「吃音症」の版間の差分

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近年、一般的に周知されている[[発達障害]]である([[自閉症]]、[[高機能自閉症]]、[[アスペルガー症候群]]、[[広汎性発達障害]]、[[ADHD]]、[[学習障害]])などと吃音が併発する場合も存在すると報告が出ている。[[てんかん]]、[[精神発達遅滞]]も併存する場合もあるとのこと。純粋吃音者は49%であり、何らかのその他の発達の症状が51%に見られるという
<ref>{{cite journal|author=Boulet SL, Boyle CA, Schieve LA|date=2009|title=Health care use and health and functional impact of developmental disabilities among US children, 1997-2005|url=|journal=Arch Pediatr Adolesc Med|volume=163|issue=1|pages=19–26|doi=10.1001/archpediatrics.2008.506|pmid=19124699}}</ref>。日本国内でも「吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討」が音声言語医学に掲載され、吃音とその他の発達障害を持つ人が存在することがわかった
<ref>{{Cite富里周太、大石直樹、浅野和海 web |url=httpほか、[https://wwwdoi.jstageorg/10.jst.go.jp/article5112/jjlp/.57/1/57_7/_article/-char/ja/.7 |title=原著】吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討] |publisher=[[音声言語医学(jstage)]]』 2016年 57巻 1号 p.7-11, {{doi|accessdate=2017-12-1310.5112/jjlp.57.7}}</ref>。
 
== 治療・矯正 ==
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* [[自助グループ]]<ref name="NIH" />
 
などがある。吃音には、獲得性吃音(大きく神経原性吃音と心因性吃音に分かれる)と発達性吃音があり、その中での個人差もあるため、それぞれの患者に応じた治療(通常、複数の有効な治療法を組み合わせた治療<ref name=":1">見上 昌睦 (2007). [https://wwwdoi.jstageorg/10.jst5112/jjlp.go48.jp/article/jjlp1960/48/1/48_1_1/_article/-char/ja/ 吃音の進展した幼児に対する直接的言語指導に焦点を当てた治療]. 音声言語医学, ''48'', 1-8., {{doi|10.5112/jjlp.48.1}}</ref>)を行う<ref>谷合 信一・前新 直志・田中 伸明・栗岡 隆臣・冨藤 雅之・荒木 幸仁・塩谷 彰浩 (2015). [https://wwwdoi.jstageorg/10.jst.go.jp/article5112/jjlp/.56/2/56_192/_pdf/-char/ja.192 高齢で発症した心因性吃音症例の経過].音声言語医学, ''2015年 56'', 2号 p.192-198., {{doi|10.5112/jjlp.56.192}}</ref>。
 
また、言語聴覚士などの専門家は、はじめの言葉をゆっくりと引き伸ばすように話す・力を抜いて柔らかい声でそっと話し出す・ひとりごとのようにささやくような声で話す・リズムに合わせて話す、といった話し方の工夫を伝えたり、のど・舌・くちびる・口の力を抜いて話す・吐く息に母音(「あ・い・う・え・お」に当たる音)を乗せるように(「はあー」→「あー」・「ふうー」→「うー」など)母音をゆっくりと伸ばして発音する、といった吃音が出にくくなるコツを伝えたりすることを通じて、本人のサポートを行う<ref>菊池 良和(監修) (2015). 吃音のことがよくわかる本 講談社, 40-41・92-93頁.</ref><ref name=":1" /><ref>見上 昌睦 (2005). [https://wwwdoi.jstageorg/10.jst5112/jjlp.go46.jp/article/jjlp1960/46/1/46_1_21/_article/-char/ja/21 重度吃音学童に対する直接的言語指導に焦点を当てた治療]. 音声言語医学, ''46'', 21-28.</ref>。また、同じ言葉を繰り返し話すことで吃音をする頻度が少しずつ減っていくことから、聞き手が話の内容をしっかりと聞き肯定的な反応を返していくことで、本人の話す意欲を高められるよう支援することも大切である<ref>菊池 良和(監修) (2015). 吃音のことがよくわかる本 講談社, 41-43・48-49・52-53., ISBN 978-4-06-259798-2</ref>。
 
さらに、本人が吃音を持っていても過ごしやすい環境を整備する、環境調整も非常に大切である<ref name=":0">菊池 良和(監修) (2015). 吃音のことがよくわかる本 講談社, 58-67・76-77・80-81頁.</ref>。たとえば学校での場合、学級担任がほかの児童生徒に対してしっかりと働きかけ、吃音に対して否定的な反応(からかい、まねなど)を決してすることのないよう、そして肯定的・受容的な態度をとるよう指導するとともに、授業において一人ずつ音読をしてもらうというスタイルをやめ全員での音読(一斉読み)を常時採用したり、本人が困っているときは率先して手助けをしたりするなどの配慮が大切である<ref name=":0" />。
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* [[リスペリドン]]([[ジョンソン・エンド・ジョンソン]])・[[オランザピン]]([[イーライリリー・アンド・カンパニー|イーライリリー]])は、どちらの薬剤もアメリカの実験で一部吃音者の吃音を軽減させる効果が認められたが、製薬会社は2社とも大規模な臨床試験を断念した<ref>{{Cite news|url=http://www.nytimes.com/2006/09/12/health/12stutt.html|title="To Fight Stuttering, Doctors Look at the Brain"|author="ANDREW POLLACKSEPT"|date=2006-12-12|newspaper=[[ニューヨーク・タイムズ]]|accessdate=2018-3-3}}</ref><ref>[http://saito-therapy.org/new_finding/stuttering_brain.htm]{{リンク切れ|date=2018年3月}}</ref>。
* [[β遮断薬]](ミケラン、アルマール、インデラルなど)は、結婚式の挨拶など特定の場面で、動悸や震えなどの身体症状や強い緊張を伴う一部の吃音症には、ベンゾジアゼピン系抗不安薬との併用で、緩和することがある。
<!--*[[選択的セロトニン再取り込み阻害薬|SSRI]]やベンゾジアゼピン系の抗不安薬も一部の吃音を緩解させる効果があるとされる<ref>[http://homepage2.nifty.com/mmm23232/829.html 「fluvoxamine(商品名ルボックス、デプロメール)長期服用にて吃音症が寛解した2症例」]{{リンク切れ|date=2018年9月}}</ref>。
** SSRIは吃音による過去の不快な情動を消す効果があるとされ、半年以上の長期服用で効果が表れるとされる。ベンゾジアゼピン系抗不安薬も交感神経過緊張を寛解し、吃音を軽症化させる効果があるとされる。また、特定の場面で強い緊張が表れる吃音者に処方する「β遮断薬+ベンゾジアゼピン系抗不安薬」との併用例と異なり、電車に乗るときなど常に不安感を伴う吃音者にはSSRI([[フルボキサミン]])のみ、若しくは「SSRI+ベンゾジアゼピン系抗不安薬」を併せて処方すると、一部吃音症の寛解に効果があるとされる。(SSRIの効果は否定される報告もありコメントアウト)-->
** ただし、筋弛緩作用の強いベンゾジアゼピン系抗不安薬では効果が上げられているとされているものの、抗不安作用は強いが筋弛緩作用の弱いベンゾジアゼピン系抗不安薬は却って吃音症を一時的にせよ重症化させる傾向性が見られるとする報告例がある。また、筋弛緩作用が強いフルニトラゼパム、筋弛緩作用が弱いフルトプラゼパムも一時的ながら吃音症を重症化させることが多いとされる。更に、ベンゾジアゼピン系抗不安薬に慣れていない吃音者では作用の弱いベンゾジアゼピン系薬物に依っても却って吃音の重症化が起こり得るとされ、ベンゾジアゼピン系薬物の服用に慣れていない吃音者(とくに女性の吃音者)には作用が弱いベンゾジアゼピン系薬物から始めるべきとする報告例もある。