「種子島宇宙センター」の版間の差分

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[[1966年]][[5月24日]]に[[科学技術庁]]宇宙開発推進本部によって種子島がロケット打ち上げ場として選ばれ<ref>{{cite web|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/kaihatsushi/detail/1299234.htm|title=文部科学省 我が国の宇宙開発史 第一章日本の宇宙開発の政策史 1966年(昭和41年)|accessdate=2018-10-05}}</ref>、[[1969年]]([[昭和44年]])[[10月1日]]に[[宇宙航空研究開発機構]] (JAXA) の前身である[[宇宙開発事業団]] (NASDA) の設立時に科学技術庁宇宙開発推進本部より引き継がれ開設された<ref>{{cite web|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/kaihatsushi/detail/1299251.htm|title=文部科学省 我が国の宇宙開発史 第一章日本の宇宙開発の政策史 1969年(昭和44年)|accessdate=2018-10-06}}</ref><ref name="kumage h30">{{cite web|url=https://www.pref.kagoshima.jp/ap01/chiiki/kumage/chiiki/documents/65269_20180413131302-1.pdf|title=鹿児島県熊毛支庁 平成29年度熊毛地域の概況 第9宇宙開発|accessdate=2018-10-05}}</ref>。ただ実際には、[[1968年]][[9月17日]]に3機の小型ロケットの打ち上げが行われるなど既に活動実績があり、正確な開設日はよくわかっていない([[種子島宇宙センター#主なロケット打ち上げ実績|主なロケット打ち上げ実績]]を参照)。[[鹿児島宇宙センター]](組織名)の主たる事業所である種子島宇宙センター(事業所名)という位置付けである<ref>[http://www.isas.jaxa.jp/j/special/2013/uchinoura50/data/01.pdf 内之浦宇宙空間観測所の50年 1962~2012] 3ページ目. [[JAXA]]. (2013年2月22日). 2018年9月29日閲覧</ref>。[[面積]]は約970万m<sup>2</sup><ref name="center gaiyou 9">{{cite web|url=http://www.jaxa.jp/countdown/h2bf1/pdf/presskit_tnsc_j.pdf|title=種子島宇宙センターの概要|date=2009年8月|accessdate=2018-10-05}}</ref>。
 
種子島宇宙センターは種子島の南、[[太平洋]]側にある南種子町の竹崎と吉信崎に囲まれた湾に面した土地に施設が点在しており、三つのロケット発射施設(JAXAの用語では射場)をもつ。また種子島島内に数ヶ所の観測所を設けている。なお[[東京都]][[小笠原村]]は、種子島の[[東南東]]に位置し、種子島から打ち上げられたロケットの追跡に好適であるため、[[父島]]に[[小笠原追跡所]]が設置されている。
 
地球の自転を利用したロケットの打ち上げは、[[赤道]]に近いほど有利になるが、種子島は[[日本の端の一覧|日本最南端]]とはいえない位置にある。にもかかわらず同島が選ばれたのは、同島より南にある[[小笠原諸島]]が、当センター設立前年の[[1968年]](昭和43年)に、[[アメリカ施政権下の小笠原諸島|日本に返還された]]ばかりであり、また、[[沖縄返還]]も実現しておらず、計画当時に[[日本]]の[[主権]]が及ぶ[[国土]]の最南端に近い適地が同島であったためである<ref name="center gaiyou 9"/>。なお[[東京都]][[小笠原村]]は、種子島の[[東南東]]に位置し、種子島から打ち上げられたロケットの追跡に好適であるため、[[父島]]に[[小笠原追跡所]]が設置されている。
 
「世界一美しいロケット基地」とも言われる<ref>[http://www.jaxa.jp/about/centers/tnsc/ 種子島宇宙センター施設概要](JAXA)</ref>。世界的には、広大な原野に発射台等の施設を点在させることが多い中で、種子島宇宙センターは緑の山の中に施設が点在し、発射台は[[サンゴ礁]]に囲まれた岬の突端近くに設置されており、その絶景を誇って呼ばれたもの。
 
== 選定理由 ==
射場選定で考慮された条件は、東南方向の発射に対して陸海空の安全に支障がないこと。これは、[[静止衛星]]を打上げるにあたって、西から東への[[地球]]の[[自転]]エネルギーを利用するため、また[[極軌道]]に衛星を打上げるためである。
 
また、日本国内で可能な限り[[赤道]]に近いこと。地球の自転を利用したロケットの打ち上げは、[[赤道]]に近いほど有利になるが、種子島は[[日本の端の一覧|日本最南端]]とはいえない位置にある。にもかかわらず同島が選ばれたのは、同島より南にある[[小笠原諸島]]が、当センター設立前年の[[1968年]](昭和43年)に、[[アメリカ施政権下の小笠原諸島|日本に返還された]]ばかりであり、また、[[沖縄返還]]も実現しておらず、計画当時に[[日本]]の[[主権]]が及ぶ[[国土]]の最南端に近い適地が同島であったためである<ref name="center gaiyou 9"/>。なお[[東京都]][[小笠原村]]は、種子島の[[東南東]]に位置し、種子島から打ち上げられたロケットの追跡に好適であるため、[[父島]]に[[小笠原追跡所]]が設置されている。
 
他にも沿岸漁業者との干渉が可能な限り少ないこと、必要な用地面積がすぐに入手でき、かつ土地造成がしやすいこと、通信・電力・水源が調達できること、できるだけ交通の利便性がよいこと、人員・資材・機材等の輸送がしやすいこと、人口密集地帯からなるべく離れたところなどが考慮された。<ref name="kumage h30"/><ref name="center gaiyou 9"/>
 
== 主なロケット打ち上げ実績 ==
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更にH-IIBロケットの開発に合わせた追加改修が総工費約50億円をかけて、2006年に始まり2009年2月に完成した<ref name="center gaiyou 9"/>。[[デルタロケット]]を開発基盤とした実用液体燃料ロケットのN-I、N-II、H-Iロケットは大崎射点から打ち上げられた。また大崎射点は[[J-Iロケット]]に使用されたほか、後に計画が中止された[[GXロケット]]の打ち上げに使用する案もあった。大型でH-I以前の液体燃料ロケットと基本設計もまったく異なるH-II、H-IIA、H-IIBロケットは新設された吉信射点を使用している。
 
また、大崎地区にはかつて大崎集落があり、13世帯約50人ほどが暮らしており、[[サトウキビ]]畑が広がっていた。射場建設にあたり住民は[[関西]]や種子島の別の集落などに移っていった。<ref name="asahi 50nen"/>
 
==== 吉信射点 ====
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: 打ち上げ準備期間は、作業進行の管理を実施する。打ち上げ時には、打ち上げカウントダウンやテレメータセンターとの間での交信、2段目の燃焼が終わるまでの指令管制を行い、[[筑波宇宙センター]]や[[相模原深宇宙管制センター]]に引き継ぐ。
; 多目的避雷塔
: 各射点に2本づつあり、雷からロケットを保護するためのもの。MLのアンビリカルマスト先端の2本の避雷針と合わせて計4本の避雷設備がある。最下部は約5mの正方形だが上部はロケット側にせりがる偏心塔となっている。これは、偏心塔だと塔を低くすることができるのも要因理由の一つであるが、対称形状の塔だとロケットの飛行経路を把握するにあたって、ロケットと追跡管制を行う各地上局とを結ぶ直線と干渉してしまう可能性があり、通信性と可視性が確保できない恐れがあったためである。<ref>{{cite web|url=http://www.cosmotec-hp.jp/column/ohkura2.html|title=株式会社コスモテック 宇宙こぼれ話 技師長 大倉廣高 第2回 偏芯型「多目的避雷塔」|accessdate=2018-10-06}}</ref>第1射点の多目的避雷塔は高さ74.5mで<ref>{{cite web|url=http://www.jaxa.jp/projects/rockets/h2a/f8/img/f8_tnsc_j.pdf|title=種子島宇宙センターの概要|date=2005年12月|accessdate=2018-10-05}}</ref>、第2射点の多目的避雷塔はH-IIBロケットの打ち上げに対応するため高さ74.5mから75.5mに伸ばされている<ref name="center gaiyou 9"/>。
 
==== 大崎射点 ====
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; 衛星組立試験棟 (First Spacecraft Test and Assembly Building; STA1)
: 筑波宇宙センターや[[宇宙科学研究所]]、日本国外の衛星組立施設で調整が行われた衛星本体の、打ち上げ前最終調整試験を行う施設。H-II、H-IIA、H-IIBの衛星には、大型の第2衛星組立試験棟(Second Spacecraft Test and Assembly Building;STA2)が使われる。
; 衛星フェアリング組立棟 (Spacecraft and Fairing Assembly building; SFASFA1)
: [[ペイロードフェアリング|衛星フェアリング]]とは、ロケットが[[大気圏]]内を高速で飛行する際に、衛星を保護するための覆いのことである。H-IIの場合、衛星はここでフェアリング内に格納され、フェアリングをコンテナ代わりにして射点のPSTへ運ばれて、ロケットに搭載された。H-IIA、H-IIBの場合は、同様にしてVABへ運ばれ、ロケットに搭載される。[[宇宙ステーション補給機|こうのとり]]には、第2衛星フェアリング組立棟(Second Spacecraft and Fairing Assembly building; SFA2)が使われる<ref name="center gaiyou 9"/>。
; ロケットガレージ