「能見正比古」の版間の差分

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===心理学者による統計的な批判の展開===
しかし能見正比古の研究、能見の研究の基礎となった古川の研究、どちらも研究内容は統計学的に「有意の差」を持たないものであり、科学的な試験研究又は調査研究に基づくものではないという批判がある<ref>{{Cite book |和書 |author村上宣寛 |year=2005 |title=「心理テスト」はウソでした。 |publisher=日経BP社 |page= |isbn=4-8222-4446-6 }} - 1991年の松井の研究を肯定し、一貫した結果がないので性格との関係は確認できないとする。自分の学生の136名の学生を対象とした研究を紹介しているが、同著でのランダムサンプリングが必要などの指摘とは矛盾しているためこれは単に研究例の紹介である。</ref><ref>{{Cite journal |和書|author=縄田健悟 |date=2014 |title=血液型と性格の無関連性―日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠 |journal=心理学研究 |volume=85 |issue=2 |pages=148-156 |doi=10.4992/jjpsy.85.13016 |url=https://doi.org/10.4992/jjpsy.85.13016}} - 有効人数で日米約9700人に調査をしたが、意味のある差は現れなかった。</ref>。ただし、それらの批判が表面化したのは能見正比古の死去後(1981年以降)のことである<ref>白佐俊憲・井口拓自『血液型性格研究入門』(1993年)の文献目録によると、能見正比古の存命中は心理学者の批判はほとんど存在しない。</ref>。また、批判した心理学者の多くの研究もそのサンプル(データの対象)は、一部の例外を除くと、その研究者の講義の受講者などに限られているため、適切な統計ではない<ref name="松井1994">{{Cite journal |和書|author=松井豊 |title=分析手法からみた「血液型性格学」 |date=1994 |journal=現代のエスプリ |issue=324 |pages=114-120 }}</ref>。
 
本格的に否定されるためには、ランダムサンプリングされた研究が必要であり、いくつかの研究がこれを否定してきた<ref>{{Cite book |和書 |author村上宣寛 |year=2005 |title=「心理テスト」はウソでした。 |publisher=日経BP社 |page= |isbn=4-8222-4446-6 }} - 1991年の松井の研究を肯定し、一貫した結果がないので性格との関係は確認できないとする。自分の学生の136名の学生を対象とした研究を紹介しているが、同著でのランダムサンプリングが必要などの指摘とは矛盾しているためこれは単に研究例の紹介である。</ref><ref name="縄田">{{Cite journal |和書|author=縄田健悟 |date=2014 |title=血液型と性格の無関連性―日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠 |journal=心理学研究 |volume=85 |issue=2 |pages=148-156 |doi=10.4992/jjpsy.85.13016 |url=https://doi.org/10.4992/jjpsy.85.13016}} - 有効人数で日米約9700人に調査をしたが、意味のある差は現れなかった。</ref>。一方でそうした研究では、条件を絞ると血液型によって統計的に有意な差が生じていることも確認されおり、この差は血液型性格判断の思い込みによる[[予言の自己成就]]ではないかという<ref name="縄田"/>。
 
一方で、血液型によって統計的に有意な差は生じているが、この差は思い込みによる自己成就現象ではないかという意見もある。
社会心理学者の山崎賢治・坂元章は、1978-1988年にかけて延べ3万人の世論調査データを分析した結果、統計に有意な差が見られた。しかし、これらの差は大きいとは言えず、また自己報告を分析対象としたので、予言の自己成就ではないかとしている<ref name="sakamoto">{{Cite journal |和書|author1=山崎賢治|author2=坂元章 |title=血液型ステレオタイプによる自己成就現象~全国調査の時系列分析 (口頭発表 退陣行動II 3) |date=1992 |journal=日本社会心理学会大会発表論文集 |volume=33 |pages=342-345 }} - 血液型性格関連説が社会的に広まり始めたころから数年後の1978年を起点に1988年までの日本人延べ32,347人の自己評価による性格の経年変化を調べ、自己評価の性格がステレオタイプに沿ったものへとより強化される傾向があることを示した。ただし最も大きな偏りを示した項目でも大量のデータでないと有意味とされない程度の微弱なものであった。</ref>。長崎大学の武藤浩二・長島雅浩らは、山崎賢治・坂元章の研究結果を確認するため、同じ世論調査のデータを使って2000年代まで追跡したところ、血液型ごとの差は安定しており、一貫して有意差が出ていることが判明した<ref>{{Cite report |author=武藤浩二、長島雅浩他 |date=2012 |title=教員養成課程における科学リテラシー構築に向けた疑似科学の実証的批判的研究 (2011年度科研費研究成果報告書) |url=https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-22650191/22650191seika.pdf |format=PDF |accessdate=2018-09-08 }} - 1978年から1988年までの11年間に毎年約3,000人(延べ32,347人)を解析したものであるが、このデータを2000年代にまで拡張して解析しても、血液型による差は有意で安定していることが判明した(詳細な人数・年数は報告書には未掲載)。</ref>。