「アルデヒド」の版間の差分

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IUPACではアルデヒドの命名法を以下のように定めている<ref>[http://www.uwc.edu/dept/chemistry/helpful_files/nomenclature.pdf Short Summary of IUPAC Nomenclature of Organic Compounds], web page, University of Wisconsin Colleges, accessed on line August 4, 2007.</ref><ref>[http://www.acdlabs.com/iupac/nomenclature/93/r93_449.htm §R-5.6.1, Aldehydes, thioaldehydes, and their analogues, A Guide to IUPAC Nomenclature of Organic Compounds: recommendations 1993], IUPAC, Commission on Nomenclature of Organic Chemistry, Blackwell Scientific, 1993.</ref><ref>[http://www.acdlabs.com/iupac/nomenclature/93/r93_480.htm §R-5.7.1, Carboxylic acids, A Guide to IUPAC Nomenclature of Organic Compounds: recommendations 1993], IUPAC, Commission on Nomenclature of Organic Chemistry, Blackwell Scientific, 1993.</ref>。
 
# 非環式の脂肪族アルデヒドはホルミル基を含む最も長い炭素鎖から誘導して命名する。従って、<cechem>HCHO</cechem>は[[メタン]]から誘導され、<cechem>CH3CH2CH2CHO</cechem> は[[ブタン]]から誘導される。名称はアルカンの語尾の ''-e'' (-ン)を ''-al'' (-アール)にする。つまり、HCHOは[[メタナール]](methanal)、<cechem>CH3CH2CH2CHO</cechem> は[[ブタナール]](butanal)となる。
# ホルミル基が環についているときは語尾に -carbaldehyde (-カルバルデヒド)を使う。従って、<cechem>C6H11CHO</cechem> はシクロヘキサンカルバルデヒド(cyclohexanecarbaldehyde)となる。もし、他の官能基が存在した場合は接頭辞の ''formyl-'' (ホルミル-)を使う。接頭辞は ''methanoyl-'' (メタノイル-)が推奨される。
# 化合物が天然に生成する[[カルボン酸]]のときは、ホルミル基が結合した炭素原子を指示して[[接頭辞]] ''oxo-'' (オキソ-)を使う。例えば、<cechem>CHOCH2COOH</cechem>は、3-オキソプロパン酸(3-oxopropanoic acid)と命名される。
# ホルミル基がカルボン酸のカルボキシル基から合成された場合はそのカルボン酸の慣用名から誘導される。語尾の ''-ic acid'' または ''-oic acid'' を ''-aldehyde'' に変える。例えば、HCHOは[[ホルムアルデヒド]]、<cechem>CH3CHO</cechem>は[[アセトアルデヒド]]、<cechem>C6H5CHO</cechem>は[[ベンズアルデヒド]]となる。
 
== 性質 ==
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== 合成法 ==
アルデヒドは実験室的には第一級アルコールを弱い[[酸化剤]](例えば[[クロロクロム酸ピリジニウム]] (PCC))で酸化すると生成する。
: <cechem>{R-CH2OH} + oxidant -> R-CHO</cechem>
 
[[クロム酸酸化#PCC酸化|PCC酸化]]の他にも多くの酸化法が知られる。[[クロム酸酸化#PDC酸化|PDC酸化]]、[[スワーン酸化]]、[[過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム|TPAP酸化]]、[[デス・マーチン酸化]] 、[[TEMPO酸化]]、[[向山酸化]] などを参照されたい。工業的な酸化方法では、[[銅]]などの[[触媒]]を用いてアルコールを[[空気]]または[[酸素]]で酸化する方法がよく用いられる。
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工業的なアルデヒド合成法としては、ワッカー酸化とともに、アルケンの[[二重結合]]に対して水素と[[一酸化炭素]]を触媒を用いて付加させる[[ヒドロホルミル化]](オキソ法)が多用される。
: <cechem>{RCH=CHR'} + {H2} + CO -> RCH2-CHR'-CHO</cechem>
 
== 主な化学反応 ==
アルデヒドと[[グリニャール試薬]]を反応させて、酸で処理するとアルコールが生成する。
: <cechem>{R-CHO} + R'MgBr -> RR'CHOH</cechem> (R = 有機基または H)
 
アルデヒドを適切な酸化剤(例えば[[亜塩素酸ナトリウム]])で酸化するとカルボン酸になる。
: <cechem>{R-CHO} + HClO2 -> {R-CO2H} + HOCl</cechem>
 
[[水素化アルミニウムリチウム]]や[[水素化ホウ素ナトリウム]]などで還元するとアルコールに変わる。
: <cechem>{R-CHO} + NaBH4 -> R-CH2OH</cechem>
 
酸触媒の存在下、アルコールと脱水反応を行わせると、[[アセタール]]が得られる。この反応はホルミル基の[[保護基|保護]]に利用される。
: <cechem>{R-CHO} + 2R'OH -> R-CH(OR')2</cechem>
 
[[銀鏡反応]]や[[フェーリング反応]]では、アルデヒドの還元力を利用している。
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== 主なアルデヒド ==
*[[ホルムアルデヒド]] (メタナール、<cechem>HCHO</cechem>) - 水溶液は[[ホルマリン]]と呼ばれる
*[[アセトアルデヒド]] (エタナール、<cechem>CH3CHO</cechem>)
*[[プロピオンアルデヒド]] (プロパナール、<cechem>C2H5CHO</cechem>)
*[[ブタナール]] (<cechem>C3H7CHO</cechem>)
*[[ペンタナール]] (<cechem>C4H9CHO</cechem>)
*[[ヘキサナール]] (<cechem>C5H11CHO</cechem>)
*[[ヘプタナール]] (<cechem>C6H13CHO</cechem>)
*[[オクタナール]] (<cechem>C7H15CHO</cechem>)
*[[ノナナール]] (<cechem>C8H17CHO</cechem>)
*[[デカナール]] (<cechem>C9H19CHO</cechem>)
*[[蟻酸]] (<cechem>HCOOH</cechem>)
*[[アクロレイン]] (ビニルアルデヒド、<cechem>CH2=CHCHO</cechem>)
*[[ベンズアルデヒド]] (<cechem>C6H5CHO</cechem>) - [[アンズ杏仁]]の芳香成分。
*[[シンナムアルデヒド]] (桂皮アルデヒド、<cechem>C6H5CH=CHCHO</cechem>) - [[シナモン]]の芳香及び辛味成分。
*[[ペリルアルデヒド]] (<cechem>C9H13CHO</cechem>) - [[シソ]]の芳香及び辛味成分。
*[[バニリン]](<cechem>C6H3(OH)(OCH3)CHO</cechem>) - [[バニラ]]の芳香成分。
*[[グリオキサール]](ジアルデヒド、<cechem>(CHO)2</cechem>)
*[[マロンジアルデヒド]] - 体内の脂質過酸化生成物