「ロンドン分散力」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2011年6月}}
[[File:Argon dimer potential.png|thumb|right|280px|[[アルゴン]][[二量体]]の相互作用エネルギー。長距離部分の記述がロンドン分散力に起因する。]]
'''ロンドン分散力'''(ロンドンぶんさんりょく、{{lang-en|London dispersion force}})は、[[極性分子]]などが恒常的に持つ[[電荷]]や[[多極子]]ではなく、[[分子]]や[[原子]]などに[[量子論]]的に生じる一時的な[[電気双極子]]間の引力によって生じる弱い[[分子間力]]である。[[フリッツ・ロンドン]]により示された。<ref>F. London, "The general theory of molecular forces", Trans. Faraday. Soc. Vol.33(1937), p.p. 8&ndash;26 {{doi|10.1039/TF937330008b}}</ref>単に'''分散力'''、'''ロンドン力'''と呼ばれたり、'''瞬間双極子-誘起双極子相互作用'''とも呼ばれる。また、[[ファンデルワールス力]]も狭義にはロンドン分散力を指す。
 
量子論的には電子は分子中を確率論的に分布する。したがって無極性分子中であっても、電子が一様に分布しない確率は十分に存在する。電子分布が一様でない時には、分子には一時的な多極子が生じる。この多極子が近くにあるほかの一時的な多極子と相互作用する。このようにして無極性分子にロンドン力が生じる。ロンドン力は極性分子にも存在するが、極性分子のもつ永久双極子の相互作用などの方が全相互作用に占める割合が大きくなるので、ロンドン力は重要ではなくなる。相互作用の大きさについては、[[分子間力]]を参照。
 
分子中の[[電子密度]]は他の多極子の影響を受けてさらに再分布する。たとえば、正電荷の近傍に電子は集まり、負電荷からは退く。従って、分子に一時的に生じる多極子は、近くの極性分子や別の無極性分子に生じた一時的な多極子により誘起される。一般的には前者は[[ファンデルワールス力|励起双極子]]といい、ロンドン力とは区別される。
 
ロンドン力は、[[ヘリウム]]などの[[中性]]原子間で長距離に働く唯一の引力であり、[[窒素]]や[[メタン]]などの無極性分子間(分子内の原子間ではない)に働く主要な引力項である。ロンドン力が存在しなければ、[[希ガス]]間に働く引力はなくなるため、液体ヘリウムのような液体を得ることはできないことになる。分子間の万有引力(重力相互作用)は非常に小さいため、分子の物理的・化学的性質には影響せず、液体ヘリウム等を得るのには不十分である。
 
ロンドン力は、問題とする原子または分子が大きくなるに従って強くなる。これは、電子の分布がより一様でなくなる確率が高くなるからである。たとえば、[[ハロゲン]]分子間のロンドン力は、小さいほうから順に[[フッ素]](F<sub>2</sub>)、[[塩素]](Cl<sub>2</sub>)、[[臭素]](Br<sub>2</sub>)、[[ヨウ素]](I<sub>2</sub>)である。これはフッ素、塩素が室温で気体であるのに対し、臭素は液体、ヨウ素は固体であることとも対応している。ロンドン力はまた、分子の表面積が大きくなると強くなり、したがって分子間距離が近くなる。
 
== 参考文献 ==
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