「討幕の密勅」の版間の差分
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==本文==
(原文)
(訓読文)詔す。源慶喜、累世(るゐせい)の威(ゐ)を籍(か)り、闔族(かふぞく)の強(きゃう)を恃(たの)み、妄(みだり)に忠良を賊害(ぞくがい)し、数(しばしば)王命を棄絶し、遂には先帝の詔を矯(た)めて懼(おそ)れず、万民を溝壑(こうがく)に擠(おと)し顧みず、罪悪の至る所、神州将(まさ)に傾覆(けいふく)せんとす。▼
:詔。源慶喜、籍累世之威、恃闔族之強、妄賊害忠良、数棄絶
朕、今、民の父母たり、この賊にして討たずむば、何を以て、上は先帝の霊に謝し、下は万民の深讐(しんしう)に報いむや。これ、朕の憂憤(いうふん)の在る所、諒闇(りゃうあん)を顧みざるは、萬(ばん)已(や)むべからざれば也(なり)。汝(なんじ)、宜しく朕の心を体して、賊臣慶喜を殄戮(てんりく)し、以て速やかに回天の偉勲を奏し、而して、生霊(せいれい)を山嶽の安きに措(お)くべし。此れ朕の願なれば、敢へて或(まど)ひ懈(おこた)ること無(な)かれ▼
:王命遂矯
:先帝之詔而不懼、擠万民於溝壑而不顧、罪悪所至
:神州将傾覆焉 朕、今、為民之父母、是賊而不討、何以、上謝
:先帝之霊、下報萬民之深讐哉。此、朕之憂憤所在、諒闇而不顧者、萬不可已也。汝、宜体 朕之心、殄戮賊臣慶喜、以速奏回天之偉勲、而、措生霊于山嶽之安。此 朕之願、無敢或懈。
(訓読文)
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▲:朕、今、民の父母たり、この賊にして討たずむば、何を以て、上は先帝の霊に謝し、下は万民の深讐(しんしう)に報いむや。これ、朕の憂憤(いうふん)の在る所、諒闇(りゃうあん)を顧みざるは、萬(ばん)已(や)むべからざれば也(なり)。汝(なんじ)、宜しく朕の心を体して、賊臣慶喜を殄戮(てんりく)し、以て速やかに回天の偉勲を奏し、而して、生霊(せいれい)を山嶽の安きに措(お)くべし。此れ朕の願なれば、敢へて或(まど)ひ懈(おこた)ること無(な)かれ。
(新仮名遣い)
:みことのりす。みなもとのよしのぶ、るいせいのいをかり、こうぞくのきょうをたのみ、みだりにちゅうりょうをぞくがいし、しばしばおうめいをきぜつし、ついにはせんていのみことのりをためておそれず、ばんみんをこうがくにおとしかえりみず、ざいあくのいたるところ、しんしゅうまさにけいふくせんとす。
:ちん、いま、たみのふぼたり、このぞくにしてうたずんば、なにをもって、かみはせんていのれいにしゃし、しもはばんみんのしんしゅうにむくいんや。これ、ちんのゆうふんのあるところ、りょうあんをかえりみざるは、ばんやむべからざればなり。なんじ、よろしくちんのしんをたいして、ぞくしんよしのぶをてんりくし、もってすみやかにかいてんのいこうをそうし、しかして、せいれいをさんがくのやすきにおくべし。これちんのねがいなれば、あえてまどいおこたることなかれ。
(訳文)
:詔勅を下します。源慶喜(徳川慶喜)は、歴代長年の権威を笠に着て、一族の兵力が強大なことをたよりにして、みだりに忠実で善良な人を殺傷し、天皇の命令を無視してきました。そしてついには、先の天皇(孝明天皇)が下した詔勅を曲解して恐縮することもなく、人民を苦境に陥れて顧みることもありません。この罪悪の行き着くところは、まさに日本を転覆するものとなるでしょう。
:私(明治天皇)は今、人民の父母となりました。この賊臣を排斥しなければ、いかにして、上に向かっては先の天皇の霊に謝罪し、下に向かっては人民の深いうらみに報いることが出来るでありましょう。これこそが、私の憂い、憤る理由です。本来であれば、先の天皇の喪に服して慎むべきところではありますが、やむを得ません。あなたは、私の意図するところをよく理解して、賊臣である慶喜を殺害し、時勢を一転させる大きな手柄をあげ、国の安定を回復してください。これこそが私の願いですから、戸惑うことなく、滞りなく実行しなさい。
== 脚注 ==
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