「聖霊」の版間の差分
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[[File:Rom, Vatikan, Basilika St. Peter, Die Taube des Heiligen Geistes (Cathedra Petri, Bernini).jpg|thumb|right|180px|聖霊が鳩のかたちをとって降ったとされる[[聖書]]の記述（[[マタイによる福音書]]3章16節など）を基に作られたステンドグラス（[[サン・ピエトロ大聖堂]]内、[[1660年]]ごろ制作）。]]
[[File:Icon of Pentecost (18th c., Russia. Priv.coll.).jpg|thumb|right|180px|聖霊が[[イエス・キリスト]]の弟子達に降ったとされる聖書の記述（[[使徒言行録]]2章3節）を基にした、[[ペンテコステ]]の[[イコン]]（[[18世紀]]ロシア）。[[神の母]][[聖母マリア|マリア]]もこの場面に画かれている。]]
'''聖霊'''（せいれい、{{lang-el-short|Άγιο Πνεύμα}}、{{lang-la-short|Spiritus Sanctus}}、{{lang-en-short|Holy Spirit}}、主に[[カトリック教会]]や[[プロテスタント]]での呼称。[[日本正教会]]では'''聖神ﾟ'''：せいしん<ref>「神゜」は「神」に半濁点の「゜」（ただし厳密には半濁点ではない。詳細は「[[天の王]]」を参照）。</ref><ref name="ocjseishin">[http://www.orthodoxjapan.jp/tebiki/shinkou04.html 聖神：日本正教会 The Orthodox Church in Japan]</ref>）は、[[キリスト教]]において、[[三位一体]]の神の位格の一つ<ref name="ow">[http://orthodoxwiki.org/Holy_Spirit Holy Spirit - OrthodoxWiki]神ﾟは「神」に半濁点の「゜」をつけたもので、唯一神と区別するために付す。</ref><ref name="rce">[http://www.newadvent.org/cathen/07409a.htm CATHOLIC ENCYCLOPEDIA: Holy Ghost]</ref><ref name="eb">[http://www.britannica.com/EBchecked/topic/269934/Holy-Spirit Holy Spirit (Christianity) -- Encyclopedia Britannica]</ref>。聖霊について論じる[[神学]]を[[聖霊論]]という。
広く「第三の位格」とも説明される一方で<ref name="ow" /><ref name="rce" /><ref name="eb" /><ref name="gon278">{{Harvnb|[[フスト・ゴンサレス|ゴンサレス]]著、[[鈴木浩 (神学者)|鈴木]]訳|2010|p=278|Ref=none}}</ref>、「第三の」といった数え方をせずに「ペルソナ（位格）の一者」<ref>『[[カトリック教会のカテキズム]]』685節、p220、カトリック中央協議会 2008年6月3日 第3刷 ISBN 9784877501013</ref>「個位（のひとつ）」<ref name="ocjseishin" />「神格（のひとつ）」<ref name="ocjseishin" />とだけ説明される場合もある。[[4世紀]]に聖霊論を展開した[[カイサリアのバシレイオス|聖大バシレイオス（聖大ワシリイ）]]は、聖霊に限らず、[[三位一体]]の各位格に言及する際に、数を伴わせることに批判的である<ref>{{Harvnb|聖大バシレイオス著、山村訳|pp=125-126|1998|Ref=none}}</ref><ref>[http://www.ccel.org/ccel/schaff/npnf208.vii.xix.html NPNF2-08. Basil: Letters and Select Works - Christian Classics Ethereal Library]</ref><ref group="注釈">[[バシレイオス|聖大バシレイオス（聖大ワシリイ）]]は、「第一に、第二に、第三に」「一つには…、二つには…、三つには…」といった数え方・言及の仕方を三位一体に適用することに批判的である。彼はその根拠として、[[マタイによる福音書]]28章19節を挙げ、そこで[[イエス・キリスト]]が「父と子と聖霊」を述べる際に数を伴わせていない事を挙げている。</ref>。
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[[キリスト教]]内の各[[キリスト教諸教派の一覧|教派]]において、聖霊についての捉え方・考え方には、共通する部分と異なる部分がある。
[[
[[カトリック教会]]と[[プロテスタント]]の間においては、聖霊に関する[[教理]]が[[16世紀]]の[[宗教改革]]において聖書を優先していく[[プロテスタント]]の中心にあったとされることがある<ref name="Gribben">Crawford Gribben, "God's Irishmen: Theological Debates in Cromwellian Ireland (Oxford Studies in Historical Theology)" p133, Oxford University Press, USA (2007/8/16) ASIN B001DU7GVM</ref>。当時[[カトリック教会]]側においては、[[枢機卿]][[ロベルト・ベラルミーノ]]から、プロテスタントにおいて聖霊論と関係する教理である[[救いの確信]]を、プロテスタントが異端であることの最たるものとする批判があり<ref name="Gribben" />、またカトリック司祭[[エドマンド・キャンピオン]]は、聖霊論にプロテスタントとカトリック教会との根本的な相違があると捉えていた<ref name="Gribben" />。
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このように教派ごとの相違点があり、論者によっては重要な争点と位置付けられる一方で<ref name="reformed278">リフォームド神学事典 278頁</ref>、論者によっては、伝統的な神学では聖霊論は非常に軽視されてきた分野であると評される事もある<ref name="gon156">{{Harvnb|[[フスト・ゴンサレス|ゴンサレス]]著、[[鈴木浩 (神学者)|鈴木]]訳|2010|p=156|Ref=none}}</ref>。
本項では各節において、できる限り幅広い教派に共通する内容を先に述べ、次に各教派ごと（
== 神（位格・個位） ==
=== 整理された教義（教理・定理） ===
[[ファイル:Shield-Trinity-Scutum-Fidei-earliest-and-latest-major-variants.svg|thumb|right|330px|[[西方教会]]でよく使われる『三位一体の盾』の図式。三位一体を図式化するのには様々なバリエーションがある。]]
[[第1ニカイア公会議]]（第一全地公会、[[325年]]）の頃から[[第1コンスタンティノポリス公会議]]（第二全地公会、[[381年]]）の頃にかけて、こうした三位一体論の定式が（論争はこの二つの公会議が終わった後もなお続いていたが）整理されていった<ref name="ocj-shin">[[正教会]]からの出典：[http://www.orthodoxjapan.jp/tebiki/shinkou01.html 信仰-信経：日本正教会 The Orthodox Church in Japan]</ref><ref name="jg104">{{Harvnb|[[フスト・ゴンサレス|ゴンサレス]]著、[[鈴木浩 (神学者)|鈴木]]訳|2010|p=104|Ref=none}}</ref>。
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