「ムーンサルトプレス」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし |
編集の要約なし |
||
1行目:
[[
'''ムーンサルトプレス'''(moonsault press)は、[[プロレス]]で用いられる空中[[技術|技]]の一種で、コーナートップからの後方270度回転[[ダイビング・ボディ・プレス|プレス]]である。考案者は[[佐山聡|初代タイガーマスク]]と言われているが、実は初めに披露したのは[[ジョージ高野]]であり(DVD「最強マスクマン烈伝」にて流智美と清水勉が証言)、ムーンサルトプレスという名前で最初に呼ばれたのは[[武藤敬司]]である<ref>{{cite web|url=http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-45282-2.html|title=実録!!プロレス必殺技大図鑑 |publisher=[[双葉社]]|author= |date= |accessdate=2012-12-27}}</ref>。
== 概要 ==
[[ファイル:Moonsault.jpg|right|thumb|200px|[[レッスルマニア#第19回大会(2003年)WrestleMania XIX|レッスルマニアXIX]]において[[クリス・ジェリコ]]にムーンサルト・アタックを仕掛ける[[ショーン・マイケルズ]]。]]
[[リング (格闘技)|リング]]四方に存在するコーナーポストによじ登り、リングのマットに対して背中を向けた状態からジャンプし、[[後方転回|バック転]]をしながらリング上に横たわっている対戦相手めがけてボディ・プレスを仕掛ける。技を仕掛ける側の円弧を描くような動きが技の名称の由来となっている。
この技の問題点は、技を仕掛ける側が着地をする際に最初に両膝がマットに叩きつけられることや、不安定であるロープを踏み台にしてバック宙を決める運動が、人間の膝関節が本来持っている動きと逆の動きになってしまうことから、結果膝の[[半月板]]を損傷しやすいことである。
武藤敬司はフロリダ修行時代「この技だけで食っていた」と述懐しているが<ref>[http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/text/200908040008-spnavi_2.html 武藤敬司25周年記念 特別インタビュー第1弾]</ref>、[[武藤敬司|グレート・ムタ]]の[[ギミック (プロレス)|ギミック]]で参戦していた[[WCW]]時代にこの技を多用したために、結果武藤の膝は変形し、満足に歩けないまでに傷んでしまった<ref>同じく若手時代にこの技をフィニッシング・ホールドとしていた[[小橋建太]]も同様に膝を痛め、5度の手術を繰り返すこととなる</ref>。
空中技の中では比較的容易で見栄えもよいことから、この技を使用するレスラーは多いが、使うレスラーによって技の見た目には個人差がある。小橋建太など多くのレスラーは、大きな弧を描くように跳躍し、体全体で上から叩きつける形であるが、武藤のムーンサルトプレスは上に跳ぶというより、斜め後方に勢いをつけて跳ぶという形になっている。
また、体格が大きい選手でも使用することが多く、[[スコット・ビガロー|ビガロ]]や[[ビッグバン・ベイダー]]、[[ザ・ヘッドハンターズ (プロレス)|ヘッドハンターA]]などがビッグマッチで使用した。
== 名称の変遷 ==
[[アメリカ合衆国|アメリカ]]でこの技を広めたのは武藤敬司(グレート・ムタ)であるため、[[和製英語]]であるムーンサルトという技名でそのまま使われている。
== 派生技 ==
すべて相手に背を向けた状態から仕掛ける。
=== アラビアンプレス ===
[[テリー・ブルンク|サブゥー]]が開発したリバウンド式ムーンサルトプレス。リング内からリング外に向かって高くジャンプしてトップロープに尻餅をつき、両腿をトップロープにバウンドさせて後方へバック転ムーンサルトプレスを決める。サブゥーはパイプ椅子や机をリング内に持ち込み、それを踏み台にして敢行するなど多彩なバリエーションを持つ。技のプロセスに類似点が多い[[ロブ・ヴァン・ダム]]の'''ハリウッドスタープレス'''とは元来区別されていたが(アラビアン・プレスが'''直接トップロープに飛び座り込む'''のに対し、ハリウッド・スター・プレスは'''コーナー上へ立ってから座り込む''')、最近は両者が仕掛けるバリエーションの増加などの事情から異名同技として扱われている。
=== ハリウッド・スター・プレス ===
[[ロブ・ヴァン・ダム]]が考案した、リバウンド式ムーンサルトプレス。コーナー前でリング内に背を向けて立ち、コーナーを登ってコーナー最上段に尻餅をつき、同時にトップロープに両腿をバウンドさせるようにして後方へバック転しながら飛び、ムーンサルトプレスを敢行する。[[ジョン・ヘニガン|ジョン・モリソン]]は、横360度回転のアラビアンプレスをスターシップ・ペインという名称で使用している。[[ドラゴン・キッド]]は、ジーザスという名前で使っている。[[金丸義信]]もよく使用する。本来は、[[テリー・ブルンク|サブゥー]]の'''アラビアン・プレス'''とは似ているが違う技(アラビアン・プレスが'''直接トップロープに飛び座り込む'''のに対し、ハリウッド・スター・プレスは'''コーナー上へ立ってから座り込む''')であった。最近は両方とも同じ技として扱われる場合が多い。
=== スカイツイスタープレス ===
[[チャパリータASARI]]が開発した捻りを加えた伸身ムーンサルトプレスである。後方に270度、横に540 - 720度、回転している。現在の主な使い手は[[ジミー・ヤン]]が、'''ヤンタイム'''という名で使用している他、[[くいしんぼう仮面]]が'''関空トルネード'''の名で使用(ちなみに[[菊タロー|初代えべっさん]]が使うと'''開運トルネード''')。なお、前向きから飛ぶ一回半捻りプレスもスカイツイスタープレスと呼称していた(当時、ASARIから[[TAKAみちのく]]が直接指導を受け使用していた)。[[KAMIKAZE (プロレスラー)|神風]]も[[レッスル夢ファクトリー]]に所属していた時代にすでに'''カミカゼ・トルネード'''を完成させている(神風の場合はヘビー級の体格で飛ぶために見ごたえがある)。
=== フェニックス・スプラッシュ ===
ひねりを加えながら離陸し、その後は前方一回転してのプレス。計、縦450度、横180度回転。[[ハヤブサ (プロレスラー)|ハヤブサ]]の必殺技。初代タイガーが「タイガー・トルネード・プレス」の名で考案したが、試合で使用したことはない。こちらを正調のムーンライト・コースターであるとする説もある。[[獣神サンダー・ライガー]]が「スターダストプレス」の名で、試合で初めて試みたが失敗に終わった(後述)。
離陸後すぐに180度ひねり、体を前に向けてからの450スプラッシュとするのが難易度的に低く、基本である(見た目的には振り返ってからの450スプラッシュ)。[[DDTプロレスリング|DDT]]の[[飯伏幸太]]がこの形のフェニックス・スプラッシュを得意としている。その後、ハヤブサがひねりを加えずに離陸し、90度後方回転してから180度ひねりと360度前方回転を同時に行う(途中からひねりが入るため、体の向きを基準とする前後の回転方向が入れ替わる)という難易度の高いフェニックス・スプラッシュを完成させている。このタイプの場合観客に「何がどうなっているのか分からない」といわれるほどの不思議な回転を見せる。その後はこのタイプのフェニックス・スプラッシュを[[DRAGON GATE]]の[[B×Bハルク]]がハヤブサから直接指導を受け使用している。
=== カンクーン・トルネード ===
ムーンサルトプレスのようにコーナーポスト上段から後方1回宙返り2回捻りの要領で体固めに移行する、技の手順はムーンサルトと同じだが伸身で1回宙返りを行いながら2回捻ることから、脚力と腕力に勢いが必要であり、難易度が高い、主な使い手には初代えべっさん(現・[[菊タロー]])やハヤブサなど空中殺法が得意な選手が使用することが多い。
[[NINTENDO64]]のプロレスゲーム、[[闘魂炎導2]]ではある方法でこの技を習得しゲーム中で使用することができる
=== スターダスト・プレス ===
獣神サンダー・ライガーが[[金本浩二]]戦で一度だけ披露した技。当初は名称だけが先に伝わり、技の全貌が明らかでない時期があったため「幻の必殺技」とも呼ばれた。リング外を向いたまま後ろ向きにジャンプし、体を左方向180度捻った後、270度前方回転し更に180度左方向に錐揉み回転させてプレスする。元々ライガーが『獣神ライガー』を名乗る前にすでにスターダスト・プレスを完成させていたが、プロレス誌の記者一人に新日本の道場内でしか見せた事が無かった。しかしライガーが披露するより前に、他団体のハヤブサが同形の技を披露してしまったため、また違った形のスターダスト・プレスを編み出したという経緯がある。金本との試合後にライガーは「僕の(スターダスト・プレス)はこれでいいです」と語り、ハヤブサのフェニックス・スプラッシュと区別を付けた。ライガーが使用して以来長らく使い手が現れなかったが、同じ新日本の後輩にあたる[[内藤哲也]]が会得しここ一番の大技として使用する。
=== ヴァルキリー・スプラッシュ ===
[[KAORU_(プロレスラー)|KAORU]]が開発した、ムーンサルトプレスに180度ひねりを加え、[[セントーン]]の形で相手の上に背中から落下する技。[[ミラノコレクションA.T.]]が使用する'''アルマニッシュ・エクスチェンジ'''は、ライオンサルトの形から同様にひねりを加えて、相手の上に背中から落ちる技である。なお金本浩二が「ライガーのスターダスト・プレスは不細工だ。俺の方が技にキレがある」と発言し、ヴァルキリー・スプラッシュと同型の技を一度だけ使用している。
=== ラ・ケブラーダ ===
エプロンサイドから場外にいる相手にするムーンサルト。エプロンから仕掛けるのでコーナーからではなくロープの反動で回転する。技名の由来はメキシコ・[[アカプルコ]]にある、飛び込みのパフォーマンスが行われることでも知られる断崖の名前。また英語圏では開発者である[[ウルティモ・ドラゴン]]の本名である「浅井」を冠して、'''アサイ・ムーンサルト'''の名称で呼ばれ、WWEをはじめとするプロレス団体でもアサイ・ムーンサルトの呼称が多用されている。ルチャリブレでは'''ペチョ・コン・ペチョ'''(胸と胸)とも呼ばれる。
この技にさらに後方1回転加え、630度回転するものを[[ジャック・エバンス]]が'''スタンティン101'''として使用した。
=== ラ・ブファドーラ ===
'''ラ・ブファドゥーラ'''とも。ラ・ケブラーダとは逆にリング内にいる選手に、セカンドロープを使いムーンサルトアタックを行う技である。[[クリス・ジェリコ]]の'''ライオンサルト'''、[[ミラノコレクションA.T.]]の'''エンポリオ・アルマニッシュ'''は、同じ要領で寝ている相手にプレスする技を使用する。[[丸藤正道]]はコーナー付近のトップロープで反動をつけて、さらに直角方向にあるロープで2段階式で反動するブファドーラ(ゲームでは名称は'''トライアングル・ブファドーラ'''とされている)を一時期使用していた。[[ハヤブサ (プロレスラー)|ハヤブサ]]は試合中この技を失敗、頚椎を損傷し一時は全身不随になる重傷を負った。
なお名称の由来は[[メキシコ]]の[[バハカリフォルニア州]]の都市、[[エンセナーダ]]にあるラ・ブファドーラ岬から。
=== ムーンサルト・フットスタンプ ===
ムーンサルトプレスにもう90度余計に回転を加え、ダブルフットスタンプで相手の腹部に落下する。[[福岡晶]]が開発し、現在は[[チャールズ・スキャッグス|スコーピオ]]や[[紫雷イオ]]などが使用している。
=== ムーンサルト・ムーンサルト ===
[[飯伏幸太]]のオリジナル。一回目のムーンサルトはコーナートップからのムーンサルトで、この技を相手がよけた時にその場飛びのムーンサルトを出しフォールするという形をとる。一回目で着地した時には武藤のラウンディングボディプレスと同型だがさらにその場で次を出すと言うところにポイントがある。見せ技としても完成度が高いが、かなりの膝へのダメージが心配されるためか追随する選手がいなかったが、[[2011年]]の[[G1 CLIMAX]]に出場した[[ラ・ソンブラ]]が、一回目のムーンサルトをセカンドロープからにした物を[[井上亘]]相手に繰り出した事がある[http://www.njpw.co.jp/match/detail_result_game.php?e=313&c=2704]。その時、中継の解説者から「飯伏みたいだ。」と言われていた。
=== ダブルローテーション・ムーンサルトプレス ===
[[リコシェ (プロレスラー)|リコシェ]]のオリジナル。通常のムーンサルトより1回転多く、コーナートップから630度後方に回転してプレスする(フォームなどは通常のムーンサルトと同一)。ラ・ケブラーダの形や、ケージ上からの630度回転であれば前述の通りジャック・エバンスが使っていたが、コーナートップからリング内に向けて成功させたのはリコシェが初である。リコシェの極めて高い身体能力だからこそなせる技という事もあり、他の使い手は[[Chiva Kid]]や[[Andrew Everett|アンドリュー・エヴァレット]]ぐらいしか居ない。<br>ちなみに「オールスタープロレスリングII」では、ゲームオリジナルキャラクター有里優作が使用する「レボリューションサルト」というこの技と同型の技が存在する。
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{
== 関連項目 ==
* [[ムーンサルト]] - 体操競技の月面宙返り
* [[ボディ・プレス]]
{{DEFAULTSORT:む
[[Category:プロレス技]]
[[Category:打撃技]]
|