削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
1行目:
{{画像提供依頼|1:麻の葉文様の産着。2:ウィキメディア・コモンズの浮世絵から産着を着た子供の探索。3:背守り|date=2018年11月}}
'''産着'''(うぶぎ)は、生まれたばかりの子に初めて着せる[[衣服]]。初めての[[お宮参り]]の[[晴れ着]]を指す場合もある。
'''産着'''(うぶぎ)は、生まれたばかりの子に初めて着せる[[衣服]]。初めての[[お宮参り]]の[[晴れ着]]を指す場合もある。日本におけるベビー服{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・産着}}。[[麻の葉文様]]がよく使われ、背には背守りをつける{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・産着}}。'''宮参り着'''は、嬰児の晴れ着である{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・産着}}。
 
== 風習 ==
よく育つよう[[麻の葉文様]]等が使われ、背には背守りをつける{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・産着}}。
[[子供]]が無事に育つようにとの願いから、産着には様々な風習がある。現在は産着も[[洋服]]が加味されてこれらの風習は廃れた。
 
* てとおし
*: 初め3日目まで袖を通す着物を着せず前掛けや布くるみにしてんでおき、3これが長い地方では約50にもなる{{sfn|日本民俗大辞典|1999|loc=上・産着}}。生ての赤子産神のもとにあると考え、3日目や7日経った後初めて並みの着物を着せる風習た{{sfn|日本民俗大辞典|1999|loc=上・産着}}おくるみは潟県佐渡では「にんじゅぎもん」と呼ばれ、他に、ておと、てつなぎ、みっかしょう、みつめぎのよりボロん、さんのある布が良いとされ、など{{sfn|日本民俗大辞典|1999|loc=上・産着}}。[[新潟県]]の一部では'''ぼぼさづつみ'''{{sfn|日本民俗大辞典|1999|loc=上・産着}}<!--地域は書いてない-->、[[石川県]]の一部では'''まえかけづつみ'''等と呼ばれる。
 
* 色直し
*: [[平安時代]]から長く続く風習で生まれたては白の着物を着せ、7日目に普通の着物を着せる風習。
* 後縫い
 
*: 産着は生まれる前に縫うと弱い子が生まれるといわれていた。
* 後縫い
* 背守り
*: 産着は生まれる前に縫うと弱い子が生まれるといわれていた。
*: [[飾り糸]]で縦に5針、斜めに7針ほど、男児は裏針で左斜めに、女児は表針で右斜めに縫う風習。これは火や水に落ちた時に産神がこれを引っ張って助けるといわれる。
 
== 産着の種類 ==
[[着物]]の形に仕立てる産着は一つ身より小さく仕立て、[[季節]]によりひとえ、あわせ、綿入れの別がある。背縫いは無く、袖は付け詰にし無地の時背縫い飾りとしてなく背紋をつける事が多い。
魔よけの意味から赤や黄色の無地や、よく育つよう[[麻の葉文様]]等が使われる。背には背紋と呼ばれる[[マツ|松]]や[[ウメ|梅]]などの飾り縫いをしたりするが、これは[[お守り]]を縫い付けた名残といわれている。
 
産着は子供が生まれてから仕立て、長寿の人や、端切れをつなぎ合わせて作ることもある{{sfn|日本民俗大辞典|1999|loc=上・産着}}。裏地は肌触り晒木綿(さらしもめん)を用いてきたが、近年はタオル地なども用いられ、また縫い目を少なくし着心地や耐久性を高める工夫もなされている{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・産着}}。
[[着物]]の形に仕立てる産着は一つ身より小さく仕立て、[[季節]]によりひとえ、あわせ、綿入れの別がある。背縫いは無く、袖は付け詰にし、無地の時は飾りとして背紋をつける事が多い。
 
[[長野県]][[佐久地域]]伝統の産着には[[ウコン]]で黄色に染めた木綿の布を用いる。ウコンは災難を避け、[[シラミ]]がつかないという。また、麻の葉模様や、「背守り」、「つけ紐」などもつけることも多い。模様糸は赤色が多く、背守りは「四ツ目菱」とするが、男児は青糸を使うこともある。なお、佐久地方では「産着は産声を聞いてから縫え」と言われるが、昔は死産が多くあったからだという<ref>佐久市志編纂委員会編纂『佐久市志 民俗編 上』佐久市志刊行会、1990年、707 - 708ページ。</ref>。
 
==出典=寄せ着物===
寄せ着物は、子供の成長に不安がある際に、人々から布を集め成長を祈った{{sfn|背守り|2014|loc=背守り、端縫い考(佐治ゆかり)}}。金沢の[[真成寺 (金沢市)|真成寺]]の百徳着物<ref>[http://www.shinjouji.jp/sp/ 真成寺 公式HP]</ref>が有名で{{sfn|背守り|2014|loc=背守り、端縫い考(佐治ゆかり)}}、天保年間(1839年)の資料が最も古い{{sfn|背守り|2014|loc=産着に託された願い(夫馬佳代子)}}。群馬吾妻のひゃくだんきもの、群馬嬬恋のひゃっとこあつめ、福井敦賀のさんじゅうさんつぎ、岡山小山のせんまいご{{sfn|背守り|2014|loc=背守り、端縫い考(佐治ゆかり)}}。百徳もらい、ひゃっとこてだま、百人もらいなど{{sfn|背守り|2014|loc=産着に託された願い(夫馬佳代子)}}。実物資料が少なく、研究の進展があまりない{{sfn|背守り|2014|loc=背守り、端縫い考(佐治ゆかり)}}。
 
==晴れ着==
宮参り着では、男子は生後31-32日、女子は33日目に、その土地の[[氏神]]を訪れる{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・産着}}。正式な形がある{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・産着}}。
 
宮参り着の背守りは、守縫(もりぬい)と言い、12か月を象徴して縫い、男子は陰の針目、女子は陽で縫う{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・背守り}}。縦に7針、斜めに5針、男児は左斜めに女児は右斜めに縫う{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・背守り}}。端は、束にして輪にし垂らしたままにする{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・背守り}}。三重県松坂市では垂らす糸が長いほど長寿になると伝承されてきた{{sfn|日本民俗大辞典|1999|loc=上・背守り}}。
 
== 麻の葉文様 ==
{{Main|麻の葉文様}}
産着は麻の葉文様で作る習慣が昔からあり、江戸時代から用いられてきた図柄である{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・産着}}。[[アサ|麻]]は、丈夫でまっすぐ生育し、虫が寄り付かない特徴があることからこれにあやかったものである{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・産着}}。
 
*== 背守り ==
背守りは着物の背中につける飾りで「背紋飾り」とも言い、正装にも普段着にもつける{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・背守り}}。大人の紋付で背紋をつける場所に、刺しゅうや小型のぬいぐるみ飾りをつける{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・背守り}}。
 
背のない着物から魔が差すと言い伝えられてきた{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・背守り}}。このため、背に縫い目があるものには背守りはつけない{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・背守り}}。兵庫県姫路市城南ではこれである{{sfn|日本民俗大辞典|1999|loc=上・背守り}}。この地方ではモンカザリとか、モリヌイと呼ぶ{{sfn|日本民俗大辞典|1999|loc=上・背守り}}。沖縄ではマブヤーウー(魂護)と言い、赤糸の束や四角い布切れを縫い付けた{{sfn|背守り|2014|loc=背守り、端縫い考(佐治ゆかり)}}。
 
あるいは虫よけである{{sfn|背守り|2014|loc=背守り、端縫い考(佐治ゆかり)}}。
 
また背守りがあると子供が溺れた時など危機に陥った時に、荒神や産神が引っ張り上げてくれると信じられてきた{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・産着}}。三重県松坂市の伝承はこれである{{sfn|日本民俗大辞典|1999|loc=上・背守り}}。三重県松坂市ではセジルシ{{sfn|日本民俗大辞典|1999|loc=上・背守り}}。
 
背守りは一般に幾何学的な紋で、ぬいぐるみ形(お守りの意味{{sfn|背守り|2014|loc=背守り、端縫い考(佐治ゆかり)}})は昭和時代後半には珍しいものとなった{{sfn|服装大百科事典|1986|loc=上・背守り}}。または、巾着に米や豆を入れた{{sfn|日本民俗大辞典|1999|loc=上・背守り}}。
 
鎌倉時代の『春日権現験記絵巻』には背守りをつけた子供が書かれているとされる{{sfn|背守り|2014|loc=背守り、端縫い考(佐治ゆかり)}}。1670-1690年代の色絵碁盤童子置物(いろえごばんどうじおきもの)には、柏の葉のような模様の袋が縫い付けてある{{sfn|背守り|2014|loc=背守り、端縫い考(佐治ゆかり)}}。明治時代には学校教育で背守りの縫い方が教えられ、明治後期には呪術的な部分が離れ、手芸技術の向上という側面が強くなってくる{{sfn|背守り|2014|loc=産着に託された願い(夫馬佳代子)}}。真成寺の百徳着物では、昭和時代には背守りのないものが見られるようになる{{sfn|背守り|2014|loc=産着に託された願い(夫馬佳代子)}}。
 
また鳴海友子が、古い子供の着物を収集しており、当時の実物が集まっている{{sfn|背守り|2014}}。
 
== 出典 ==
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
*{{Cite book|和書|author=佐治ゆかりほか|title=背守り ― 子どもの魔よけ|series=LIXIL BOOKLET|publisher=LIXIL出版|date=2014|isbn=978-4-86480-508-7|ref={{sfnRef|背守り|2014}} }}
*{{Cite book|和書|author=服装文化協会|title=服装大百科事典〈上〉|edition=増補版|publisher=文化出版局|date=1986|ref={{sfnRef|服装大百科事典|1986}} }}
*{{Cite book|和書|author=福田アジオ、湯川洋司、中込睦子ほか|title=日本民俗大辞典〈上〉|publisher=吉川弘文館|date=1999|isbn=4-642-01332-6||ref={{sfnRef|日本民俗大辞典|1999}} }}
 
{{デフォルトソート:うふき}}