「サイレントヒル」の版間の差分

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[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の北東部にある架空の田舎の観光地「'''サイレントヒル'''」が舞台である。観光の要であるトルーカ湖を有し閑静な美しい町である。湖の北岸は遊園地などがある町の中心「ペイルヴェイル地区」だが、湖の南岸「サウスヴェイル地区」は寂しい住宅街である。隣接した町としては、「ブラマ」「シェパードグレン」がある。通常の状態では、濃霧に包まれた美しい町で、寂れてはいるものの住人もそれなりにいる。しかし、主人公たちが迷い込んだそれは人気のない[[ゴーストタウン]]と化しており、あるはずの道が消失、或いは閉鎖されていたり、季節外れの雪が降ったり、異形の怪物が徘徊していたりと(作品によって程度に差は見られる)、現実世界と微妙にズレた異界であり、表世界と呼ばれている。実はその土地は古くから不可思議な力を持っており、心に闇を抱いた者を異世界へと引き込むことがあるゆえである。
 
「'''表世界'''」は霧に包まれたゴーストタウンであるが、時として血と錆にまみれたグロテスクな「'''裏世界'''」へと変貌することがある。その変化は、そこかしこを異形の怪物が徘徊する、屋内はもちろん屋外であるはずの場所が辺り一面闇に包まれている、地面や壁であるはずの部分が金網一枚を隔てその先に闇が広がっている、得体の知れない人型の肉塊が無造作に吊るされている、といったものが主で他にも様々である。「表世界」が「霧・雪」の白色を基調としているのに対し、「裏世界」は「血・錆」の赤や「影・闇」の黒を基調として構成されており、これらはストーリーの重要な設定の暗喩でもある。主人公たちは「表世界」と「裏世界」を行き来しながら目的を達成し、脱出することになる。
 
作品独自の恐怖はいたるところで工夫されて表現されている。カメラアングルをわざと傾けて死角を作りプレイヤーに見にくいように映す、画面にノイズエフェクトを常にかけている(これは制作過程でのシステム上の不都合を逆に利用したもの。ちなみにノイズはオン・オフ可能であり、大抵隠し要素である)、怪物が近づいてくるとラジオから不穏なノイズが鳴りだす等、斬新な恐怖の演出がグラフィックや音響やシステムに組み込まれている。
 
シリーズ第1作『サイレントヒル』は、『[[バイオハザード (ゲーム)|バイオハザード]]』の大ヒットによってホラーゲームが定着したことで、コナミも[[スティーヴン・キング]]の小説をホラーゲーム化するというプロジェクトをスタートさせるが、諸事情により頓挫し、オリジナルタイトルとして開発された<ref>[http://web.archive.org/web/20080130122447/http://www.jp.playstation.com/psworld/interview/200801/page3.html PS World クリエイターインタビュー 山岡晃] PlayStation.comより。(2008年1月30日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>。本シリーズは舞台こそアメリカであるものの、『[[バイオハザードシリーズ]]』のそれが漏洩したウイルスによる感染等の科学的な背景、そしてプレイヤーを驚かせるような仕掛けやハプニング等、所謂「動」の恐怖を追求しているのに対し、本作はその背景に科学的な裏づけのない、人智を超越した[[オカルティズム|神秘学]]や宗教的な要素を持つなど、同じホラー系アクションでも全くテーマが異なる。また懐中電灯を使用した限られた視界、言葉で言い表せないような嫌悪感、陰鬱とした雰囲気など、言わば「静」の恐怖感を主としており、ジャパニーズ・ホラー風な演出が多く使用されている。中でもシリーズ第1作は、アメリカの大手ゲームサイト「GameTrailers.com」が選んだ「最も怖いホラーゲームランキング」で1位を獲得している。
また、ストーリー面でも単なる勧善懲悪ではなく、アレッサ、マリア、クローディア、ウォルター等のシリーズの敵は皆悲惨な人生を送った末に心が歪み、その最期も報われないものとなっていたり、登場するクリーチャーも生み出された背景に深い理由があったり、マルチエンディングのいずれもハッピーエンドとは言えないものになっているなど、恐怖の中に哀切が含まれていることも特徴である。