「サプライチェーン・マネジメント」の版間の差分

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グローバルSCMとGlobal Weekly PSIについて追記
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以上はあくまで、一般論であり、企業間競争が激化する昨今では、特定の産業が持つサプライチェーンの常識にとらわれずに、短納期化を推進することで、競合他社との差別化をはかる動きが顕著になっている。
 
 1980年代頃から中間在庫をどのプロセスで持つかで、企業のビジネスモデルを分類したりする経営理論が流行した。[[デル]]は部品の段階で在庫を持ち、顧客の注文に応じた組立てを行うことで、不良在庫を減らし顧客満足度を向上して大成功した。デルのこのSCMを上述のように「{{lang|en|build to order}}」(BTO)という。今ではBTOはほとんどのパソコンメーカーで行われている。
現在、製造業ではSCMによるビジネスモデルの構築は常識となっている。
 
 グローバルSCMでは、上記の素材~組立~流通~小売のサプライチェーンを同期化させて、グローバルレベルでのオペレーションの同期化を図る取り組みが進んでいる。古くは、自動車産業の部品サプライヤー間でのグローバルSCMにはじまり、2000年代に入ってからは自動車以外の製造業のグローバル・プレーヤーがSCM構築に取り組んでいる。例えば、東南アジアの部品サプライヤー=>中国の完成メーカー=>欧州小売店舗といったグローバルSCMを、Global Weekly PSI(週次の定期発注の在庫管理方式)で同期化する取組みが進み、サプライチェーン内の在庫(原材料間材、完成品)を高速回転させる仕組みが定着している。
SCMの構築は、経営者の観点からはROAの改善を目的として、インバウンドSCMにおける在庫削減に取り組むケースや、客向けの短納期対応を目的として、アウトバウンドSCMにおける即納体制の整備に取り組むケースなどがある。こうしたSCM構築の取組みの多くは、必ずしも特定のソリューション・パッケージの導入で問題が解決するものではない。むしろ、経営目標にあわせた仮説検証型の現状業務の分析を通して、将来にわたって企業活動の競争優位を確保するために、業務プロセスのあるべき姿を定義するところからスタートすることが一般的といえよう。
 
 ここで、Global Weekly PSI構築の考慮点としては、原材料から最終消費までのリードタイムが比較的長いことがあげられる。例えば、東南アジアの部材が、中国で最終組立されて、欧州の店舗にとどくまでに、船便であれば10週間前後のリードタイムがかかるケースがある。このため、PSI計画の運用では、最終消費の需要の読み(=Sの値の置き方)と、在庫の高さ(=Iの在庫日数)の設定方法、リードタイムをずらした後の原材料や完成品の生産ポジション、供給量(=Pの値の算出)の決定をPSI計画上でシミュレーションすることで、実際のSCMオペレーションの最適化を図る取り組みが一般的である。
 
 SCMの構築は、経営者の観点からはROAの改善を目的として、インバウンドSCMにおける在庫削減に取り組むケースや、客向けの短納期対応を目的として、アウトバウンドSCMにおける即納体制の整備に取り組むケースなどがある。こうしたSCM構築の取組みの多くは、必ずしも特定のソリューション・パッケージの導入で問題が解決するものではない。むしろ、経営目標にあわせた仮説検証型の現状業務の分析を通して、将来にわたって企業活動の競争優位を確保するために、業務プロセスのあるべき姿を定義するところからスタートすることが一般的といえよう。
 
SCM構築を成功させる上では、企業活動における業務プロセス上のイノベーションを実現するための取組み課題を適切に抽出し、課題定義することができるか否かが重要なチェックポイントとなる。言い換えれば、SCMを中心テーマとして業務改革、意識改革、組織改革といった企業活動を取り巻く経営環境や企業文化に踏み込んで、業務遂行上の課題を的確に把握し、新たなビジネス・モデルの設計と新規業務プロセスへの移行を着実に実施することがSCM構築において重要である。