「真実の10メートル手前」の版間の差分

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== あらすじ ==
; 真実の10メートル手前
: [[ベンチャーキャピタル|ベンチャー企業]]「フューチャーステア」の社長の早坂一太と、その妹で広報担当の真理が、経営破綻後に失踪する。東洋新聞の記者である太刀洗万智は、真理の妹の弓美(ゆみ)から、真理との前夜の電話の会話データをもらうとともに、真理を捜して欲しいと頼まれる。真理の行方が「おばあちゃんの近く」で、父方の祖母が[[山梨県]]の幡多野町、母方の祖母が[[静岡県]]の[[御前崎]]に住んでいると聞いた太刀洗は、会話データから行き先を幡多野町と推理し、真理の身を案じつつ、記者としての職務を果たすため、後輩の藤沢を連れて幡多野町に向かう。そうして他の報道陣に先んじて真理の居所を突き止めた太刀洗だが、真理が乗っている車まで10メートルに近づいた時、車の窓枠に目張りがしてあるのに気がつく。車に向かって駆け出す太刀洗は、同時に救急車のサイレンの音を聞き取る
 
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; 正義漢
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; 恋累心中
: 桑岡高伸と上條茉莉という[[三重県]]の高校生男女による心中事件は、その地名が恋累(こいがさね)であったことから「恋累心中」と名付けられて世間の耳目を集めていた。心中事件の担当を任せられた『週刊深層』編集部の都留(つる)は、編集長の大貫から月刊誌の[[フリーランス|フリーライター]]・太刀洗万智を[[コーディネーター]]として手配したと告げられる。太刀洗は、昨年起きた三重県の教育委員会や県会議員に爆弾が送りつけられた事件を調べるために恋累に取材に来ていた[[フリーランス|フリーライター]]・太刀洗万智の案内で遺体発見現場に赴いたく。都留は、喉を突いた上條と折れたナイフが見つかった崖の上と、崖の上から飛び込んだ桑岡が見つかった川の下流を見て、共に死のうとした2人が別々の場所で死んだことや、2人の死の手段が異なることに疑問を抱く。さらに、2人の遺書が書かれていたノートの最後の方に、乱れた文字で「たすけて」と記された写真を見せられる。その後、上條の元担任の下滝と2人の部活の顧問の春橋との面談後、太刀洗と別れて記者会見場を訪れた都留は、上條が妊娠していたこと、相手が目上の身内のため親がだんまりを決め込んだこと、上條を助けようと彼女の家や相手の家に乗り込んだ桑岡がぼこぼこにされたことなどの情報を得る。さらに警察発表では、2人からは[[中毒]]反応があり、現場に残されていたワインとコップから[[リン|黄燐]]が見つかったという。つまり、2人は服毒自殺警察発表図ったうえで、桑岡が上條を刺した後、自身は崖から身を投げたというのが事件の構図であった聞く
: 再び太刀洗に合流した都留に彼女は、黄燐を服用しても即死せず、激しい吐き気や嘔吐が8時間以上続く、桑岡は苦しむ上條を安らかに死なせるためにナイフで刺し、ナイフが折れたために桑岡は川に飛び込んだのだと説明する。さらに、2人が黄燐を選んだのは、服用後長い間苦しみ続けるという情報を与えずに、死ぬことができるとだけ教えた人物がいたからだとの推理を話す。
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; 名を刻む死
: 11月7日、中学3年生の檜原京介は学校に行く途中の通りがかりに、近所に住む62歳の男性、田上良造の死体を発見した。発見された田上は、死後3日ほど経過しており、やせ細って胃も空(から)で、衰弱死とも病死とも言える状態だった。警察に部屋を覗いた理由を尋ねられた京介は、ここ数日姿を見かけず気になっていて、また変な臭いがしたからと答えた。生前の田上は、ふだんは迷惑なくらい騒がしく、何かにつけ近所に難癖をつける人物として知られていた。また、秋らしからぬ温暖な日が続く中、警官が到着したときには部屋に臭気が漂っていたことから、京介の証言に警官も記者も納得していた。しかし、京介が部屋を覗いた本当の理由は、そろそろ死ぬのではないかと思っていたからであった。そんな京介の前にフリーの記者・太刀洗万智が現れたのは、死体の発見から20日が過ぎニュースが風化したころであった。太刀洗が京介に尋ねたのは、田上の日記に記されていた「私は間もなく死ぬ。願わくは、名を刻む死を遂げたい」という文章の意味だった。町内の人が田上のことを半ば無視していたのに、彼のことを気にかけていたという京介は、ほかにも何か気づいているのではないかと思ったと説明する太刀洗に、京介は自分の嘘がばれていると悟る。しかし、太刀洗は京介の嘘を問題にせず、知りたいのは田上がどういう性格で、何を大事にしていて、なぜ孤独に亡くなったのかだと言う
: そんな京介の前に現れたフリーの記者・太刀洗万智が京介に尋ねたのは、田上の日記に記されていた「私は間もなく死ぬ。願わくは、名を刻む死を遂げたい」という文章の意味だった。京介は自分の嘘がばれていると悟るが、太刀洗は京介の嘘を問題にせず、知りたいのは田上がどういう性格で、何を大事にしていて、なぜ孤独に亡くなったのかだと言う。
 
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; ナイフを失われた思い出の中に
: 仕事で来日したヨヴァノヴィチは、妹がかつて日本にいたときの尊敬に値する友人・太刀洗万智に、仕事の合間をぬって浜倉市まで会いに来た。仕事で浜倉に来ている太刀洗が観光を勧めるのに対し、ヨヴァノヴィチは彼女の仕事が何かを聞かないまま同行を申し出る。太刀洗はヨヴァノヴィチに記者を名乗り、16歳の少年が3歳の幼女・松山花凜を刺殺した事件を調べていること、さらに事件の詳細を説明した。殺された女の子は松山花凜で母親の良子と2人暮らし、殺害容疑で逮捕されたのは花凜の母親・良子の弟の良和であった。良和は6日前の8月1日、良子の留守中に花凜のはだけた胸に何度もポケットナイフを突き刺しているところを向かいの住人に目撃され、翌々日に逮捕され犯行を自供している。ただし、花凜の上着の行方は不明である。
 
: この単純な事件の調査目的を理解できないヨヴァノヴィチは、自身の不愉快な過去から生じる記者に対する不信感を語る。彼の祖国が戦火に見舞われたときに訪れた記者たちは、一様にあらかじめ一方を悪とする結論を用意して、その結論に沿った報道を行った。一方、ヨヴァノヴィチたちを助けてくれたあるカナダ人は、彼らの結論を知らずに公平であろうとしたために、不公平と罵られ破滅させられた。そして、そうした仕事をどうすれば正当とし、誇りとすることができるのか理解できないと語る。
 
: 太刀洗はその回答として良和の手記を取り出して読む。手記は広く公開され、良和の異常性を示すものとして大きな話題になっ公開されている手記を読む。手記の出所は不明だが、良和を[[少年保護手続#審判|少年審判]]ではなく通常裁判によって裁く必要があると世論を誘導しようとする、警察の人間からの意図的なリークによるものと思われる。一方、花凜の致命傷から繊維が発見され、警察はまだ事件を検察に委ねていないと述べる。
 
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; 綱渡りの成功例
: [[長野県]]南部を襲った未曾有の豪雨により、大沢地区の北端で民家3軒を巻き込む土砂崩れが起こった。1軒は無傷だったが外部との連絡手段を断たれてしまい、そこに住む戸波夫妻は70歳を超えておりいつ体調を崩してもおかしくない状況から、その救出が急務だった。3日後の8月20日、救出劇がテレビでも放送される中、夫妻はようやくレスキュー隊によって救出され、大きな感動を呼んだ。その翌日、消防団員として救出現場に立ち会った大庭の元に、大学時代の1年先輩である太刀洗万智が訪ねて来た。フリーの記者として取材にやって来た太刀洗は訪れ、戸波夫妻の家に生活用品を売っていたのが大庭の実家の大庭商店で間違いないかを尋ねる。戸波夫妻は、孫の顔を見せるために年始の挨拶に訪れた三男が帰り際に残していったコーンフレークを食べて救出までの3日間を凌ぐことができた。太刀洗は、そのコーンフレークのことを知りたがっていた。そして、大庭商店の移動販売が大沢地区を訪れたのは8月10日のことだった。
 
: 大庭は、太刀洗の取材目的が分からないながらも戸波夫妻の取材への同行を申し出る。そして、大庭とともに夫妻に面談した太刀洗が「コーンフレークには、何をかけたのですか?」と尋ねると、主人は顔を石のように強張らせ、その目から大粒の涙があふれ出した。夫妻はコーンフレークに牛乳をかけて食べたが、真夏の暑さの中、牛乳を腐らせないためには冷蔵庫が必要だった。しかし、救出までの3日間、戸波家の電気は引き込み線が切断されたために冷蔵庫を使うことができなかった。
 
== 書誌情報 ==