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{{Law}}
[[File:Kojinbango card omote.jpg|thumb|right|個人番号カード(表)]]
'''個人番号'''(こじんばんごう)とは、[[日本]]に於いて「[[行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律]]」に基づき、個人の識別番号として各[[市町村]]または[[特別区]]からその[[住民#日本の法律における住民|住民]]に指定される12桁の番号である。[[通称]]は「'''マイナンバー'''([[日本における英語|英]]: {{en|My Number}})」。なお、法人や団体などには、個人番号の代わりに同じ根拠法で[[法人番号]]が指定される<ref>マイナンバー法第58条第1項</ref>。
 
[[個人番号カード]]交付が始まり、従来の[[住民基本台帳カード]]の新規発行は行われなくなった(2015年(平成27年)12月末終了)。ただし、それ以前に交付を受けた住基カードは、有効期間内はそのまま利用できる<ref>{{Cite web|url = http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/faq3.html|title = マイナンバーカードに関する質問|publisher = 内閣官房|accessdate = 2016-05-01}}</ref>。しかし一度個人番号カードの交付を受けると、有効期間内であっても住基カードは返納しなければならない。
 
[[住民基本台帳ネットワークシステム]]より以前の個人番号のような制度の変遷の動きについては、[[国民識別番号]]および[[納税者番号制度]]、そして個人番号カードに相当する[[社会保障カード]]を参照されたい。
 
{| class="wikitable floatright" style="text-align:center; margin-left: 2em; margin-top:2em; font-size:85%"
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== 概要 ==
「個人番号」が正式名称で、「マイナンバー」は通称。2015年(平成27年)10月現在、[[日本国政府]]が「マイナンバー」の商標権を保有している<ref>登録第5756402号</ref>。
個人番号は、[[住民基本台帳ネットワークシステム]](住基ネット)で付番された[[住民票コード]]から生成される。住民票コードそのものを個人番号としない理由について、[[内閣官房]]は「『住民票コード』はもともと今回のような利用を想定しておらず、運用の大幅な改変が必要になることや、パブリックコメントの多数意見が『新しい番号の利用』だったこと、等」<ref>{{Cite web|url = http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/faq1.html|title = 総論|publisher = 内閣官房|accessdate = 2016-05-01}}</ref>と説明している。
 
住基ネットでは、従来の4情報(氏名、住所、性別、生年月日。これらは'''基本4情報'''とも呼ばれる。)と住民票コードに加えて個人番号を管理するよう改修が行われた<ref>[https://www.j-lis.go.jp/personal/personal_number.html]</ref>。地方公共団体において、個人番号制度の運用のためには住基ネットの利用が前提になる。住基ネット稼働時から非接続だった[[福島県]][[東白川郡]][[矢祭町]]は、個人番号制度への対応を理由に、2015年(平成27年)3月30日に住基ネットに接続した<ref>{{Cite news|date=2015-05-11|url=http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/watcher/14/334361/050100262/|title=マイナンバーで遂に住基ネット接続、国に反旗を翻した東北の町の13年|newspaper=ITpro|publisher=日経BP社|accessdate=2015-05-14}}</ref>。
 
== 名称 ==
「個人番号」が正式名称で、「マイナンバー」は通称である。2015年(平成27年)10月現在、[[日本国政府]]が「マイナンバー」の商標権を保有している<ref>登録第5756402号</ref>。
 
個人番号及び[[法人番号]]を徴税、社会保障などの手続に使用する制度を、'''社会保障・税番号制度'''<ref name=":1">[http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/ マイナンバー社会保障・税番号制度](内閣官房、2015年10月16日閲覧)</ref>、'''マイナンバー制度'''<ref name=":1" />、又は'''共通番号制度'''<ref>[http://www.asahi.com/topics/word/%E5%85%B1%E9%80%9A%E7%95%AA%E5%8F%B7%E5%88%B6%E5%BA%A6.html 共通番号制度に関するトピックス](朝日新聞デジタル、2015年10月16日閲覧)</ref>といい、[[行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律]](平成25年法律第27号)という法律に規定されている。この法律の通称が、'''マイナンバー法'''<ref name=":2" />若しくは'''番号法'''<ref>宇賀克也『番号法の逐条解説』(有斐閣、2014年、ISBN 978-4-64113158-3)</ref>である。頭文字をとって「MN」とも<ref>[[週刊金曜日]]2018年11月2日号</ref>。
 
=== 名称決定の経緯 ===
2011年(平成23年)2月から3月にかけて「共通番号」に付ける名称を公募<ref>[http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/meisyo_bosyu.html 国民の皆様から「共通番号」の名称を募集します](番号制度創設推進本部、2011年2月24日)</ref>。807件の応募の中からの選考を経て、「共通番号」の名称は「マイナンバー」に決まったと番号制度創設推進本部が2011年(平成23年)6月30日に公表した<ref>井出一仁 [http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20110707/362146/ 共通番号の名称が「マイナンバー」に決まった経緯は?](ITpro、2011年7月8日)</ref><ref>原井直子 [{{NDLDC|3488875}} 社会保障・税に関わる番号制度の概要] レファレンス 平成24年4月号</ref><ref>[http://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/110630bangoseido.pdf 社会保障・税に関わる番号制度における「番号」の名称の決定について] 番号制度創設推進本部 平成23年6月30日</ref>。
番号制度の検討段階では、番号は「国民ID」や「共通番号」と呼ばれていた。当時、「マイナンバー」という名称は、[[NTTグループ]]が「ひかり電話 追加番号サービス」の商標として使っていた。2018年現在も使用中。
 
日本国政府は、2011年(平成23年)2月から3月にかけて「共通番号」に付ける名称を公募した<ref>[http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/meisyo_bosyu.html 国民の皆様から「共通番号」の名称を募集します](番号制度創設推進本部、2011年2月24日)</ref>。807件の応募の中からの選考を経て、「共通番号」の名称は「マイナンバー」に決まったと番号制度創設推進本部が2011年(平成23年)6月30日に公表した<ref>井出一仁 [http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20110707/362146/ 共通番号の名称が「マイナンバー」に決まった経緯は?](ITpro、2011年7月8日)</ref><ref>原井直子 [{{NDLDC|3488875}} 社会保障・税に関わる番号制度の概要] レファレンス 平成24年4月号</ref><ref>[http://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/110630bangoseido.pdf 社会保障・税に関わる番号制度における「番号」の名称の決定について] 番号制度創設推進本部 平成23年6月30日</ref>。
 
この「共通番号」・「マイナンバー」は、法案の検討段階で「個人番号」と表現されるようになった<ref name=":2">[http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/dai14/gijisidai.html 社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会(第14回)](2011年12月16日)の配布資料</ref>。そして、法令では「個人番号」の用語が使用されたため、これが正式名称となった。
 
=== 外国語訳 ===
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日本に住所を置く外国人のうち、「外交」の在留資格で在留する[[駐日外国公館の一覧|外国政府の駐日大使館・領事館]]に勤務する[[特命全権大使]]や[[特命全権公使]]や[[外交官]]とその家族、「公用」の在留資格で在留する[[在日米軍]]の軍人とその家族などは、個人番号の指定の対象外である<ref name=":0" />。
 
== 番号の構成 ==
{| class="wikitable floatright" style="text-align:center; margin-left:1em"
|+個人番号の構成
!colspan="12"|個人番号の''n''桁目(先頭が12桁目)
|-
!12!!11!!10!!9!!8!!7!!6!!5!!4!!3!!2!!1
|-
|colspan="11"|[[住民票コード]]から生成される11桁||[[チェックディジット|検査用数字]]
|}
個人番号は数字12桁である。これに対して[[住民票コード]]は11桁、[[法人番号]]は13桁であるので、桁数によって個人番号、住民票コード、法人番号を区別することができる。
 
個人番号12桁の途中に、[[ハイフン]](-)や[[コンマ]](,)や[[スペース]]( )を置く決まりはない。[[個人番号カード]]では「1234 5678 9012」のように4桁ごとにスペースを挟んで印刷されている<ref>[http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/03.html 個人番号カード](総務省、2015年10月17日閲覧)</ref>。また、申告書類の記入枠でも4桁ごとに区切られている<ref>[https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_01.htm 平成28年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書](国税庁、2015年10月30日閲覧)</ref>。
 
個人番号の12桁のうち、左側の11桁は、住民票に記録されている[[住民票コード]]の変換により得られる番号である<ref name="8-0">マイナンバー法施行令第8条</ref>。11桁の住民票コードを個人番号中の11桁の数字に変換するための変換式は公開されていない。個人番号からその元になった住民票コードを復元することはできない<ref name="8-2" />。
 
個人番号の末尾の1桁は、[[チェックディジット|検査用数字]]であり<ref name="8-0"/>、左側の11桁に基づいて計算される。左側の11桁から検査用数字を計算する方法は公開されている<ref>「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令」(平成26年総務省令第85号)第5条</ref>。
 
各人の個人番号は、ほかの誰の個人番号とも異なる<ref name="8-2">マイナンバー法第8条第2項</ref>。結婚、転居などで個人番号が変わることはない。
 
個人番号が[[情報漏洩]]して、不正使用のおそれがある場合に限り、従前の番号を廃止し、新たな個人番号の指定を受けることができる<ref name="7-2">マイナンバー法第7条第2項</ref>。住民票コードは不正使用のおそれがある場合に限らず、本人の請求により変更できるが<ref>住民基本台帳法第30条の3</ref>、住民票コードの変更と個人番号の変更は互いに影響しない。
 
個人番号と個人の属性([[名前|氏名]]、[[住所]]、[[本籍地]]、[[性別]]、[[誕生日|生年月日]]など)との間に関係はない。よって、個人番号の解析により持ち主の属性が明らかになることはないし、住所、性別、生年月日などに基づいて個人番号が推測されることもない。この点、戸籍地、性別、生年月日等を基に構成される、中華民国における国民身分証の統一編号、大韓民国における住民登録証の[[住民登録番号]]とは異なっている。
 
== 番号の指定方法 ==
個人番号の指定を受けるために、本人による手続(申請など)は不要である。個人番号の指定と通知は市区町村長が[[住民基本台帳]]([[住民票]])の記録に基づいて職権で行う。
 
同じ個人番号を複数の人に対して指定することがあってはならない。そのため、各人に対して指定する番号の生成は、日本全国の[[都道府県]]・市区町村が共同で運営する[[地方公共団体情報システム機構]](J-LIS)が一手に引き受けている。具体的には、市区町村の端末から住民の[[住民票コード]]をJ-LISの[[コンピュータシステム]]に送信すると、J-LISの[[サーバ]]がその住民票コードに対応する番号を自動的に決定し、市区町村のコンピュータ端末に返信する<ref>マイナンバー法第8条</ref><ref>マイナンバー法施行令第7〜9条</ref><ref>「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令」(平成26年総務省令第85号)第4〜6条</ref>。市区町村は、J-LISのシステムから受信した番号を、住民の個人番号として指定し、その住民に通知する<ref name="7-1"/>。
 
よって、住民本人や市区町村の職員が、その住民の個人番号とする番号を、恣意的に選ぶことは全然出来無い。個人番号が[[情報漏洩]]して、不正に用いられるおそれがある場合は、住民本人からの請求または市区町村長の職権により、個人番号を変更することになっているが<ref name="7-2"/>、この場合も、新しい個人番号はJ-LISの[[サーバ]]が自動で決定し、住民本人や市区町村の担当者に、選択の余地は全くない。
 
住民に指定された個人番号は、住民票に記録されるとともに、「通知カード」の郵送により、本人に通知される。
 
== 番号の調べ方 ==
=== 自分の番号 ===
自分の個人番号は、次の3種類の証明書に記載されている。
* [[住民票]]がある市区町村から、既に世帯主宛に送付された「通知カード」<ref name="7-1"/>
* 本人の希望により「通知カード」と引き換えに発行された「個人番号カード」
* 個人番号入りの住民票の写し<ref>住民基本台帳法第12条第5項</ref>
 
また個人番号は、「保有個人情報開示請求制度」を利用することによっても知ることができる。
 
=== 他人の番号 ===
税([[源泉徴収]])、社会保障、災害対策に関する事務のために他人の個人番号が必要な場合は、利用目的を明示して、本人または本人以外から個人番号の提供を受けることができる<ref>マイナンバー法第14条第1項</ref>。自分と同一世帯の人の個人番号を収集することは、他人には当たらず差し支えない<ref>マイナンバー法第15条括弧書き</ref>。
 
== 番号の利用 ==
=== 利用方法 ===
[[File:National tax agency (Japan) Employ withholding.svg|thumb|right|給与所得の源泉徴収票(税務署提出用)]]
[[File:National tax agency (Japan) Marufu.svg|thumb|right|給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、通称マルフ。]]
給与所得者([[パート]]、[[アルバイト]]を含む)は、[[源泉徴収]]が行われるため、勤務先から通常個人番号の提供が求められる<ref>、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しない給与所得者の内、給与収入30万円以下の退職者の「給与支払報告書」の提出を省略する場合(地方税法317条の6第3項但書)を除く。</ref>。これは、勤務先が[[税務署]]に提出する[[源泉徴収票]]と市町村に提出する[[給与支払報告書]]に用いられる。毎年勤務先に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には、本人に加えて、一定の配偶者や扶養親族の個人番号も記載しなければならない<ref>所得税法施行規則73条1項1号。</ref>。
 
他に個人番号の提供が求められる例は、以下のようなものがある。
* [[銀行]]など[[金融機関]]での取引で、[[預金口座]]の開設時など(預貯金口座付番制度、2018年1月以降)
* 日本から[[世界]]への国際[[送金]]
* [[生命保険]]への加入・継続時
* [[証券会社]]での取引で、口座開設([[少額投資非課税制度]]や特定口座も含む)や口座を維持する場合
* [[国民健康保険]]で[[高額療養費]]支給制度の還付請求を受ける場合
* [[公費負担医療]]の受給申請をする場合
* [[障害者手帳]]の申請・更新時
* [[生活保護]]の申請
* [[介護保険]]の要介護(要支援)認定申請等
* [[公営住宅]]への入居申込み
* [[所得税]]等の[[確定申告]]をする場合([[e-Tax]]<ref>但し[[電子申請]]した場合、申告者本人の番号確認書類及び本人確認書類の提出は、[[公的個人認証サービス]]の確認により省略される。</ref>も含む)
* [[老齢年金]]の受け取り・扶養家族確認のための手続き
* 契約先から、報酬料金等([[診療報酬]]・原稿料・講演料・契約金など)を受け取る場合(年5万円超のみ)
* 個人の大家が会社等に不動産を賃貸する場合(年15万円超のみ)
* 個人が所有する不動産を会社等に売却する場合(年100万円超のみ)
 
==== マイナポータル ====
[[マイナポータル]]は、マイナンバーの[[ポータルサイト]]で、2017(平成29年)年7月18日に試用開始、2017(平成29年)年11月13日より本運用<ref>[https://myna.go.jp/ マイナポータル]</ref>が開始された。
 
マイナポータルにて利用できる内容は、以下を参照されたし。
 
* 自己情報表示。
* 利用できる行政サービスの通知。
* 税金などの支払い。
* 各種書類の受け取り。
* ログイン時点の最新情報表示。(プッシュ通知もあり)
* マイナンバーカードの受け取り時に登録したパスワードの変更。変更対象は、利用者証明用電子証明書、署名用電子証明書、券面事項入力補助用の3種類。(変更後のパスワードそのものは、個人番号カードのICチップ内には登録されない)
 
=== 本人確認の方法 ===
他人の個人番号を使って他人に[[なりすまし|なりすます]]ことを防ぐために、個人番号の持ち主本人から番号を収集する際には、顔写真付身分証明書等による「身元確認」と、通知カードまたは個人番号カード等による「番号確認」の、二つの[[本人確認]]が必要である<ref>マイナンバー法第16条</ref><ref>マイナンバー法施行令第12条</ref><ref>マイナンバー法施行規則(平成26年内閣府・総務省令第3号)第1〜17条</ref>。
 
決められた場合以外に個人番号を他人に教えたり、他人に個人番号の開示を求めたり、他人の個人番号を収集したりすることは禁じられている(番号の持ち主本人の同意があっても不可)<ref>マイナンバー法第15条・第19条・第20条</ref>。
 
=== 番号を利用できる者 ===
第9条で定める行政機関、地方公共団体、独立行政法人等のみが番号を利用できる。
* 政府機関
** [[厚生労働省]]、[[国税庁]]
* [[地方公共団体]]
** [[役所]]・役場
* 社会保険関連
** [[全国健康保険協会]]、[[国民健康保険組合]]
** [[日本年金機構]]<ref> {{Cite press|publisher=日本年金機構 |title= 日本年金機構におけるマイナンバーへの対応 |date=2017-02-09 |url= https://www.nenkin.go.jp/mynumber/kikoumynumber/1224.html }}</ref>
** [[確定給付企業年金法]]に規定する事業主等、[[企業年金連合会]]
** [[農林漁業団体職員共済組合]]、[[農業者年金基金]]
** [[国家公務員共済組合]]、[[国家公務員共済組合連合会]]、[[地方公務員共済組合]]、[[全国市町村職員共済組合連合会]]、[[日本私立学校振興・共済事業団]]、[[石炭鉱業年金基金]]、[[地方公務員災害補償基金]]、[[国民年金基金連合会]]
* その他の[[独立行政法人]]など
** [[日本スポーツ振興センター]]、[[福祉医療機構]]、[[医薬品医療機器総合機構]]、[[日本学生支援機構]]、[[預金保険機構]]
{{節stub}}
 
=== 効果 ===
[[日本国政府]]は、個人番号(社会保障・税番号制度)を導入すると次の効果があると説明している<ref>内閣官房社会保障改革担当室・内閣府大臣官房番号制度担当室『[http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/h2611_gaiyou_siryou.pdf マイナンバー 社会保障・税番号制度 概要資料(平成26年11月版)]』(2014年11月)</ref>。
* 「より正確な所得把握が可能となり、社会保障や税の給付と負担の公平化が図られる」
* 「社会保障や税に係る各種行政事務の効率化が図られる」
* 「ITを活用することにより添付書類が不要となる等、国民の利便性が向上する」
 
== 通知カードと個人番号カード ==
{| class="wikitable floatright" style="margin-left:2em; font-size:85%"
|+通知カードと個人番号カードの比較
!colspan="2"|&nbsp;!!通知カード!![[個人番号カード]]
|-
!colspan="2"|保有者
|個人番号カードの<br>保有者以外||希望者
|-
!colspan="2"|交付方法
|[[住民票]]上の住所へ郵送||窓口で[[本人確認]]・手交
|-
!colspan="2"|発行手数料
|無料||無料<ref name="nikkei">「[http://www.nikkei.com/money/features/69.aspx?g=DGXLASDF07H0N_07012015EE8000 個人番号カードを無料に マイナンバー制度、普及促す]」(日経電子版、2015年1月8日)</ref>
|-
!colspan="2"|有効期限
|なし||あり
|-
!colspan="2"|ICチップ
|なし||あり
|-
!rowspan="11"|記録<br>される<br>情報!!氏名
|rowspan="6"|券面のみ||rowspan="8"|券面・ICの両方
|-
![[通名|外国人の通名]]
|-
!住所
|-
!生年月日
|-
!性別
|-
!個人番号
|-
!カードの有効期限
|rowspan="4"|なし
|-
!顔写真
|-
![[住民票コード]]
|rowspan="2"|ICのみ
|-
![[公的個人認証サービス|公的個人認証]]の証明書
|-
![[点字]]
|[[SPコード]]
|券面(希望者のみ)
|}
=== 通知カード ===
市区町村から[[住民]]への個人番号の通知は、'''通知カード'''の送付によって行われる<ref name="7-1"/><ref>マイナンバー法施行令第2条第2項</ref>。新生児から老人まで、1人1枚ずつこの紙カードを保有することになるが、「個人番号カード」の交付を受ける際に、通知カードは市区町村に返納しなければならない。
 
通知カードは、[[運転免許証]]、[[キャッシュカード]]などと同じ大きさの紙で<ref name="somu9">「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令」(平成26年総務省令第85号)第9条</ref><ref>[http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/02.html 通知カード](総務省、2015年9月24日閲覧)</ref>、偽造防止のため、[[国立印刷局]]が印刷した[[透かし]]が入る<ref>「通知カード及び個人番号カードに関する技術的基準」(平成27年総務省告示第314号)(平成27年9月18日官報号外第214号p. 76-81)の第2の1(1)</ref>。通知カードを偽造すると、[[すき入紙製造取締法]]違反で罰せられる。
 
通知カードのオモテ面には個人番号、氏名、住所、性別、生年月日などが印刷される<ref name="somu9" />。通知カードには、持ち主の証明写真や[[住民票コード]]は掲載されないし、ICチップは入らない。後述の「個人番号カード」とは異なり、通知カードにあらかじめ決められた有効期限はない。また、個人番号カードとは異なり、身分証明書としての利用は出来ない。
 
[[婚姻届]]・[[転居届]]などで、氏名・住所などが変わったときは、市区町村に通知カードを提出して、書き換えをしてもらわなければならない<ref>マイナンバー法第7条第4項・第5項</ref>。通知カードの裏面は追記欄となっていて、氏名、住所などに変更があったことが書き込まれる。追記欄に書き込めなくなったら、新しい通知カードに交換される<ref>「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令」(平成26年総務省令第85号)第11条第1項</ref>。
 
しかし通知カードを、[[住民票]]に記載されている住所に、[[日本郵便]]の[[書留郵便|簡易書留]]で発送をしたものの、尋ね所無しや受取人が引き取らなかったりで、通知カードが役所に返送される事態が起きており、発送した市区町村では通知カードの保管場所に苦慮している<ref>{{Cite news | url = http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201601/CK2016012702000118.html | title = マイナンバー通知“返送の山” 新宿区は平均の倍以上24% | newspaper = [[東京新聞]] | date = 2016-01-27 | accessdate = 2016-12-09 }}</ref>。
 
[[総務省]]が、通知カードの保管期限を明確にしていないため、平成28年10月時点で約170万通が差出人に届かず、保管場所が無いなどの理由により、通知カードを破棄する[[地方公共団体]]も出てきている<ref>{{Cite news | url = http://www.yomiuri.co.jp/national/20161128-OYT1T50045.html | title = 未達通知カード、保管期限は?…廃棄の自治体も | newspaper = [[読売新聞]] | date = 2016-11-28 | accessdate = 2016-12-09 }}</ref>。
 
=== 個人番号カード ===
[[File:Kojinbango card ura.jpg|thumb|right|[[個人番号カード]](裏)]]
{{Main|個人番号カード}}
'''個人番号カード'''は、希望する住民に対して、「通知カード」と引き換えに作成されるカードである(再発行以外、当面無料)。顔写真入りの[[住民基本台帳カード]]の後継で、[[身分証明書]]として使うことができる。'''マイナンバーカード'''ともいう。
 
個人番号カードは運転免許証、キャッシュカードなどと同じ大きさのプラスチックカードである([[ISO/IEC 7810]] ID-1規格)<ref>「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令」(平成26年総務省令第85号)第25条</ref>。個人番号カードのオモテ面には、氏名、住所、生年月日、性別、カードの有効期限などが印刷され、本人の顔写真が掲載される。裏面には、個人番号、氏名、生年月日が印刷される。
 
個人番号カードは[[ICカード]]であり、カードに埋め込まれたICチップには、券面記載事項のほか、[[住民票コード]]が記録される<ref>マイナンバー法第2条第7項</ref><ref>「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令」(平成26年総務省令第85号)第17条</ref>。住民基本台帳カードと同様、ICチップに[[公的個人認証サービス]]の電子証明書が記録できる<ref>「電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律」第3条第4項・第22条第4項</ref>。ICチップの記録の読み出しのために、4桁の暗証番号が設定される<ref>「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令」(平成26年総務省令第85号)第33条第1項</ref>。
 
個人番号カードには有効期限がある<ref>マイナンバー法第17条第6項</ref>。20歳以上の日本国民の場合、発行後10回目の誕生日までが有効期間である<ref>「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令」(平成26年総務省令第85号)第26条</ref>。
 
== 歴史 ==
日本において、[[日本国政府]]が国民に付けた番号を、行政の様々な分野で利用しようという議論は、過去に何度もあった。しかし、税務分野で利用できる番号は、長年実現しなかった。
 
=== 戦後 ===
1970年(昭和45年)、政府は「各省庁統一コード研究連絡会議」を設置し、「省庁統一個人コード」の研究を開始した<ref name="iwata">[http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/issue/0475.pdf 納税者番号制度の導入と金融所得課税](岩田洋子、国立国会図書館『調査と情報』第475号、2005年)</ref>。当時、1971年(昭和46年)末までに全国民に「省庁統一個人コード」を付与することを計画したが、議論は立ち消えとなった<ref name="iwata" />。議論のスタートは、[[手形交換所#手形交換制度|世界の銀行間決済を一気にオンライン化]]するプロジェクトに並行していた。
 
[[第1次大平内閣]]の[[政府税制調査会]]([[小倉武一]]会長)が1978年(昭和53年)12月に提出した答申では、[[少額貯蓄非課税制度]]に関連し「利子・配当所得の適正な把握のため、いわゆる納税者番号制度の導入を検討すべきである」という意見を紹介しつつ、結論は出さなかった<ref>税制調査会「昭和54年度の税制改正に関する答申」(日本租税研究協会[http://www.soken.or.jp/p_document/zeiseichousa_toushinshu.html 税制調査会答申集])</ref>。また、翌年の答申では「現時点においては、納税者番号制度を導入するために十分な環境整備が行われているとは言い難い」という認識が示された<ref>税制調査会「昭和55年度の税制改正に関する答申」(日本租税研究協会[http://www.soken.or.jp/p_document/zeiseichousa_toushinshu.html 税制調査会答申集])</ref>。
 
1988年(昭和63年)2月、政府税制調査会に「納税者番号等検討小委員会」が設置され、この小委員会は同年12月に報告書を公表した<ref>税制調査会「平成元年度の税制改正に関する答申」(日本租税研究協会[http://www.soken.or.jp/p_document/zeiseichousa_toushinshu.html 税制調査会答申集])</ref>。また1989年(平成元年)2月には、関係14省庁の担当者からなる「税務等行政分野における共通番号制度に関する関係省庁連絡検討会議」が発足した。1994年(平成6年)には[[自治省]]が「住民記録システムのネットワークの構築に関する研究会」を設置した<ref name="iwata" />。この研究会では、住民票コードの納税者番号制度への利用についての検討も行われた<ref name="iwata" />。
 
=== 平成以後 ===
1997年(平成9年)1月、[[厚生省]]は10桁の[[基礎年金番号]]を導入した。
 
1999年(平成11年)、[[小渕内閣 (第1次改造)|小渕内閣]]が[[第145回国会]]に提出した[[住民基本台帳法]]の改正案が成立した<ref>住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成11年法律第133号)</ref>。この改正法の施行により、2002年(平成14年)8月から、[[住民基本台帳ネットワークシステム]]が稼働し、住民票に11桁の[[住民票コード]]が付けられた。
 
2009年(平成21年)6月に[[麻生内閣]]が決定した「経済財政改革の基本方針 2009」には「[[社会保障カード|社会保障番号・カード]](仮称)を[[2011年]](平成23年)度中を目途に導入する」ことが明記された<ref>[http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/cabinet/2009/index.html 諮問会議とりまとめ資料等 平成21年](経済財政諮問会議、2015年10月20日閲覧)</ref>。しかし、麻生内閣はこれを実現しないまま[[衆議院解散|衆議院を解散]]した。
 
[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]]は、2009年(平成21年)夏の[[第45回衆議院議員総選挙]]で勝利を収め、政権の座に就いた。同党が掲げた選挙公約の一つが「所得の把握を確実に行うために、税と社会保障制度共通の番号制度を導入する」であった<ref>[https://www.dpj.or.jp/manifesto/manifesto2009 民主党の政権政策Manifesto2009](2015年10月20日閲覧)</ref>。番号制度は、民主党と関係の深い[[日本労働組合総連合会]](連合)が最重要課題に位置付けていたものであった<ref name="rengo">[http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/danwa/2013/20130527_1369641735.html 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の成立に対する談話](2013年5月27日、日本労働組合総連合会事務局長南雲弘行)</ref>。
 
政府・与党内の検討を経て、2012年(平成24年)、[[野田内閣 (第1次改造)|野田内閣]]が番号制度関連3法案を[[第180回国会]]に提出した<ref name="keii">[http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/seiritsukeii.pdf マイナンバー法成立までの経緯](2015年10月21日閲覧)</ref>。しかし、この法案は同年の[[近いうち解散]]により廃案となった<ref name="keii" />。
 
=== 法案成立 ===
同年の[[第46回衆議院議員総選挙]]後に誕生した[[第2次安倍内閣]]は、2013年(平成25年)、番号制度関連4法案を[[第183回国会]]に提出した。内容は、野田内閣が提出した法案を手直ししたものであった。この法案は、衆議院による修正を経て、[[自由民主党 (日本)|自由民主党]]、[[公明党]]の与党のほか、野党のうち民主党、[[日本維新の会 (2012-2014)|日本維新の会]]、[[みんなの党]]などの賛成により成立した([[日本共産党]]、[[生活の党]]、[[社会民主党 (日本 1996-)|社会民主党]]などは反対)<ref>[http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_iinkai.nsf/html/gianrireki/183_183_kakuho_3.htm 法律案等審査経過概要](衆議院)</ref><ref>[http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/183/183-0524-v005.htm 本会議投票結果](参議院)</ref>。
 
番号制度関連法の成立を受けて、連合は事務局長名で「連合結成以来の最重要課題として力を入れて取り組んできた番号制度が今国会で導入されるに至ったことを高く評価する」と表明した<ref name="rengo" />。[[経済同友会]]([[長谷川閑史]]代表幹事)は「マイナンバー関連法案が参議院にて可決、成立したことを歓迎する」と表明した<ref>[http://www.doyukai.or.jp/chairmansmsg/comment/2013/130524a.html マイナンバー関連法案の成立について](2013年5月24日、公益社団法人経済同友会代表幹事長谷川閑史)</ref>。また、[[日本経済団体連合会]](経団連)も番号制度の早期実現を求めていた立場であった<ref>[https://www.keidanren.or.jp/policy/2010/105.html 豊かな国民生活の基盤としての番号制度の早期実現を求める](2010年11月16日、日本経済団体連合会)</ref>。
 
一方、[[日本弁護士連合会]]([[山岸憲司]]会長)は「本法案には、日本社会の今後のあり方や財政に重大な影響を与える問題があるにもかかわらず、十分な審議に基づく抜本的な見直しを行うことなく、国会が拙速に本法案を成立させたことは極めて問題であり、強く抗議する」という会長声明を出した<ref>[http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/130524.html 「共通番号」法案成立に対する会長声明](2013年5月24日、日本弁護士連合会会長山岸憲司)</ref>。
 
=== 運用開始 ===
[[2015年]](平成27年)[[10月5日]]に、日本国内の全住民に対する個人番号の指定が始まった。[[2016年]](平成28年)1月からは、行政手続における個人番号の利用が開始された。2016年(平成28年)1月時点では、個人番号の利用範囲は、法律で税、社会保障、災害対策の3分野のうちの、特定の範囲に限定されている<ref>マイナンバー法第9条</ref>。ただし、近い将来に3分野以外でも個人番号の利用が開始されることが確定している<ref>「個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律」(平成27年法律第65号)第7条により、金融機関の破綻時の[[ペイオフ (預金保護)|ペイオフ]]のための[[名寄せ]]に個人番号が利用できるようになる。</ref>。
 
== 出典 ==
{{Reflist|2}}
 
== 関連項目 ==
* [[個人番号カード]]
* [[法人番号]]
* [[企業コード]]
* [[会社法人等番号]]
* [[登記]]
* [[日本の福祉]] / [[日本の年金]]
* [[内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度担当)]]
 
== 外部リンク ==