「単純疱疹」の版間の差分

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HSV-1,2の相互感染
感染率の疫学、特筆すべき二重盲検のある代替医療
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単純ヘルペスウイルスが原因。単純ヘルペスウイルスには1型 (HSV-1) と2型 (HSV-2) が存在し、1型は唇とその周囲、2型は性器に感染しやすい<ref name="naid130007411774"/>。そのように言われるがその限りではない<ref name="naid10009353186"/>。この逆のHSV-1の性器への感染、HSV-2の口腔への感染は、性器を舐める行為によって生じると考えられるが、この場合再発はしにくい<ref name="naid10009353186"/>。ウイルスは感染すると仙髄神経節に潜伏し、潜伏ウイルスに効く薬は存在していない<ref name="naid10009353186"/>。
 
HSV-1の感染対象はほとんどの場合で口であり、疫学の節に示すように感染率は一般的で、通常は幼少期に家族から感染する<ref name="Cambridge2007">{{Cite book|author=Anna Wald, Lawrence Corey |title=Human Herpesviruses: Biology, Therapy, and Immunoprophylaxis|publisher=Cambridge University Press|date=2007|isbn=|chapter=Chapter 36Persistence in the population: epidemiology, transmission |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK47447/ }}</ref>。一方、HSV-2の感染頻度はこれよりも少なく、性行為が原因となりやすく、感染が一般的なのはアフリカのような発展途上国であり、欧米諸国では感染率はより低い<ref name="Cambridge2007"/>。
0-1歳では母体からの抗体の以降によって感染から保護されているが、抗体がない場合に新生児に感染した場合には重篤となりやすい<ref name="naid130004633424"/>。(性器クラミジアの症状が出ている出産時には帝王切開となる)より多様な集団との関りが増える2歳以降の子供では17%が無症状のままHSV-1が検出される<ref name="naid130004633424"/>。また、性器ヘルペスを発症した人の性的パートナーの6-7割は無症状である<ref name="naid10009353186"/>。無症状のままに感染することも特徴である<ref name="naid10009353186"/>。
 
0-1歳では母体からの抗体の以降によって感染から保護されているが、抗体がない場合に新生児に感染した場合には重篤となりやすい<ref name="naid130004633424"/>。(性器クラミジアの症状が出ている出産時には帝王切開となる)より多様な集団との関りが増える2歳以降の子供では17%が無症状のままHSV-1が検出される<ref name="naid130004633424"/>。また、性器ヘルペスを発症した人の性的パートナーの6-7割は無症状である<ref name="naid10009353186"/>。無症状のままに感染することも特徴である<ref name="naid10009353186"/>。あるいは、皮膚や粘膜にウイルスが存在する時期が、症状の出ている時期と若干ずれている場合もあるため、無症状でウイルスが流出することにもなる<ref name="Cambridge2007"/>。
 
再発性となることも多く、風邪やストレスや心労、老齢、抗がん剤治療・日光等の刺激によって、ウイルスが増殖して症状を再発する。免疫によるウイルスの排除が行えないため繰り返す。成人の約7割がこのウイルスに感染している。
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==予防==
性器ヘルペスではコンドームの使用。
感染自体の予防。
 
HSV-2の感染は、抗ウイルスの使用によって感染率が低下する<ref name="Cambridge2007"/>。
 
== 治療 ==
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単純疱疹による口唇ヘルペスや陰部ヘルペスには、あらかじめアシクロビルやビダラビン、バラシクロビルやファムシクロビルという抗ウイルス薬を、原則1年間内服する方法がある。(日本ではこの再発抑制療法は性器ヘルペスに保険適用)
 
抗ウイルス薬の長期的な使用では、薬剤耐性菌が出現する可能性がある<ref name="pmid27306564">{{cite journal|author=Piret J, Boivin G|title=Antiviral resistance in herpes simplex virus and varicella-zoster virus infections: diagnosis and management|journal=Curr. Opin. Infect. Dis.|issue=6|pages=654–662|date=December 2016|pmid=27306564|doi=10.1097/QCO.0000000000000288}}</ref>。

2015年の[[コクラン共同計画|コクラン]]の調査で、経口薬は口唇ヘルペスの予防に有効だが利益は小さく、また副作用の証拠はない<ref name="pmid26252373">{{cite journal|author=Chi CC, Wang SH, Delamere FM, Wojnarowska F, Peters MC, Kanjirath PP|title=Interventions for prevention of herpes simplex labialis (cold sores on the lips)|journal=Cochrane Database Syst Re|issue=8|pages=CD010095|date=August 2015|pmid=26252373|doi=10.1002/14651858.CD010095.pub2}}</ref>。局所薬は、口唇ヘルペスの予防に有効ではない<ref name="pmid26252373"/>。[[副腎皮質ホルモン]]の塗り薬の追加は、抗ウイルス薬単独よりも再発を予防するが、治癒期間の短縮は見られなかった<ref name="pmid25887308">{{cite journal|author=Arain N, Paravastu SC, Arain MA|title=Effectiveness of topical corticosteroids in addition to antiviral therapy in the management of recurrent herpes labialis: a systematic review and meta-analysis|journal=BMC Infect. Dis.|pages=82|date=February 2015|pmid=25887308|pmc=4342818|doi=10.1186/s12879-015-0824-0|url=https://doi.org/10.1186/s12879-015-0824-0}}</ref>。[[リジン]]では1984年の1件の研究が見つかり有効性の証拠はないとした<ref name="pmid26252373"/>。
 
2006年の代替医療の調査では、リジンのサプリメントが再発抑制に有効であった複数の二重盲検試験を発見しており、予防のために合理的な用量は1日あたり500-3000mgとした<ref>{{Cite journal |author=Alan R. Gaby|date=2006|title=Natural Remedies for Herpes simplex|url=http://www.altmedrev.com/archive/publications/11/2/93.pdf |format=pdf|journal=Alternative Medicine Review|volume=11|issue=2|page=93-101}}</ref>。
 
===研究開発段階===
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日本国内では、東京大学や大阪大学において、単純ヘルペス感染の仕組みなどの解明や、完治にむけた新たな治療法や、感染予防法の開発研究が行われている。最近の研究成果では東京大学で薬剤ML-7によりマウスで単純ヘルペス感染予防の実験に成功している。
 
ハチミツに殺菌作用があり[[創傷|怪我]]や[[熱傷|火傷]]治療に有効性があることから、口唇ヘルペスの治療に用いてみようという2017年の研究計画がある<!--2019年、遅くて2020年に研究結果がなければ消していいと思います--><ref name="pmid28775197">{{cite journal|author=Semprini A, Singer J, Shortt N, Braithwaite I, Beasley R|title=Protocol for a randomised controlled trial of 90% kanuka honey versus 5% aciclovir for the treatment of herpes simplex labialis in the community setting|journal=BMJ Open|issue=8|pages=e017766|date=August 2017|pmid=28775197|pmc=5724166|doi=10.1136/bmjopen-2017-017766|url=https://doi.org/10.1136/bmjopen-2017-017766}}</ref>。
 
==疫学==
世界中で一般的な疾患である。若年成人における大規模調査では、研究までに男性の33%、女性の28%が口唇ヘルペスを2回以上呈していた。アメリカでの生涯有病率は20-45%、フランスでは男性32%、女性42%。<ref name="Lee 2011">{{cite journal|vauthors=Lee C, Chi CC, Hsieh SC, Chang CJ, Delamere FM, Peters MC, Kanjirath PP, Anderson PF |title=Interventions for treatment of herpes simplex labialis (cold sores on the lips) (Protocol)|journal=Cochrane Database of Systematic Reviews|year=2011|issue=10|doi=10.1002/14651858.CD009375}}</ref> アフリカでは有病率はもっと高い。
 
そして単純ヘルペスウイルス自体の保有率では、HSV-1、HSV-2を併せると世界中の約90%がいずれかあるいは両方を保有する<ref name="Cambridge2007"/>。米国人口の65%がHSV-1の抗体を持ち、欧州の約半分がHSV-1の検査で陽性である<ref name="Cambridge2007"/>。HSV-2では、アフリカでは50%を超えて感染しており、欧米諸国では20-30%、スペインやフィリピンでは10%前後となる<ref name="Cambridge2007"/>。アフリカでのHSV-2の感染リスクは4人以上の性的パートナーの場合に60%を超えるが、米国では10-49人のパートナーでも約35%、2-4人では約18%となる<ref name="Cambridge2007"/>。
 
日本の0-15歳までのヘルペス未発症の241人を対象として、2歳以降の17%の子供の唾液中にHSV-1が検出された<ref name="naid130004633424">{{Cite journal |和書|author1=吉原俊博 |author2=加我正行 |author3=小口春久 |date=1997 |title=PCR法による唾液中の単純ヘルペスウイルス検出に関する研究 |journal=小児歯科学雑誌 |volume=35 |issue=5 |pages=773-777 |naid=130004633424 |doi=10.11411/jspd1963.35.5_773 |url=https://doi.org/10.11411/jspd1963.35.5_773}}</ref>