「ブローニングM2重機関銃」の版間の差分

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[[日本]]では、[[住友重機械工業]]の田無製造所が[[1984年]]から[[ライセンス生産]]しており、主に[[自衛隊]]で使用している。[[陸上自衛隊]]では主に車載[[機関銃]]や対空用として「'''12.7mm重機関銃M2'''」という名称で採用しており、[[海上自衛隊]]でも[[護衛艦]]などに[[不審船]]対処用として搭載しているほか、[[航空自衛隊]]でも本機関銃を四連装とした[[M16対空自走砲#M45銃架|M55機関銃トレーラー]]を基地防空用として採用した<ref>後継機種である[[VADS]]の導入にともなって現在では実戦運用を外れており、予備装備として保管されるのみである。</ref>。現在では前述のQCB仕様のものが調達されている。調達価格は約530万円。
 
==操作==
装填は銃本体のフィードカバーを前方へ押し上げて、ベルトの第1弾を給弾口に差し入れた後、コッキングレバーを後方へ引く必要がある。カバーを開けずに装填も可能であるが、この場合コッキングレバーを二度引かないと薬室に初弾が入らない。発砲は指で後部に露出するトリガーを親指で押す'''押金式'''で、トリガー下のボルト・ラッチ・リリース(セレクター)の切り替えで、セミ/フルオートの選択が可能である<ref>[[上田信 (イラストレーター)|上田信]]『COMBAT BIBLE2』「M2 HMG(重機関銃)」、49頁。</ref>。射撃方向も両脇ハンドルで変える
 
== 特徴 ==
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M2は、[[12.7x99mm NATO弾|12.7mm弾]]を音速の3倍の速度で発射する。M2の精度は素晴らしく、800m先の標的にも正確に命中する。
[[第二次世界大戦]]時、[[弾帯|給弾ベルト]]の長さが9ヤード(およそ8m)あった事から、それを全部撃ち尽くすという意味で「9ヤードをお見舞いしろ!」という表現が生まれた。
 
射撃は引き金を引くのではなく、後部に露出するレバーを親指で押す方式。射撃方向も両脇ハンドルで変える。
 
[[歩兵]]の場合、3名のチームで運用するため[[:En:Crew-served weapon|CSW]](Crew Served Weapon)の一種である。画像にある三脚は対地攻撃用のM3三脚架(現在は[[M205三脚]]へ代替中)で、銃自体とは別の装備品である(本来は(実際には不可能だが)他の機関銃同様、ハンドルの保持だけで撃つもの)。[[M60パットン]]・[[M1エイブラムス]]などの戦車や[[M113装甲兵員輸送車|M113]]・[[M109 155mm自走榴弾砲|M109]]といった[[装甲戦闘車両]]では主に[[指揮官|車長]]用[[武装]]として[[キューポラ]]に、ソフトスキン車輌では[[キャビン]]上にマウントリングを追加して自由に旋回させられるようにして装備している。さらに、近年はM2を搭載した遠隔操作銃座([[RWS]])が複数種開発され、[[ストライカー装甲車|ストライカーICV]]などの車輌に搭載されている。
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|[[陸上自衛隊]]の[[AAV7]]に搭載されたM2。
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装填は銃本体のフィードカバーを前方へ押し上げて、ベルトの第1弾を給弾口に差し入れた後、コッキングレバーを後方へ引く必要がある。カバーを開けずに装填も可能であるが、この場合コッキングレバーを二度引かないと薬室に初弾が入らない。発砲は指でトリガーを押す'''押金式'''で、トリガー下のボルト・ラッチ・リリース(セレクター)の切り替えで、セミ/フルオートの選択が可能である<ref>[[上田信 (イラストレーター)|上田信]]『COMBAT BIBLE2』「M2 HMG(重機関銃)」、49頁。</ref>。
 
銃身は100発程度の発砲で銃身の温度が約130-230℃に達する。するとこれにより、銃身底部と機関部の間隔を調整する'''頭部間隙'''(ヘッドスペース)の調整と、撃発と排莢のタイミングを最適化する'''タイミング調整'''という作業が必須となる。これを怠ると命中精度が著しく損なわれる他、排莢不良や過大な発射ガス漏れによる射手の負傷など、事故へとつながる。調整にはそれぞれ専用の[[すきまゲージ|シックネスゲージ]]を用いて行われる。本稿冒頭で紹介した[[FNハースタル]]社のFN M2HB-QCBは、この調整作業を省略できるようにした改良である。
 
[[陸上自衛隊]]でも戦車や装甲車への車載用の他、各部隊が対地対空兵器として装備しており、年間80挺を新規調達している。M3銃架は[[96式40mm自動てき弾銃]]と互換性がある。[[対空兵器]]として地上設置する場合はM63対空銃架を使用する。[[海上自衛隊]]でも[[護衛艦]]などに数挺搭載していたが、現代戦では威力不足と短射程を理由に一時期搭載する艦艇はなくなった。しかし、[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]の[[不審船事件]]などを受けて、皮肉なことに現役艦載武器の威力過剰<ref>[[艦砲]]や[[ミサイル]]では不審船のような小型船を一撃で撃沈してしまう。また、[[威嚇射撃]]にしても対費用効果が高すぎる欠点があった。</ref>が問題とされて、小目標に対する適切な火力を有する本銃が再び搭載されるようになった。なお、M2は艦艇固有の装備ではなく搭載品として扱われている。[[海上保安庁]]では「13ミリ機銃」と呼称され、多くの[[巡視艇]]に装備されている。