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[[沢庵漬け]]のような[[糠漬け]]や、糠味噌床も、なれ寿司の穀物を乳酸発酵の基質として利用する技術の延長線上にあり、北陸の「[[へしこ]]」や北海道の「糠[[ニシン]]」などにその中間型を見ることができる。
 
乳酸菌による発酵は、これらの食品に酸味を主体とした味や香りの変化を与えるとともに、乳酸によって食品の[[水素イオン指数|pH]]が酸性側に偏ることで、腐敗や食中毒の原因になる他の微生物の繁殖を抑えて食品の長期保存を可能にしている。植物性乳酸菌は、野菜や豆、米や麦などの植物素材を[[発酵]]させる乳酸菌のことである。漬物や[[味噌]]、[[醤油]]、さらには[[酒]]や[[なれ寿司]]などの米の発酵食品まで、さまざまな食品に生育している。一方、[[ヨーグルト]]のように[[牛乳]]などの動物の[[乳]]に生育する乳酸菌は動物性乳酸菌と呼び、それぞれ区別されている<ref name="OKADA">{{Citation |author=岡田早苗 |date=2002 |title=植物性乳酸菌世界とその秘め世界可能性 |url=https://doi.org/10.4109/jslab1997.13.23 |journal=日本乳酸菌学会誌 |volume=13 |issue=1 |pages=23-26 |doi=10.4109/jslab1997.13.23 }}</ref>。動物性乳酸菌は、乾燥、熱、酸に弱く、[[胃酸]]で死滅するが、植物性乳酸菌は酸に強く生きたまま腸に届く<ref name=suzuka>長谷川武夫、西本裕喜、林部昌弘ほか、「{{PDFlink|[http://www.suzuka-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/01/07-hasega2.pdf 植物性乳酸菌による生理活性作用]}}」『鈴鹿医療科学大学紀要』2004年(第11号) pp48-56</ref>。植物性乳酸菌の効果として、[[免疫]]活性作用、[[便秘]]・[[下痢]]の解消、病原菌感染の予防などが報告されている<ref name=suzuka/>が、漬け物等と同時に摂取する程度の付着量では摂食した菌種によるアレルギー反応抑制等の機能性は期待できないとの指摘がある<ref>熊谷武久、瀬野公子、川村博幸 ほか、[https://doi.org/10.3136/nskkk.48.677 植物性乳酸菌の食品発酵性と食餌モデル培地における生育] 日本食品科学工学会誌 Vol.48 (2001) No.9 P.677-683, {{DOI|10.3136/nskkk.48.677}}</ref><ref>津田洋子、内山隆文、塚原嘉子 ほか、『木曽地域で食される“すんき漬”の抗アレルギー効果に関する疫学的検討』 信州公衆衛生雑誌 2(1): 64-65(2007), {{hdl|10091/3468}}</ref>。
 
===発酵微生物===
漬物で発酵を担っている微生物は、''[[w:Leuconostoc mesenteroides|Leuconostoc mesenteroides]]''、''[[w:Enterococcus faecalis|Enterococcus faecalis]]''、''[[w:Enterococcus faecium|Enterococcus faecium]]''、''[[w:Pediococcus|Pediococcus]]''属の菌、''[[w:Lactobacillus plantarum|Lactobacillus plantarum]]''、''[[w:Lactobacillus casei|Lactobacillus casei]]''、''[[w:Lactobacillus brevis|Lactobacillus brevis]]''
などの[[乳酸菌]]等が掲げられる。乳酸菌以外に[[酵母]]が発酵にかかわっている<ref>宮尾 茂雄 「[httphttps://doi.org/10.5803/jsfm.22.127 漬物と微生物]」『日本食品微生物学会雑誌』Vol. 22 (2005) No.22巻 4 P p.127-13713, {{doi|10.5803/jsfm.22.127}}</ref>。[[クロストリジウム属]]は[[酪酸菌]]として知られ、漬物の酪酸臭の原因となる<ref>伊藤 「[http://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan1915.63.405 味噌のふくれと酪酸菌- クロストリジウム]」 『日本釀造協會雜誌』 Vol.1968年 63 (1968) No. 4 P p.405-409, {{doi|10.6013/jbrewsocjapan1915.63.405}}</ref>。
 
=== 発酵以外 ===
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{{栄養価 | name=はくさい 漬物 塩漬<ref name=mext7>[[文部科学省]] 「[http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm 日本食品標準成分表2015年版(七訂)]」</ref>| kJ =67| water=92.2 g| protein=1.4 g| fat=0.1 g| carbs=3.4 g| opt1n=[[食物繊維|水溶性食物繊維]]| opt1v=0.3 g| opt2n=[[食物繊維|不溶性食物繊維]]| opt2v=1.5 g| fiber=1.8 g| sodium_mg=900| potassium_mg=230| calcium_mg=47| magnesium_mg=15| phosphorus_mg=39| iron_mg=0.4| zinc_mg=0.3| copper_mg=0.04| Manganese_mg=0.07| betacarotene_ug=14| vitA_ug =1| vitE_mg =0.2| vitK_ug=57| thiamin_mg=0.04| riboflavin_mg=0.03| niacin_mg=0.3| vitB6_mg=0.12| folate_ug=83| pantothenic_mg=0.22| vitC_mg=27| note =ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した<ref>[[厚生労働省]] 「[http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114399.pdf 日本人の食事摂取基準(2015年版)]」</ref>。廃棄部位: 株元。水洗いし、手搾りしたもの | right=1 }}
 
[[IARC発がん性リスク一覧]]では、「アジア式野菜の漬物 (Pickled vegetables (traditional in Asia) )」が、Group2B(ヒトに対する発癌性が疑われる(Possibly(Possibly Carcinogenic)Carcinogenic)、化学物質、混合物、環境)としてとりあげられている。アジア式野菜の漬物とは、中国、韓国、日本の伝統的な漬物を意味しており、低い濃度の[[ニトロソアミン]]等が検出されている<ref>[http://www.inchem.org/documents/iarc/vol56/02-pick.html International Agency for Research on Cancer (IARC) - Summaries & Evaluations] Last updated 08/21/1997</ref>。
野菜類に主に肥料由来の[[硝酸]]塩、[[亜硝酸]]塩が多く含まれることがある。市販漬物中には[[硝酸]]塩、[[亜硝酸]]塩が多く、なかでも葉菜類が最も高く、次いで根菜類、果菜類の順に多かった旨の報告がある<ref>高屋むつ子、後藤美代子「[http://ci.nii.ac.jp/naid/110001170844 市販漬物中の亜硝酸塩とニトロソアミンについて]」『調理科学』20(1),1987-03-20,pp54-59 {{NAID|110001170844}}</ref>。亜硝酸と脂肪族アミン類が反応すると[[発癌性]]の高い[[ニトロソアミン]]体となるので食品添加物の亜硝酸塩や(窒素肥料を過剰に与えた)根菜などに含まれる亜硝酸の摂取に対しては注意が喚起されている。亜硝酸は体内で[[メトヘモグロビン]]を生成することがある<ref>三田村久吉「[http://www.iaea.org/inis/collection/NCLCollectionStore/_Public/37/002/37002421.pdf 硝酸態窒素による地下水汚染とその対策法]」2003年、日本原子力研究所。 p51</ref>。
 
; 悪性腫瘍
[[IARC発がん性リスク一覧]]では、「アジア式野菜の漬物 (Pickled vegetables (traditional in Asia) )」が、Group2B(ヒトに対する発癌性が疑われる(Possibly Carcinogenic)、化学物質、混合物、環境)としてとりあげられている。アジア式野菜の漬物とは、中国、韓国、日本の伝統的な漬物を意味しており、低い濃度の[[ニトロソアミン]]等が検出されている<ref>[http://www.inchem.org/documents/iarc/vol56/02-pick.html International Agency for Research on Cancer (IARC) - Summaries & Evaluations] Last updated 08/21/1997</ref>。
: [[国立がん研究センター]]の調査では、漬物をたくさん食べる人の胃癌の発生率は、高くも低くもならなかったとの報告があるものの、漬物は塩分を多く含むため胃癌の危険因子だといわれており、胃癌を予防するためには、漬物以外の新鮮な野菜の摂取が望ましいとしている<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/257.html 野菜・果物摂取と胃がん発生率との関係について JPHC Study 多目的コホート研究] (独立行政法人国立がん研究センター):2012年7月6日閲覧</ref>
 
; 亜硝酸塩
漬物の材料となる[[キャベツ]]、[[ハクサイ]]等の[[アブラナ科]]の[[野菜]]に含まれる[[イソチオシアネート]]類<ref>[http://home.cie.m.u-tokyo.ac.jp:8080/Plone/Public%20Health%20Informatics/309360c558315b66/4e00822c306e65b95411305130934e88963260c55831/30a430bd30c130aa30b730a230cd30fc30c8 イソチオシアネートのがん予防効果]</ref>で、基礎研究では[[ピロリ菌]]を抑制が報告されている。
: 野菜類に主に肥料由来の[[硝酸]]塩、[[亜硝酸塩]]が多く含まれることがある。
 
{{main|亜硝酸塩#毒性について}}
[[国立がん研究センター]]の調査では、漬物をたくさん食べる人の胃癌の発生率は、高くも低くもならなかったとの報告があるものの、漬物は塩分を多く含むため胃癌の危険因子だといわれており、胃癌を予防するためには、漬物以外の新鮮な野菜の摂取が望ましいとしている<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/257.html 野菜・果物摂取と胃がん発生率との関係について JPHC Study 多目的コホート研究] (独立行政法人国立がん研究センター):2012年7月6日閲覧</ref>
 
== 漬ける方法 ==
{{See|漬け方一覧}}
使用する[[調味料]]や[[漬物床]]によって、例えば[[塩漬け]]、[[味噌漬け]]、[[糠漬け]]、[[粕漬け]]などさまざまな漬け方がある。漬ける目的は、保存、[[風味]]付け、調味の3つが主たるものである。漬ける時間は、数分から数十年にも及ぶものまである。長期間にわたってつける場合には、[[発酵]]を利用する場合が多い。食卓にそのまま上る最終的な調理技法としても用いられるが、[[下拵え]]の技法としても多用される。
 
== 代表的な漬物 ==
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== 脚注 ==
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== 関連項目 ==