「エコノミスト」の版間の差分

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本紙はジェームズ・ウィルソンによって[[1843年]]9月に創刊された。そこには明らかに[[穀物法]]の廃止を扇動する目的があった。[[ロバート・ピール]]の[[トーリー党 (イギリス)|トーリー党]]は、1846年5月に破滅的な穀物法廃止案を押し通した。創刊当時「エコノミズム」という言葉は財政保守主義と受け取られていた。現在でも[[保守]]系紙として言及されることも多い。ただし、これは古典的自由主義([[経済自由主義]])を標榜しているため、経済面においては左派の嫌悪する[[市場原理主義]]、[[自由貿易]]や[[グローバリゼーション]]の擁護や労働組合の政治活動や[[アファーマティブアクション]]に対する批判を行う一方で、社会・人権面では人種や性差別に明確に反対するだけでなく、[[同性婚]]賛成、犯罪に対する厳罰化反対、移民自由化賛成、麻薬の合法化賛成、[[死刑制度]]廃止を支持するだけでなく、最低限の生活水準を保証する社会保障には賛成を表明している。
本誌のサイトにおいて、その論調は左でも右でもなく「極中」であると述べている(The extreme centre is the paper's historical position.)。例えば労働の政策としては、解雇権の制限は雇用コストを上げ、逆に全体の失業率が上げると主張する一方で、解雇された失業者の生活を国が福祉で保証するべき、と主張する。この点では、政府の一切の介入に反対する[[新自由主義]]や[[リバタリアニズム]]とも一線を期する。
 
『日はまた沈む』<ref name="isbn4794203721">『日はまた沈む』:[[ビル・エモット]](日本語版:草思社、1990年3月、ISBN 4794203721)</ref>『日はまた昇る』<ref name="isbn4794214731">『日はまた昇る 日本のこれからの15年』:ビル・エモット(日本語版:草思社、2006年1月、ISBN 4794214731)</ref>など日本経済の浮沈に関する洞察力ある著作で知られる国際ジャーナリストの[[ビル・エモット]]は、1993年から2006年3月の引退までの13年間本紙の編集長を務めていた。
 
2009年4月1日の[[エイプリルフール]]に、新しい[[テーマパーク]]、Magical Monetary World of Econolandを立ち上げると発表した。 
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== 批判 ==
中道を謳っていながら極端な市場原理主義・自由市場万能論・[[レッセフェール]]を「エコノミズム」として正当化していることについて長年批判されている。アイルランドの[[ジャガイモ飢饉]]の際は、一切の食糧援助に反対し、百万人の餓死者を生み出す結果になった。[[カール・マルクス]]は著書『[[ルイ・ボナパルトのブリュメール18日]]』(1852年)において、『エコノミスト』を、「ヨーロッパにおける金融貴族 (Finanzaristokratie) の機関紙」としてエコノミストを批判している。近年では2003年の[[イラク戦争]]の開戦を支持したが、情勢が悪化すると[[ドナルド・ラムズフェルド]][[アメリカ合衆国国防長官|国防長官]]の辞任を求め、[[2004年アメリカ合衆国大統領選挙|2004年のアメリカ大統領選挙]]では民主党の[[ジョン・フォーブズ・ケリー|ジョン・ケリー]]を支持するなど、日和見主義的なスタンスの一貫性のなさが批判されている。
 
近年では、2003年の[[イラク戦争]]の開戦を支持したが、情勢が悪化すると[[ドナルド・ラムズフェルド]][[アメリカ合衆国国防長官|国防長官]]の辞任を求め、[[2004年アメリカ合衆国大統領選挙|2004年のアメリカ大統領選挙]]では民主党の[[ジョン・フォーブズ・ケリー|ジョン・ケリー]]を支持するなど、日和見主義的なスタンスの一貫性のなさが批判されている。
また、実名記者のコラムや論説記事が中心の英米高級紙の中では異例の完全匿名スタンスを貫いており、記事の中でも自らの主張を述べる際にも"this reviewer"(本誌は)といった特殊な一人称を用いる。しかし、他国の特定の政治家や経済政策などを公然と批判するにもかかわらず、社説や記事の執筆者が全て匿名であることは、長年批判され続けており、ジャーナリストの[[マイケル・ルイス]]は、偉そうな記事を書いているのが実は何の経験もない無名の若造編集者ばかりだとばれるからである、と揶揄している。カナダ人作家で[[国際ペンクラブ]]会長の[[ジョン・ラルストン・ソウル]]は著書『論駁的な哲学辞典』(''The Doubter's Companion'')において以下のように『エコノミスト』を痛烈に批判する。
 
また、実名記者のコラムや論説記事が中心の英米高級紙の中では異例の完全匿名スタンスを貫いており、記事の中でも自らの主張を述べる際にも"this reviewer"(本誌は)といった特殊な一人称を用いる。しかし、他国の特定の政治家や経済政策などを公然と批判するにもかかわらず、社説や記事の執筆者が全て匿名であることについては、長年批判がなされ続けており、いる。ジャーナリストの[[マイケル・ルイス]]は、匿名の理由を、偉そうな記事を書いているのが実は何の経験もない無名の若造編集者ばかりだとばれるからである、と揶揄している。カナダ人作家で[[国際ペンクラブ]]会長の[[ジョン・ラルストン・ソウル]]は著書『論駁的な哲学辞典』(''The Doubter's Companion'')において以下のように『エコノミスト』を痛烈に批判する。
{{quotation|誌が記事を書くジャーナリストの名前を隠すのは、それがあたかも私見ではなく、公平な立場からの真実を伝えているかのような幻想を生み出すために過ぎません。このような宗教改革前のカトリック教会を思い起こさせる商法は、出鱈目な憶測や妄想的事実を、不可避性と正確性に装った社会科学の名をその雑誌名としているのだから、驚きはしません。こんなものが企業の重役のバイブルであるというのでは、今日の経営陣の教養の糧つまり通念的知恵なるものの程度が知れるというものであります。