「賢者の石」の版間の差分

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中世ヨーロッパ錬金術に多大な影響を与えた[[ジャービル・イブン=ハイヤーン]]の説に、[[水銀]]と[[硫黄]]の2要素説がある。その2要素の比率により[[卑金属]]や[[貴金属]]が生じるとした。後に[[塩]]が加わって3要素説が生まれるが、いずれにせよ錬金術師たちは常に水銀に関心を寄せていた。水銀を原料になんらかの反応を繰り返すことで賢者の石ができると考えていたようである。
 
水銀と硫黄の化合物である[[硫化水銀]]には色の異なるものがあるが、代表的なものは赤色を呈する。天然でも産出され[[辰砂]]という(写真)。中国で不老長寿の[[霊薬]]仙丹・金丹の原材料とされた(→[[錬丹術]])。漢字「丹」は辰砂のことで赤色も意味する。
金を創出できなくとも、金メッキ([[めっき|鍍金]])は可能である。金を水銀に融かすと金[[アマルガム]]となる。[[銅]]の表面を磨き上げてから金アマルガムを塗り加熱すると、水銀のみが蒸発して表面に金が残る。この方法は[[大仏]]作成にも使用されている。なお、水銀が蒸発する為、危険性が高い方法である。
 
金を創出できなくとも、金メッキ([[めっき|鍍金]])は可能である。金を水銀に融かすと金[[アマルガム]]となる。[[銅]]の表面を磨き上げてから金アマルガムを塗り加熱すると、水銀のみが蒸発して表面に金が残る。この方法は[[大仏]]作成にも使用されている。なお、水銀が蒸発する為、危険性が高い方法である。
ジャービルは、金を融かすことのできる[[王水]]を発明していた。金を王水で融かし、乾燥させると黄色の粉末、[[テトラクロリド金(III)酸|塩化金酸]]ができる。塩化金酸の水溶液も金メッキの材料となる。銅に塗布すれば表面が[[塩化銅]]となり、代わりに金が析出する。
 
ジャービルは、金を融かすことのできる[[王水]]を発明していた。金を王水で融かし、乾燥させると黄色の粉末、[[テトラクロリド金(III)酸|塩化金酸]]ができる。塩化金酸の水溶液も金メッキの材料となる。銅に塗布すれば表面が[[塩化銅]]となり、代わりに金が析出する。
賢者の石とは黄血塩([[フェロシアン化カリウム]])ではないかとの説もある。黄血塩は家畜の血や皮から[[膠]](にかわ)をとるところで作られる。この黄血塩と[[硫酸]]を混合した液体に金を入れて加熱すると、この液体に金が溶け込む。猛毒であるため近年は避けられているが、シアン化金化合物は電気メッキあるいは無電解メッキ材料のひとつとして現在も使われている。
 
賢者の石とは黄血塩([[フェロシアン化カリウム]])ではないかとの説もある。黄血塩は家畜の血や皮から[[膠]](にかわ)をとるところで作られる。この黄血塩と[[硫酸]]を混合した液体に金を入れて加熱すると、この液体に金が溶け込む。猛毒であるため近年は避けられているが、シアン化金化合物は電気メッキあるいは無電解メッキ材料のひとつとして現在も使われている。
 
金を融かし込んだ溶液に卑金属を漬け、銅線で微弱な[[電気]]を送ると卑金属表面に金が固着する。[[電気鍍金]]である。最古の[[電池]]として[[バグダッド電池]]が古代中近東メソポタミアのごく一部で使われていたとの見解もある。
 
== 錬金に関する伝承==
当然書く人で差はあるが、1:金をとにかく熱することで己と金の両方を高める  2:硫黄と水銀を混ぜ、特定の操作と薬品又はハーブを使う  3:金と銀を結合させる
などがある。ただしどれも信憑性はなく、3は有り得ないこともすぐに分かる。
 
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==インドの賢者の石 ==
南インドのタミル文化に属するシッダ医学では、ムップ(ムン:3・ウップ:塩)と呼ばれる3種の塩から成る薬が賢者の石に相当する。ムップは強アルカリ性(シバ)・中性(サダーシヴァム)・強酸性(シャクティ)の3種の塩を極秘の比率で混ぜることからでき、1)ヴァータムップ:錬金術(レベルの低い金属をレベルの高い金属に変化させる)  2)ヴァイディヤムップ:治癒のためのムップ:もともとある薬に加えることで、その薬をより効果的にし、副作用を減らし、治癒を早め、薬を長持ちさせる  3)カーヤカルパ:服用することで若返りの効果(不老長寿かつ病気の治癒)を得る。また、人体の中で生成されるムップも存在する:4)ヨーガムップ:ヨーガを達成したときに体の中から形成される、甘露の蜜に相当する非常に甘く恍惚とした味で、体全体を若返らせ、すべての分泌器官を活性化させる。
ムップの材料は様々で、人糞、羊水、海水、尿などからとれる塩であったり、ディークシャを受けたフラー土とする説など様々である。
フラー土は現在、製薬時に加えることでその薬の効能を上げるとされ、現在でも実際にシッダ医学の薬の製薬時に使われることがある。※現代は「[[カリ・ユガ]]」の時代とされ、錬金術などに使われるような最高レベルの真のムップは作れないと言われている。
 
== フィクションにおける賢者の石 ==
エリクサーと同様に[[コンピューターRPG]]などでしばしば登場する。本来の錬金術における伝承を再現しているものもあれば、作品独自の定義がなされているものもある。例としては[[アトリエシリーズ]]や[[ドラゴンクエストシリーズ]]など。
* [[アトリエシリーズ]] - 最高レベルの調合品として第1作目から登場。金を調合する際の材料の一つになる
* [[ヴァルキリープロファイルシリーズ]] - 所有者にあらゆる知識を与える伝説の秘宝
* [[スプリガン (漫画)|スプリガン]] - 現代科学では合成出来ない粘土質の物質。オリハルコンあるいは黄金を作り出せる
* [[ドラゴンクエストシリーズ]] - パーティ全体のHPを回復するアイテム。回復量は作品ごとに異なっている
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* [[仮面ライダーウィザード]] - 世界の全てを飲み込み、生と死を逆転させると言われる程の膨大な魔力を秘めた究極の魔宝石
* [[文豪とアルケミスト]] - 稀有な素材を用いて精製される貴重な霊石。文豪の絶筆を一度だけ防ぐことができる。
* [[アルケミスト  錬金術師・コラフラメル]] - [[コデックス]]に賢者の石の製法が書され、それは毎月変化するとされている。
 
== 参考文献 ==