「古東スラヴ語」の版間の差分

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==特徴==
*西スラヴ諸語と南スラヴ諸語と異なり、母音重複が見られる。例えば、
:*:西スラブ語:/m'''le'''ko/ 東スラブ語:/m'''olo'''ko/ (牛乳)
:*:[[教会スラブ語]]:/V'''la'''dimir/ 東スラブ語:/V'''olo'''dymir/ (ウラジミル)
:*:南スラブ語:/g'''ra'''d/ 東スラブ語:/g'''oro'''d/ (都市)
*[[アクセント]]のない [[о]] は、ウクライナ語のように[о]と読む。ベラルーシ語とロシア語のように[а]と読まない。例えば、
:*:東スラブ語:/koróva/ [k'''o'''rova](牛)
:*:ウクライナ語:/koróva/ [k'''o'''rova](牛)
:*:ロシア語:/koróva/ [k'''a'''rova](牛);但し、ロシア語の北方方言にはウクライナ語と同様な発音が見られる。
* [[г]]・[[к]]・[[х]]は、常に[[硬音]]であり、[[口蓋化]]しない。例えば、
:*:東スラブ語:/'''кы'''ъвъ/か/'''кы'''Ѣвъ/ ['''kɨ'''jevъ]か['''kɪ'''jivъ](キエフ)
*[[ф]]は、ギリシア系の外来語に文語しか用いられず、/hw/, /h/, /p/として発音する。
:*:Ε'''φ'''ραίμはО'''х'''рѣмъか Е'''х'''рѣмъ
:*:'''Φ'''ιλίπποςは'''П'''илипъ
 
===地域の特徴===
古東スラヴ語には、[[キエフ]]・[[チェルニーヒウ]]を中心とした南方諸語と、[[ウラジーミル (ウラジーミル州)|ウラジーミル]]・[[ノヴゴロド]]を中心とした北方諸語が区別される。前者は[[ウクライナ語]]・[[ベラルーシ語]]に、後者は[[ロシア語]]に受け継がれていった。
 
*[[г]]:南方では[[有声軟口蓋摩擦音]]{{IPA|ɣ}}か [[有声声門摩擦音]]{{IPA|ɦ}}と読み、北方は[[有声軟口蓋破裂音]]{{IPA|g}}と読む。
:*:南方の東スラブ語:/'''г'''ород/ ['''ɣ'''orod]・['''ɦ'''orod] (都市)
:*:北方の東スラブ語:/'''г'''ород/ ['''g'''orod] (都市)
*[[ц]]と[[ч]]:南方では[[無声歯茎破擦音]]{{IPA|t͡s}}と[[無声後部歯茎破擦音]]{{IPA|ʧ}}として区別されるが、北方では両音が混合される。
*[[и]] と [[ы]]:南方では[[ы]]として読まれる傾向が見られ、北方には区別される。
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1110年頃に書かれた[[原初年代記]]の冒頭部分を以下に引用する。( 1377年[[ラヴレンチー写本]]より)
: {{script|orv-Cyrs|Се повѣсти времѧньны<sup>х</sup> лѣ<sup>т</sup> ‧ ѿкꙋдꙋ єсть пошла рꙋскаꙗ земѧ ‧ кто въ києвѣ нача первѣє кнѧжи<sup>т</sup> ‧ и ѿкꙋдꙋ рꙋскаꙗ землѧ стала єсть.}}
 
: ''これはルーシの国が何処から始まったか、誰がキエフに於いて最初に君臨し始めたか、しかしてルーシの国が如何にしてつくられたか、という過ぎし歳月の物語である<ref>除村『ロシヤ年代記』3頁より引用</ref>。''
 
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[[File:ostromirovo.jpg|left|thumb|250px|''[[オストロミールの福音書]]'' 11世紀中頃]]
[[File:beresta.jpg|right|thumb|250px|14世紀、ノヴゴロドの子供達が交わした、{{仮リンク|白樺文書|en|Birch bark document}}]]
11世紀の著述家としては[[キエフ・ペチェールシク大修道院]]の修道僧フェオドーシイと、ノヴゴロドの主教ルカ・ジジャータがいる。テオドシオスの著作からは当時依然として[[異教信仰]]が盛んであったことが窺い知れる。ジジャータは同時代の著作家達よりもよりその土地の言葉に近い文体を使用し、大仰なビザンティン式の著述を控えた。
 
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[[年代記者ネストル]]による[[原初年代記]]の他に、15世紀に編纂された[[ノヴゴロド公国|ノヴゴロド]]第一年代記<ref>和田『ロシア史』38頁</ref>、[[キエフ年代記]]、[[ヴォルィーニ公国|ヴォルイニ]]年代記をはじめとした多くの年代記が存在する。
 
[[File:beresta.jpg|right|thumb|250px|14世紀、ノヴゴロドの子供達が交わした、{{仮リンク|白樺文書|en|Birch bark document}}]]
 
== 著名な文書 ==
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== 脚注 ==
 
=== 注釈 ===
{{Reflist|group=#}}
 
=== 参照出典 ===
{{Reflist|30em}}
 
=== 参考文献 ===
{{1911}}
* 亀井孝・河野六郎・千野栄一 編著 『言語学大辞典セレクション ヨーロッパの言語』(1998年、三省堂) ISBN 4-385-15205-5
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== 関連項目 ==
*[[東スラヴ語群]]の歴史
*[[スラヴ語派]]
*[[ルシン語]]
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{{スラヴ語派}}
 
{{language-stub}}
{{DEFAULTSORTデフォルトソート:こひかしすらうこ}}
[[Category:スラヴ語派]]
[[Category:東スラヴ語群|*こひかしすらうこ]]
[[Category:中世語]]
[[Category:ルーシ]]
{{language-stub}}