「のれん (会計)」の版間の差分

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'''のれん'''({{En|goodwill}})とは、[[企業]][[買収]]・合併([[M&A]])の際に発生する、「買収された企業の[[時価評価]]純資産」と「買収価額」との差額のことである。([[連結会計]]にあっては投資価額と被投資企業時価評価純資産のうち持分相当の差額)
 
==概要==
[[暖簾]]は元々店先にかかる布であり、それ自体の物質的な価値はないが、顧客への知名度や品質など[[ブランド]]価値を示す象徴である。こうした無形のものに対して投資することから、実際の金銭的価値に上乗せして評価する[[プレミアム]]の分を指すようになった。
企業結合(または投資)時は、被合併企業の[[資産]]・[[負債]]は、時価で再評価しなおされ、合併企業と合算される([[パーチェス法]])。
 
(投資時には、[[連結会計]]の中でだけ被投資会社の資産・負債を時価評価する)
 
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==== のれん償却の意義 ====
のれん償却は利益操作の手段として用いられる可能性がある。償却を行わない場合は、企業結合を繰り返す企業の貸借対照表に巨額ののれんが蓄積されていくことや、収益悪化が続くと(ブランド価値が失われたとして)突然巨額の減損処理が発生することがある。さらに、企業結合により生じたのれんは時間の経過とともに自己創設のれんに入れ替わる可能性があるため、企業結合により計上したのれんの非償却による自己創設のれんの実質的な資産計上となる。のれんが超過収益力を表すとみると、競争の進展によって通常はその価値が減価するにもかかわらず、競争の進展に伴うのれんの価値の減価の過程を無視することになる。また、超過収益力が維持されている場合においても、それは企業結合後の追加的な投資や企業の追加的努力によって補完されているにもかかわらず、のれんを償却しないことは、上述の通り追加投資による自己創設のれんを計上することと実質的に等しくなるという問題点がある。
 
償却を行う場合も、実務的には償却期間が根拠なく2年から20年と幅がある為、企業側の意志により恣意的に一定期間、利益を落として開示することが可能となっており、欧米と日本の処理方法の差異に関して議論が続いている。
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== 買収価額が被取得企業の純資産を下回る場合 ==
この場合、のれんを特に「'''負ののれん'''」と呼ぶ。<del>例としては(上記のように、この場合は買収・合併・投資という決断をもともとしないため)少ないが、ありえる。</del>
 
負ののれんはB/Sにのせず、全額を当期の特別利益としてP/L(連結[[損益計算書]]もしくは損益計算書)に計上する。
 
負ののれんの会計処理方法としては、想定される負ののれんの発生原因を特定し、その発生原因に対応した会計処理を行う方法や、正の値であるのれんの会計処理方法との対称性を重視し、規則的な償却を行う方法が考えられる。想定される発生原因に対応した会計処理を行う方法には、企業結合によって受け入れた非流動資産に負ののれんを比例的に配分し、残額が生じれば繰延利益若しくは発生時の利益として計上する方法、又は、全額を認識不能な項目やバーゲン・パーチェスとみなし発生時の利益として計上する方法等が含まれる。非流動資産に比例的に配分する方法の基となる考え方には、負ののれんの発生は、パーチェス法の適用時における識別可能資産の取得原価を決定する上での不備によるものと見なし、この過程で測定を誤る可能性の高い資産から比例的に控除することが妥当であると見るものがある。

一方、発生時に利益計上する方法は、識別可能資産の時価の算定が適切に行われていることを前提にした上で、負ののれんの発生原因を認識不能な項目やバーゲン・パーチェスであると位置付け、現実には異常かつ発生の可能性が低いことから、異常利益としての処理が妥当であると考えるものである。また、異常利益として処理することを求める(経常的な利益とはならない)ことは、時価の算定を適切に行うインセンティブになるという効果もあるといわれている。
 
現行の国際的な会計基準では、負ののれんは発生原因が特定できないものを含む算定上の差額として全て一時に利益認識することとしている。これは、のれんは資産として計上されるべき要件を満たしているものの、負ののれんは負債として計上されるべき要件を満たしていないことによる帰結と考えられる。平成20年改正会計基準では、平成20年までの短期[[コンバージェンス]]・プロジェクトとして国際的な会計基準の考え方を斟酌した結果、従来の取扱いを見直し、負ののれんが生じると見込まれる場合には、まず、取得企業は、全ての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直すこととした。次に、この見直しを行っても、なお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回る場合には、当該不足額を発生した事業年度の利益として処理することとした。
 
== 関連人物 ==