「春雨物語」の版間の差分

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== 内容 ==
収録されるのは、「血かたびら」「天津処女(あまつをとめ)」「海賊」「二世の縁(にせのえにし)」「目ひとつの神」「死首の咲顔(しくびのゑがほ)」「捨石丸」「宮木が塚(みやぎがつか)」「歌のほまれ」「樊噲(はんかい)」の十篇。
 
初期の『春雨草紙』では、「妖尼公」「月の前」「剣の舞」「楠公雨夜かたり」「背振翁伝(茶神の物語)」もあったとされるが、削除されたり他作へ転録されている<ref>秋成研究会編『上田秋成研究事典』(笠間書院 ISBN978-4-305-70790-1 C0095)第二章「春雨物語」</ref>。
 
== 物語 ==
; 血かたびら
: [[藤原仲成]]・薬子兄妹と一味は、[[平城天皇|平城上皇]]の復位・[[重祚]]を企てるが、嵯峨天皇側に伝わり兄に死罪、妹は怨みを抱きながら自害する。薬子の血はかけてあった帷子にふりかかり、それは弓矢や刀でも破れなかった。
; 天津処女
: 「血かたびら」の後日談のような位置付けで、随所に前話の人物の回想がある。[[遍昭|良峯宗貞]](よしみね の むねさだ)は仁明天皇の寵愛を受け、色好みでもあり華美のものを殊更に愛した。天皇が崩御して姿を消すが、[[小野小町]]に発見される。僧正遍昭となり、再び内裏に出入りする身となる。
; 海賊
: 土佐国司としての任期が終え、[[京都|京]]へと進む[[紀貫之]]の舟へ、海賊が追いかけてきた。海賊は、貫之に『[[続万葉集]]』の名義、『[[古今集]]』[[真名序]]の内容や撰歌のあり方に疑義を呈する。また、[[三善清行]]の[[意見封事十二箇条]]を引きながら、社会批判をも行う。滔々と論じる海賊に、周囲の舟人らも賛同し、本来、歌文の道を事とする貫之は言い返すこともできない。海賊はさらに帰京後の貫之に書状を送りつける。見れば、一部分は三善清行を讃える史論であり、また一部分は貫之は漢字の字義から考えれば「ツラヌキ」と読むべきだと難癖であった。後に聞けば、海賊は放蕩狼藉が原因で都を追われた文屋秋津であるという。
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: [[奥羽]]の長者を殺して逃げてきた男が、仇討ちに追ってきた長者の息子と難所で洞門を完成させる。[[青の洞門]]の逸話に因む。
; 宮木が塚
: [[摂津]]神崎川の遊女である宮木が恋の争いに巻き込まれ、悲運に散る儚い一生を描いたもの。
; 樊噲
: 樊噲と名乗る[[盗賊]]の半生を、幾つものエピソードを挟みながら語る物語。兄の金を持ち逃げして以来、殺人・強盗・恐喝の悪事を尽くした盗賊が改心して僧となる。実はこの物語を語っていたのは高僧・樊噲自身だったということが最後に明らかにされる。
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* [http://opac.ndl.go.jp/recordid/000001448428/jpn 『新潮日本古典集成』]
(以上、[[国立国会図書館]]OPACへのリンク)
 
== 脚注 ==
<div class="references-small"><references /></div>
 
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