「国鉄EH10形電気機関車」の版間の差分

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従来の国鉄電気機関車は、鋼板部材の組み立てないし一体[[鋳鋼]]によって構成された「台車枠」を全ての基礎としていた。台車枠の両端には[[先輪]]が結合され、走行時の牽引力は台車枠の端に装備された[[連結器]]から直接[[客車]]・貨車に伝えられた。大きさは異なるが、端的に言えば蒸気機関車の台枠と同一の構造である。2台の台車は強固に連結されており、牽引力は台車同士においても直接伝えられる構造であった。他方車体は[[台枠]]を備えるものの自らの強度を保つ機能しかなく、機器類を覆って台車枠の上に載っているだけの存在だった。
 
本形式はこのような伝統的な構造から完全に脱却した構造である。台車は電車のような鋳鋼製2軸[[ボギー台車]]であり、牽引力は[[鉄道車両の台車|台車]]から車体の台枠を経て[[連結器]]に伝えられるスイベル式を採用。在来型の大型電気機関車では長大な台車構造から曲線のスムーズな通過のために先輪が必須とされていたが、ボギー台車のEH10形は先輪を要さなかった。
 
日本の電気機関車史を見渡しても有数の超重量級の機関車ではあるが、台車枠を基礎とする構造と先輪の両方を廃したことから、出力の向上に比して大幅な軽量化が図られている。運転整備重量は118.4tとなり、一方の最大[[活荷重#列車荷重(鉄道)|軸重]]は14.8tとなっている(量産機は運転整備重量116.0t、最大軸重14.5t)。在来型機関車と違って先輪がないため全軸駆動となり、重量の全てを[[粘着式鉄道#粘着現象|粘着力]]確保に生かせるようになったために牽引力が向上した。とはいえ、これだけ車体重量が重くなると、[[ローカル線]]はもとより大半の地方[[幹線]]でも転用は不可能である。逆にいえば、東海道本線での運用に特化させることで割り切った機関車であったからこそ、ここまで思い切った設計にできたともいえる。