削除された内容 追加された内容
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集
18行目:
逃げの戦法をとるのは、他の馬より前に出ようとする闘争心の強い馬<ref name="池田2010-58"/>や、気が弱く馬群の中でレースをするのを嫌う馬<ref name="池田2010-59"/>である。前者はよほど早いペースで走らない限り堅実な走りを見せる<ref>[[#池田2010|池田2010]]、58-59頁。</ref>が、後者は他の馬に追いつかれた途端に気力をなくしてしまうことが多い<ref name="池田2010-59"/>。また、気の弱い逃げ馬はペースの緩急をつけるのが苦手で単調なペースで走ることが多い<ref name="池田2010-59"/>。気性が荒いと騎手の制御に従わずに逃げるケースもあり、このタイプは走るペースが早くなりがちである<ref name="池田2010-59"/>。
 
基本的に周囲に他競技対象がいないため、最短最良の走路を走ることが出来るメリットがある反面、他の競技対象から目標にされやすい。また、空気抵抗を他の馬より受けるというデメリットがある。[[競馬]]においては、専門用語で先頭の事を「ハナ」、先頭に立つことを「ハナをきる・ハナに立つ」などという。勝つときは一度も他の競技対象に先頭を譲らないため「逃げて勝つのが一番強い」と言われている。一方で[[人気]]薄の競技対象が勝利を挙げるときもこのパターンが多い。この場合は警戒されにくいためマイペース<ref>終盤までスタミナを保てるようなスローペースなど、ペース配分が馬に適していたり、作戦どおりに運ぶことのできたレースについて総括する場合に用いられる。</ref>で競走することが可能だからである。なお、競技対象のひとつが単独で逃げることを'''単騎逃げ'''といい、一般的にこの状態が逃げ戦法の理想とされる。複数の競技対象が逃げを行った結果、先頭を奪い合う状態のことを「逃げ競り合い」や「ハナの競り合い」などと表現される。この場合、競走のペースが極めて速くなることが多く、その結果競り合いをした競技対象同士が、後半までにスタミナを消耗して大敗することも多い。反面、第34回[[エリザベス女王杯]]で人気薄2頭で逃げた[[クィーンスプマンテ]]と[[テイエムプリキュア]]は平均的なペースで逃げを図ったが後続を大きく引き離すことに成功し、[[ブエナビスタ]]の追い込みを退けワンツーフィニッシュを決めているという例も僅かながら存在する。逃げ戦法には、ゲート出の上手さ<ref>但し、全ての馬がスタートが得意ということはなく、[[プリテイキャスト]]の様にスタートが下手な逃げ馬もいる。</ref>、直後のダッシュのスピード<ref>競馬用語で「テンの速さ」という</ref>、レース前半からある程度のスピードで走り続けるスタミナなどが必要とされる。
 
逃げ戦法を用いて先頭を譲らず、そのまま先頭でゴールする<ref>最後の直線で再加速する事を、競馬においては「二の脚を使う」と言う。</ref>ことを「逃げ切り」という。ただし、競走中に一度先頭を奪われた競技対象が、再び先頭を奪い返して勝利する場合もあるが、これは逃げ戦法を用いた競技対象であっても逃げ切りとは呼ばず「(逃げ)差し返し」のが一般的である。反対に、逃げ戦法を用いたがスタミナ配分が上手くいかず、競走終盤に満足なラストスパートができずに敗北することを「逃げ潰れ(つぶれ)」などといわれる。また、逃げた馬とその直後につけた馬がそのまま1・2着でゴールインすることを「行った行った」という。基本的に、ミドル~スローペースのほうが、後半のラストスパートに備えてスタミナを温存できる為有利といわれ、このような走り方を「溜め逃げ」という。ただし、逃げ馬の中には、やや速めのペースで逃げて、自らを追走する後続馬のスタミナを浪費させてそのまま粘りこむ戦法を得意とする競走馬もおり、[[アイネスフウジン]]、[[ミホノブルボン]]、[[ダイワスカーレット]]、[[キタサンブラック]]などが当てはまる。
31行目:
大逃げを多用した代表的な競走馬に[[サイレンススズカ]]・[[セイウンスカイ]]・[[ツインターボ (競走馬)|ツインターボ]]・[[メジロパーマー]]・[[エイシンワシントン]]・[[アドマイヤメイン]]等がいる。日本の競馬では、一昔前には[[グレード制|GI]]などの大レースにおいて大逃げをする競走馬がいた。このような大逃げは実力的に大きく劣る競走馬が、「せめて[[テレビ]]中継によく映るように」という[[馬主]]の要望によって行われることが多く、そのような競走馬は'''テレビ馬'''と呼ばれていた。但し、現在は出走頭数制限<ref>現在は最大18頭に制限されているが、昔は最大33頭立てでダービーが行われた事もある。</ref>とレース体系が整備されているためその様な馬は殆ど存在しない。
 
もっとも、『勝つための戦術』としての大逃げは無くなった訳では無い。競馬の格言で「人気薄の逃げ馬は買い」と言われるように、後続集団で有力馬が互いに牽制し合い、ゴール前の直線でスパートをかけるも逃げた馬を捕らえ切れなかったということで波乱をまねく結果が少なからず発生している。代表例として、前述のプリテイキャストやクィーンスプマンテ、第129回天皇賞の[[イングランディーレ]](単勝配当7100円)や、第34回エリザベス女王杯の[[など。クィーンスプマンテ]](単勝配当7710円)、それに付いていく形で2着に粘っ[[テイエムプリキュア]]など。他にも、重馬場のときにあえて前半に突き放し終盤に重馬場のため後方待機の馬が届かないことを見越して逃げるときもある<ref>代表例は、第23回[[ジャパンカップ]]勝ち馬の[[タップダンスシチー]]。</ref>。
 
戦術というよりも馬の個性を生かす大逃げの場合は、大別すると