「恒星時」の版間の差分

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しかし恒星の運動は太陽とは少し異なっている。1日の間に[[地球]]は公転軌道に沿って太陽の周りを少しだけ[[公転]]するため、太陽が再び最も高い高度の位置に来るまでには1回転より少し余分の角度だけ[[自転]]する必要がある。これに対して恒星は非常に遠くにあるため、地球の公転によって恒星の見かけの位置のずれは一般には無視できる(厳密には地球の公転によって近距離の恒星はわずかに動く。[[視差]]を参照のこと)。ゆえに、恒星の高度が一度最も高くなってから再び最も高くなるまでの時間は24時間よりもわずかに短い。平均'''[[恒星日]]'''は86164.091秒(23時間56分4.091秒)である。しかし地球の自転速度が変動するため、理想的な恒星時時計の進度は日常時間の時計の進度を定数倍したものからずれる。実際にはこの差は[[協定世界時]](UTC)と[[世界時|UT1]]の差、UTC-UT1の値として監視されている。このずれは[[電波望遠鏡]]での観測によって計測され、その予報と記録が[[国際地球回転・基準系事業]](IERS)と[[アメリカ海軍天文台]]によって公表されている。UTC-UT1の予報値が[[DUT1]]、実績値がΔUT1とされる。
 
== 定義 ==
恒星時は春分点の[[時角]]として定義される(あるいは、その時に真南に見える星の[[赤経]]としても定義できる)。春分点が[[子午線]]を通過する時、すなわち[[赤経]]0時の線がちょうど頭上にある時にその場所の'''地方恒星時'''は00:00である。'''グリニッジ恒星時'''はイギリス・[[グリニッジ子午線|グリニッジでの子午線]]([[本初子午線]])上で測った春分点の時角である。これ以外の地方での恒星時の値は経度に応じて変わる。東経15度の地点での恒星時はグリニッジ恒星時より1時間進んだ値になる(24時間ずれるとちょうど地球を1周する)。もちろん恒星時は時の単位だけでなく、計測の精度に応じて分・秒あるいはそれ以下の値まで求められる。グリニッジ恒星時とUT1はある定数(1.00273790935)倍だけ異なっている。
 
恒星時を使うと、ある時刻にどの[[天体]]を観測することができるかが容易に分かるので恒星時は[[天文台]]でよく使われる。天体の天球上の位置は(地球上での経緯度と同様に)[[赤道座標]]、すなわち[[赤経]]と[[赤緯]]で[[天の赤道]]に対する相対位置が表されるが恒星時とある天体の赤経とが等しい時、その天体は最も高度が高い位置、つまり子午線通過の位置にある([[正中]])。この時、天体は大気による[[減光]]が最も小さくなり観測に最適となる。
 
== 恒星時の計算法 ==