選択に関しては腎機能が高度に障害されるとそれ相応の処方の仕方というものがある。[[カルシウム拮抗薬]]は輸入細動脈を拡張させる作用があり、ACE阻害薬やARBは輸出細動脈を拡張させ糸球体内圧を低下させ蛋白尿の減少を行う作用がある。カルシウム拮抗薬は全体の血圧が下がれば悪影響はないと考えられているが、降圧効果不十分であると糸球体内圧を上げ腎障害を進行させるリスクがある。そのためガイドラインでは腎障害時の降圧薬としてはACE阻害薬やARBが推奨されているが、これらの薬は一過性にGFRを低下させる作用もある(代償機能をブロックするため)。そのため高度の腎障害の時に処方開始すると糸球体虚脱を起こすリスクがある。また利尿薬はループ利尿薬とサイアザイド系がよく用いられるが、サイアザイド系は糸球体濾過量が50mL/min以下では全く降圧効果がないため注意が必要である。