「ミュオンスピン回転」の版間の差分
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== 原理 ==
ミュオンは[[パイ中間子]]の自然崩壊(平均寿命26ナノ秒)で生成するが、この崩壊過程は[[弱い相互作用]]によるため[[パリティ (物理学)|パリティ]]が保存されず、結果としてミュオンのスピンは生成時の運動方向にほぼ100%偏極している。従って、パイ中間子の崩壊時に一定の方向に飛び出すミュオンを集めることにより、自然に100%スピン偏極したイオンビーム([[粒子線]])を得ることができる。ミュオンスピン回転法ではこのようにスピン偏極したミュオンを調べたい試料に注入し、注入した時刻を時間原点としてミュオンスピンの運動を観察する。
ミュオンはスピン1/2の粒子であるため、物質内部では磁場のみを感じてスピン([[磁気モーメント]])が回転運動をする。この回転運動(ラーモア歳差運動)の周波数はミュオンの位置における磁場に比例するので、回転周波数から直ちにミュオンが感じている磁場を知ることができる。この比例係数を[[磁気回転比]](gyromagnetic ratio)と呼び、ミュオンでは 135.53 MHz/T である。この値は他のいかなる[[核磁気モーメント]]が持つ値と比べても大きく、ミュオンが試料の内部磁場に敏感である理由の一つとなっている。
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