「国務大臣」の版間の差分

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内閣総理大臣は[[国会 (日本)|国会]]の議決により指名され([[内閣総理大臣指名選挙]]、[[日本国憲法第67条]]第1項)、その国会の指名に基づいて[[天皇]]によって任命される(日本国憲法第6条第1項。[[親任式]]が行われる)。内閣総理大臣は[[文民]]でなければならない([[日本国憲法第66条]]第2項)。
 
内閣総理大臣の任命について定める日本国憲法第6条には[[日本国憲法第7条]]とは異なり「内閣の助言と承認」の文言がないが、内閣総理大臣の任命は[[日本国憲法第4条]]の「この憲法の定める国事に関する行為」に含まれるため[[日本国憲法第3条]]の効果として内閣の助言と承認を要する<ref name="satou-(1)-69-70">佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、69-70頁</ref><ref name="higuchi-nakamura-satou-urabe-(1)-96">[[樋口陽一]][[中村睦男]][[佐藤幸治]][[浦部法穂]]著 『注解法律学全集3 憲法Ⅰ(前文・第1条~第20条)』 [[青林書院]]、1994年、96頁</ref>。先例では内閣総理大臣の任命については[[日本国憲法第71条]]の規定により従前の内閣が助言と承認を行うことになっている<ref name="satou-(1)-69-70"/><ref name="higuchi-nakamura-satou-urabe-(1)-96"/>。この内閣総理大臣の任命によって従前の内閣はその地位を完全に失うことになる(日本国憲法第71条)<ref name="higuchi-nakamura-satou-urabe-(3)-229">樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法Ⅲ(第41条~第75条)』 青林書院、1998年、229頁</ref>。内閣総理大臣の任命においては[[衆議院議長]]と[[参議院議長]]の列席の下で'''任命式'''が行われる<ref name="satou-(1)-70">佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、70頁</ref>(実際の例では内閣総理大臣を任命する儀式として'''親任式'''が行われる<ref>[http://www.kunaicho.go.jp/about/gokomu/kyuchu/others/shinninshiki.html 親任式]  [[宮内庁]]</ref>
 
内閣総理大臣以外の国務大臣は内閣総理大臣により任命され(日本国憲法第68条第1項本文)、[[天皇]]によって認証される(日本国憲法第7条第5号)。「認証」は対象となる行為が権限ある機関によって正当な手続を経て行われた事実を確認し公証する行為である<ref name="abe-34">[[阿部照哉]]著 『青林教科書シリーズ 憲法 改訂』 青林書院、1991年、34頁</ref><ref name="satou-(1)-91">佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、91頁</ref><ref name="higuchi-nakamura-satou-urabe-(1)-119">樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法Ⅰ(前文・第1条~第20条)』 青林書院、1994年、119頁</ref>。認証には内閣の助言と承認を要するが(日本国憲法第7条第5号)、新内閣の成立時においては、性質上、それは新たに任命された内閣総理大臣のみによって行われることになる<ref name="satou-(1)-56">佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、56頁</ref>。国務大臣の認証においては'''認証式'''が行われる<ref name="satou-(1)-88">佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、88頁</ref>(実際の例では天皇の認証を必要とする国務大臣などの[[認証官]]の任命式については'''認証官任命式'''という形で行われ<ref>[http://www.kunaicho.go.jp/about/gokomu/kyuchu/ninshokan/ninshokan.html 認証官任命式] [[ 宮内庁]]</ref>
、内閣総理大臣による任命において天皇が辞令に親署するという形式で認証が行われる<ref name="abe-34"/><ref name="higuchi-nakamura-satou-urabe-(1)-96">樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法Ⅰ(前文・第1条~第20条)』 青林書院、1994年、96頁</ref>)。
 
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国務大臣の過半数は[[日本の国会議員|国会議員]]にて構成しなければならない(日本国憲法第68条但書)。内閣の構成上の要件とされる<ref name="satou-(2)-839">佐藤功著 『新版 憲法(下)』 有斐閣、1984年、839頁</ref>。ここでいう「過半数」は国務大臣の定数の過半数ではなく現在する国務大臣の過半数を意味する<ref name="higuchi-nakamura-satou-urabe-(3)-217">樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法Ⅲ(第41条~第75条)』 青林書院、1998年、217頁</ref>。内閣を構成する国務大臣の過半数が国会議員であれば足り、国務大臣が国会議員の地位を失っても当然に国務大臣の地位を失うわけではない<ref name="higuchi-nakamura-satou-urabe-(3)-218">樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法Ⅲ(第41条~第75条)』 青林書院、1998年、218頁</ref>(ただし、内閣総理大臣は国会議員であることを在職要件とする)。
 
[[内閣総理大臣臨時代理]]に憲法68条の国務大臣の任命権が認められるか否かについて学説は肯定説と否定説に分かれているが、政府見解は憲法68条の国務大臣の任命権は内閣総理大臣の一身専属の権利であるとする<ref name="satou-(2)-859-860">佐藤功著 『新版 憲法(下)』 有斐閣、1984年、859-860頁</ref><ref name="higuchi-nakamura-satou-urabe-(3)-215-216">樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法Ⅲ(第41条~第75条)』 青林書院、1998年、215-216頁</ref>。先例としては[[石橋内閣]]において[[石橋湛山]]総理が病気のために[[岸信介]][[外務大臣 (日本)|外務大臣]]が内閣総理大臣臨時代理となったが、1957年(昭和32年)2月2日の[[小滝彬]][[防衛大臣|防衛庁長官]]の任命は石橋総理が自ら行っている(認証式や両院への通告は岸臨時代理が行っている)<ref name="satou-(2)-859-860"/><ref name="higuchi-nakamura-satou-urabe-(3)-216-217">樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法Ⅲ(第41条~第75条)』 青林書院、1998年、216-217頁</ref>。
 
外交上の敬称としては交渉国との間で主に大臣閣下という敬称と本官に相当する本大臣という自称で呼び合うこととなっている。また、内閣総理大臣・国務大臣等は[[自衛隊]]を公式に訪問し又は視察する場合その他[[防衛大臣]]の定める場合において[[栄誉礼]]を受ける栄誉礼受礼資格者に定められている([[自衛隊法]]施行規則13条)。
 
なお、国会議員でペンネーム(タレント時代などの芸名や、判り易く一部をひらがなにする)等にしてある場合、国務大臣に任命される際には[[戸籍]]に登録されている本名で任命を受け、連署・署名など国務大臣として行う場合は本名でなくてはならない。