「多重国籍」の版間の差分

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== 概要 ==
多重国籍の場合、複数の国家から[[国民]]としての義務([[兵役]]など)の履行を要求されたり、いずれの国家の[[外交的保護]]を認めるかという点で紛糾を生じる場合がある。このような不都合を避けるために[[1930年]]に「国籍の抵触についてのある種の問題に関する条約<ref name="oyam"/>」(「二重国籍のある場合における軍事的義務に関する議定書」・「無国籍のある場合における議定書」・「無国籍に関する特別議定書」(未発効)<ref>{{Cite web |author=ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 |url=https://kotobank.jp/word/国籍法の抵触に関する条約 |title=国籍法の抵触に関する条約 |accessdate=2017-09-12 |publisher=コトバンク}}</ref>)が締結されているが、当事国は20か国にとどまっており、日本は署名したが結局批准や加入に至らなかった。この国籍抵触条約では、前文で「すべての人が国籍を持ち、各人が持つ国籍は1つのみであるべき」(「国籍単一の原則」または「国籍唯一の原則」<ref name="oyam">{{Cite journal |和書 |author=大山尚(参議院第三特別室) |date=2009-08-01 |title=重国籍と国籍唯一の原則 |journal=[[立法と調査]] |issue=295 |publisher=参議院事務局企画調整室 |url=http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2009pdf/20090801103.pdf |format=PDF |accessdate=2013-02-11 |archiveurl=http://megalodon.jp/2013-0211-2122-02/www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2009pdf/20090801103.pdf |archivedate=2013-02-11}}</ref>)であり、「無国籍と二重国籍の廃止」が「理想」で「国際社会の一般的利益である」としている。しかしながら、現代では、重国籍を認める国も多いことから「国籍唯一の原則」は絶対的な理想ではなく、現実的にも国際的趨勢ではないとの見方もある<ref name="oyam" /><ref name="Spiro">{{cite journal |last=Spiro |first=Peter J. |last2= |first2= |date=2010-01-01 |title=Dual citizenship as human right |url= https://doi.org/10.1093/icon/mop035 |journal=International Journal of Constitutional Law |publisher=Oxford University Press|volume=8 |issue=1 |pages=111-130 |doi=10.1093/icon/mop035 |accessdate=2018-12-10 }}</ref><ref name="reference">{{Cite journal |和書 |author=岡村美保子 |date=2003-11 |title=重国籍 : 我が国の法制と各国の動向 |journal=レファレンス |issue=634 |id={{NDLJP|999969}} |publisher=国立国会図書館 |accessdate=2017-08-14}}</ref>。他方、「国籍自由の原則」という考えもあるが、これは国籍の変更の自由などを意味し、多重国籍の自由を意味しない<ref name="oyam"/>。(後述「国籍取得における[[血統主義]]・[[出生地主義]]」)。
 
多重国籍の利点は、国籍を保有する国における生活の利便などがあるが、他方、短所としては、[[主権在民]]の観点から複数の国の[[主権]]者としてふるまうことの矛盾があげられる<ref name="oyam"/>。たとえば、韓国は兵役の義務を国民に課しているが、日本と韓国の多重国籍である国民がいる場合などは、韓国は日本での居住者には兵役の義務を免除する法律があるため、そのような矛盾は発生しないとされる<ref name="oyam"/>。このほか、[[犯罪]]人の引渡し、[[重婚]]などがあげられている<ref name="oyam"/>。
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=== アメリカ合衆国の実情 ===
アメリカ合衆国では多重国籍者の存在を認めてはいるものの、積極的には容認していない。[[アメリカ合衆国国務省]]も公式に多重国籍は租税回避やテロ対策のために推奨しないとしている。出生時に自動的に他国の国籍を得た場合は、アメリカ国籍に影響を与えないが、アメリカ人は米国籍を放棄する意志を持って、自らアメリカ以外の国籍を得た場合は、米国移民国籍法によってアメリカ国籍を失う可能性がある<ref name="US_EMBASSY">{{Cite web |date= |url=https://jp.usembassy.gov/ja/u-s-citizen-services-ja/citizenship-services-ja/dual-nationality-ja/|title=アメリカ市民サービス > 二重国籍 |publisher=在日アメリカ大使館 |accessdate=2014-8-23}}</ref><ref>{{Cite web |date= |url=https://travel.state.gov/content/travel/en/legal-considerations/us-citizenship-laws-policies/citizenship-and-dual-nationality/dual-nationality.html/|title=Dual Nationality |publisher=US Department of Stat|accessdate=2017-07-30}}</ref>。米政府が多重国籍を公式に支持しない理由は、アメリカ国民が国民に義務を要求する場合に、他方の国の法律と反するような状況に陥ったり、また二重国籍者が他方の国で問題となった場合、米政府が自国民として保護することが制限される場合があるためとしている<ref name="US_EMBASSY" />。更に新たにアメリカ合衆国市民となる移民はアメリカ合衆国に対して忠誠を誓う宣誓を宣誓式で行うこと、以前保持したすべての外国への忠誠の放棄・法律が定めた場合の兵役従事・内外の敵と戦う国防などの誓いが必要とされる([[:en:Oath of Allegiance|忠誠の誓い]])<ref name=uscis_chapter5>{{Cite web |url=https://www.uscis.gov/sites/default/files/files/article/chapter5.pdf |title=What Should I Expect From the Naturalization Process? |accessdate=2017-09-10 |format=PDF |publisher=アメリカ合衆国市民権・移民局(USCIS)}}</ref>。二重国籍者はCIAや国務省での機密を扱う職への応募資格を失うことがある<ref>{{Cite web |author=The Times Editorial Board||date=2014-12-26 |url=http://www.latimes.com/opinion/editorials/la-ed-dual-citizenship-20141228-story.html |title=The problem of dual citizenship |publisher=Los Angeles Times|accessdate=2017-07-30}}</ref>。[[1967年]]の[[連邦最高裁]]では、重国籍の権利が憲法修正第14条の範囲でのみ認められているとする判例が出ている<ref name="reference">{{Cite journal |和書 |author=岡村美保子 |date=2003-11 |title=重国籍 : 我が国の法制と各国の動向 |journal=レファレンス |issue=634 |id={{NDLJP|999969}} |publisher=国立国会図書館 |accessdate=2017-08-14}}</ref>。
 
=== 欧州の実情 ===