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→‎アフリカ: エイズ感染→HIV感染
 
=== アフリカ ===
AIDSが最も発症蔓延している地域は[[サハラ砂漠]]以南のアフリカ、いわゆる[[ブラックアフリカ]]である。2002年末においては全世界4200万人の患者のうち、アフリカが2940万人(70%)を占める。同年のAIDSHIV新規感染者は全世界で500万人、うちアフリカが350万人。同年のエイズ死亡者は全世界で310万人で、うちアフリカは240万人、77.4%を占めている<ref>「アフリカ経済論」p195-196 北川勝彦・高橋基樹編著 ミネルヴァ書房 2004年11月25日初版第1刷</ref>。このうち中東圏に属する北アフリカではAIDS患者がほとんどいないため、この数値のほとんどはブラックアフリカにおける数値である。中でも患者数が多いのは[[南部アフリカ]]であり、[[南アフリカ共和国]]、[[ナミビア]]、[[ボツワナ]]、[[スワジランド]]、[[レソト]]、[[ジンバブエ]]、[[ザンビア]]の7か国では人口の15%以上が感染している。最も人口に対する感染率が高いのはボツワナであり、2001年末においては成人人口の38.8%がエイズHIVに感染している。この影響により、上図のように南部アフリカ諸国においては1990年代以降AIDSによる死者の急増によって[[平均寿命]]が低下し、ボツワナは20歳以上平均寿命が短縮した。
 
1986年には[[ウガンダ]]が感染率5%を超えていたものの、それ以外に感染率5%を超えるような国はなく、感染者数の多い国もほぼアフリカ中部に限られていた。しかしその後感染者数は増加の一途をたどり、南部アフリカに向かって徐々に[[パンデミック]]は広がっていった。1991年にはウガンダ、ザンビア、ジンバブエで感染率が20%を超え、1996年にはボツワナ、スワジランド、レソトで20%を超え、2001年には上記の状況となったように、感染は急速に拡大していった。
アフリカにおける感染拡大は、他地域と異なり異性間の性行為によるものが圧倒的に多い。これは性的な寛容さや女性の地位の低さなどによると考えられている<ref>「アフリカ 苦悩する大陸」ロバート・ゲスト著 伊藤真訳 2008年5月15日 東洋経済新報社 p106-107</ref>。同様の理由で、他地域とは異なりアフリカのエイズ患者は女性の方が男性よりも多くなっている。また、AIDSに対する知識の低さや迷信、[[貧困]]や[[戦争]]による影響も感染拡大の一因とされている。現在では治療薬によって病状を食い止めることは可能になっているものの、アフリカの多くの国においては貧困のためそれらの治療薬を入手することができない患者が多い。AIDSによる死者は働き盛りの男女が多いため、死亡率が急速に上昇した国々においては労働人口の減少を招き、経済に悪影響を招いている。さらに、親がエイズによって死亡した子供たちは[[孤児]]となり、[[エイズ孤児]]と呼ばれる社会問題となっている。エイズにかかっている親がミルクを購入できないため母乳で幼児を育てざるを得ないため、母乳による母子感染の率も非常に高い。この母子感染による乳児死亡率の激増も、ブラックアフリカ諸国における平均寿命低下の大きな一因となっている。
 
このエイズ禍に対して、アフリカ諸国の政府の多くは有効な手を打つことができなかった。アフリカ諸国の多くは統治力が弱く保健衛生の制度もあまり整っていなかったうえ、パンデミック初期においてはエイズ治療薬の価格が非常に高く、増え続ける患者に行きわたるだけの治療薬を入手することが不可能だったためである。こうした中で、最も早くエイズ対策に取り組んだのは[[ウガンダ]]である。ウガンダは世界で初めてエイズHIVのパンデミックが起こった国家であるが、その後政府はエイズ予防のための様々な政策を実施し、こうしたプログラムが功を奏して感染率は減少した<ref>「アフリカ 苦悩する大陸」ロバート・ゲスト著 伊藤真訳 2008年5月15日 東洋経済新報社 p99-110</ref>。また、[[ボツワナ]]のように患者に対するケアの体制を整えられた国も存在する<ref>「アフリカ 苦悩する大陸」ロバート・ゲスト著 伊藤真訳 2008年5月15日 東洋経済新報社 p178</ref>。ボツワナは2001年末においては成人人口の38.8%がエイズHIVに感染しており、世界で最もエイズHIV感染率の高い国であったが、同年からボツワナ政府はエイズに対する強力な対抗プログラムを実施し始めた。2001年からはアフリカではじめてエイズ治療が公的資金によって行われるようになり、[[2003年]]には一般の健康診断にエイズ検査が盛り込まれるようになるなど、早期発見および治療に重点が置かれた。またこれと並行し、エイズ予防の啓発プログラムも強力に推進された。こうした政策によってボツワナのエイズ死亡率は減少し、感染率も2008年には23.9%にまで減少した<ref>[[池谷和信]]編著 『ボツワナを知るための52章』 [[明石書店]] 2012年 280-282ページ</ref>。また、[[2001年]]にエイズ治療薬の薬価が急激に低下したこともあり、このころからアフリカ各国においてエイズ対策が本格化し始め、新規感染者は徐々に減少の方向に向かい始め、一度は急減した平均寿命もこれに伴い回復の傾向を見せている。しかし一度感染したエイズ患者は完治することはないため、エイズHIV感染者の総数はそれほど減っておらず、依然として相対的に高い感染率となっている。
 
=== 日本 ===
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