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[[File:Ascomycetes.jpg|thumb|right|[[アオカビ]]や'''コウジカビ'''を含む様々な[[無菌播種|無菌培養]]された[[菌類]]]]
'''コウジカビ'''(麹黴)は'''麹菌'''(きくきん)ともいい、'''アスペルギルス''' (''Aspergillus'') 属に分類されるごく普通の[[不完全菌]]の一群である。1876年に ''Hermann Ahlburg'' により麹から微生物として分離された<ref>村上英也、[httphttps://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan1915.66.117 アスペルギルス・オリゼーの発見 コウジカビの独立性] 日本釀造協會雜誌 Vol.66 (1971) No.2 P117-121</ref>。このうち一部のものが、'''[[麹]]'''として[[味噌]]や[[醤油]]、[[日本酒]]を作るために用いられてきたことからこの名が付いた。コウジカビは、増殖するために[[菌糸]]の先端から[[デンプン]]や[[タンパク質]]などを分解する様々な[[酵素]]を生産・放出し、培地である蒸米や蒸麦のデンプンやタンパク質を分解し、生成する[[グルコース]]や[[アミノ酸]]を栄養源として増殖する<ref>[http://www.akita-pu.ac.jp/bioresource/dbt/BREW/acquaintance.html 醸造の知識あれこれ] 参考書「改定醸造学」と書いてある。</ref>{{信頼性要検証|date=2012年11月}}。[[発酵食品]]の製造に利用される一方で、コウジカビの仲間にはヒトに[[感染]]して病気を起こすものや、食品に生えたときに[[マイコトキシン]](カビ毒)を産生するものがあり、医学上も重要視されているカビである。
 
学名は、分生子が[[カトリック教会|カトリック]]において[[聖水]]を振りかける道具であるアスペルギルム([[:w:Aspergillum|Aspergillum]])に似ていることから命名された。
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コウジカビは自然界の常在真菌であり、食品を[[腐敗]]させる代表的なカビの一つである。しかし同時に、コウジカビは[[デンプン]]を[[グルコース|ブドウ糖]]に、[[タンパク質]]を[[アミノ酸]]に分解する性質が強く、また種によっては効果的に[[脂肪]]を分解吸収するので、古くから[[酒]]、[[味噌]]、[[醤油]]、[[鰹節]]などの[[発酵]]を利用した食品(発酵食品)の製造に利用されている。このとき、コウジカビを米、米ぬか、麦、大豆などに生やして継代培養したものが利用されており、これを[[種麹]](たねこうじ)と呼び、[[麹]]製造に利用される。
 
;'''''[[:en:Aspergillus oryzae|Aspergillus oryzae]]'' (Ahlburg) Cohn [[ニホンコウジカビ]]:''':(''[[:en:Aspergillus flavus|Aspergillus flavus]]'')から生じた家畜種とされ[[アフラトキシン]]産生能を遺失している<ref name="myco.64.197">加藤直樹ほか、[httphttps://doi.org/10.2520/myco.64.197 麹菌においてマイコトキシン生産を防ぐセーフガードとシクロピアゾン酸生合成機構] マイコトキシン Vol.64 (2014) No.2 p.197-206</ref>。デンプンをブドウ糖に分解する性質に優れ日本酒や[[甘酒]]、[[味醂]]の、タンパク質をアミノ酸に分解する性質が味噌、醤油の製造に利用されている。
:*[[2004年]]に農学博士 [[一島英治]]が[[日本醸造協会]]誌第99巻第2号巻頭随想において「麹菌は[[国菌]]である」と提唱。[[2006年]][[10月12日]][[日本醸造学会]]大会で麹菌(''Aspergillus oryzae'')が国菌に認定された。
:*[[2005年]][[12月]]、[[醸造協会]]、[[酒類総合研究所]]、[[産業技術総合研究所]]、[[食品総合研究所]]、[[東京大学]]、[[東京農工大学]]、[[東北大学]]、[[名古屋大学]]、アクシオヘリックス、天野エンザイム、インテックW&G、大関、[[キッコーマン]]、協和発酵工業、[[月桂冠]]、ヒゲタ醤油の国内16機関で組織する「麹菌ゲノム解析コンソーシアム」と[[製品評価技術基盤機構]]がニホンコウジカビ(''Aspergillus oryzae'' RIB40株)の[[ゲノム]]解読に成功している<ref>[http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2005/pr20051222/pr20051222.html 麹菌のゲノム解析を完了2005/12/22]</ref>。ニホンコウジカビが生産する酵素は、[[タカジアスターゼ]]などとして消化剤にも使用されている。