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{{独自研究|section=1|date=2013年11月}}
[[ファイル:Odakyu-HiSE-Door.jpg|thumb|小田急10000形の客用扉。扉内部に階段が2段設けられている。]]
日本の鉄道においても、車窓からの展望をよく見せる目的で、主に[[特別急行列車|特急列車]]や[[観光列車]]・[[団体専用列車]]([[ジョイフルトレイン]])用として、ハイデッカー構造にした鉄道車両が製造されている。
日本において最初のハイデッカー車と思われる車両は、[[1962年]]に登場した[[近畿日本鉄道]](近鉄)の団体列車用[[近鉄20100系電車|20100系電車]]である。この車両は、世界初のオールダブルデッカー車とも言われているが、中間車の1階部分は付随車でありながら電動車に必要な機器で占められており、客席スペースは2階部分と両端の平屋部分のみしかないため、実質ハイデッカー車であった。
 
日本において国内で最初のハイデッカー車と思われる構造の鉄道車両は、[[1962年]]に登場した[[近畿日本鉄道]](近鉄)の団体列車用[[近鉄20100系電車|20100系電車]]である。この車両は、世界初のオールダブルデッカー車とも言われているが、中間車の1階部分は付随車でありながら電動車に必要な機器で占められており、客席スペースは2階部分と両端の平屋部分のみしかないため、実質ハイデッカー車であった。
その後、複数の私鉄や[[日本国有鉄道]](国鉄)・JRで採用されたが、[[2000年]]に[[高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律|交通バリアフリー法]]が制定されて以降は、新車・改造車などのハイデッカー採用例はほとんど無くなった。これは[[車椅子]]など使う、脚が不自由な[[身体障害|身体障害者]]の移動を考慮した場合、段差があるハイデッカーは対応が難しいためとされる。
 
その後[[1980年代]]以降、複数の私鉄や[[日本国有鉄道]](国鉄)・JRで採用され、趣向を凝らしハイデッカー車両登場した。しかし、[[2000年]]に[[高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律|交通バリアフリー法]]が制定されて以降は、新車・改造車などハイデッカー採用するほとんど無くなった。これは[[車椅子]]など使う、脚が不自由な[[身体障害|身体障害者]]の移動を考慮した場合、段差があるハイデッカーは対応が難しいためとされる。
また、法制定以前に登場した車両についても、大規模な車両更新の際にはバリアフリー化が義務付けられていることから、段差を解消することが構造上難しいハイデッカー車は更新対象にならず、早期廃車されることがある。一例として、[[小田急電鉄]](小田急)10000形の更新を行わなかったのはバリアフリー化は困難だったことが原因とされる。[[2005年]]に[[小田急50000形電車|50000形]]の投入で廃車が始まり、登場後25年の2012年3月のダイヤ改正をもって営業運転を終了となった後にほとんどが廃車となり、残った少数が[[長野電鉄]]へ譲渡([[長野電鉄1000系電車]])されている。また、1991年登場のハイデッカー車・ダブルデッカー車を連結している[[小田急20000形電車|20000形]]も同様の理由で、2012年3月のダイヤ改正にて10000形と同時に引退している。一方、10000形・20000形より車齢が高い[[小田急7000形電車|7000形]]は平屋構造で、交通バリアフリー法制定以前にバリアフリー対応工事を行っていた為、[[2018年]]まで運行を続けた。
 
また、法制定以前に登場した車両についても、大規模な車両更新の際にはバリアフリー化が義務付けられていることから、段差を解消することが構造上難しいハイデッカー車は更新対象にならず、早期廃車されることがある。
 
また、法制定以前に登場した車両についても、大規模な車両更新の際にはバリアフリー化が義務付けられていることから、段差を解消することが構造上難しいハイデッカー車は更新対象にならず、早期廃車されることがある。一例として、[[小田急電鉄]](小田急)10000)[[小田急10000電車|10000形]]の更新を行わなかったのは、ハイデッカー構造によりバリアフリー化困難だったことが原因とされる。10000形は[[1987年]]に登場したが、[[2005年]]に[[小田急50000形電車|50000形]]の投入で廃車が始まり、登場後25年の2012年3月のダイヤ改正をもって営業運転を終了となったし、そのにほとんどが廃車となり、残った少数が[[長野電鉄]]へ譲渡([[長野電鉄1000系電車]])された以外は全て廃車となっている。また、[[1991年]]登場のハイデッカー車・ダブルデッカー車を連結している[[小田急20000形電車|20000形]]も同様の理由で、登場後21年の2012年3月のダイヤ改正にて10000形と同時に引退している、少数が[[富士急行]]へ譲渡(富士急行8000系電車)され、残りは廃車された。一方、10000形・20000形より車齢が高い[[小田急7000形電車|7000形]]([[1980年]]登場)は平屋構造で、交通バリアフリー法制定以前にバリアフリー対応工事を行っていたため[[小田急70000形電車|70000形]]に置き換えられる[[2018年]]まで運行を続けた。
 
=== 私鉄 ===
近鉄においては、20100系電車以後の採用は[[1990年]]に製造された[[近鉄20000系電車|20000系電車]]で、先頭車後部の2階建て部分を除いて全車がハイデッカーとなっているが、先頭車前部については展望を考慮し、前方へ進むにしたがって階段状に席を下げている。近年では観光需要に特化し設備を充実させた[[近鉄50000系電車|50000系]]「[[近鉄特急#観光特急「しまかぜ」|観光特急しまかぜ]]」でも編成中の一部、先頭のみにハイデッカーを採用している。この50000系は、近年は珍しくなったハイデッカーを採用されする一方で、車椅子による乗降に対応した平屋構造の車両も連結している。
 
小田急においては「[[小田急ロマンスカー|ロマンスカー]]」と称される特急用車両において多く採用された。[[1987年]]に登場した[[小田急10000形電車|10000形電車]]は、先頭車前部の展望席を除いて全車ハイデッカーであるほか、[[1991年]]登場の特急「[[ふじさん|あさぎり]]」用車両[[小田急20000形電車|20000形電車]]は、相互乗り入れ車両である[[東海旅客鉄道|JR東海]][[JR東海371系電車|371系電車]]で採用された通常の床面高さではなくハイデッカーを採用した(両車(20000形・371系ともダブルデッカーを連結している共通点ある)。
 
[[名古屋鉄道]](名鉄)では、[[1984年]]登場の[[名鉄8800系電車|8800系電車]]で採用したが、1両全体ではなく先頭車の[[展望車|展望席]]がある前部1/3のみであった。このレイアウトは[[1988年]]に登場した[[名鉄1000系電車#1000系|1000系電車]]でも踏襲しているされた
 
[[伊豆急行]]の[[伊豆急行2100系電車|2100系電車]]でも、先頭車前部がハイデッカーとなっているが、近鉄20000系と同様に前方へ進むにしたがって階段状に席を下げている。
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ファイル:Kintetsu-20000Series-01.jpg|近鉄20000系
ファイル:KINTETSU50000 20131029AKU50100 2.jpgJPG|近鉄50000系
ファイル:Nagoya-Railroad-8800.JPG|名鉄8800系
ファイル:Izukyu-2100-Resort-21-2nd-LastRan.jpg|伊豆急行2100系
ファイル:OER 10011 20040803.jpg|小田急10000形
ファイル:OER RSE20000 Asagiri Matsuda.jpg|小田急20000形
ファイル:KINTETSU50000 20131029A.jpg|近鉄50000系
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=== 国鉄・JR ===
国鉄では、[[ジョイフルトレイン]]として1985年に登場した「[[アルファコンチネンタルエクスプレス]]」で初めてハイデッカーを採用し、先頭車の展望席がある1/3前部をハイデッカー構造とした。このレイアウトは、その後登場した「[[ゆぅトピア]]」「[[サロンエクスプレスアルカディア]]」「[[フラノエクスプレス]]」などの多くのジョイフルトレインで採り入れられている。
 
量産車および一般客向けとしては、[[1986年]]に[[国鉄キハ183系気動車#500番台(N183系)|キハ183系500番台]]のグリーン車で初めて採用され、客室部分が全てハイデッカーとなった。側面窓には、屋根まで回り込む大型の曲面ガラスを使用し、広い視界の展望を得られるように配慮されている。以後、国鉄・JRで登場するハイデッカー車は、曲面ガラスの側面窓も一緒に採用されていることが多い。
 
国鉄民営化後、[[1987年]]に[[北海道旅客鉄道|JR北海道]]で登場したジョイフルトレイン「[[トマムサホロエクスプレス]]」では、3両編成全てにハイデッカーを採用した。その後JR化後の[[1988年]]にハイデッカー中間車1両と平屋構造の食堂車1両の2両が増結されたため、編成全てがハイデッカーではなくなった。その後、1998年から<!--利用客減少のため-->前述の2両を編成から外したことにより、再びオールハイデッカー編成となった。
 
国鉄・JRの電車で初めて採用された例は、1988年[[4月10日]]の[[瀬戸大橋線]]開業に伴い新設された[[快速列車|快速]][[マリンライナー]]が新設され、国鉄末期から運用されていた[[国鉄213系電車|213系電車]]に[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]が独自設計して新製・増結したグリーン先頭車である採用された。また、この車両と同じ車体構造をもつジョイフルトレインとして「[[国鉄211系電車#スーパーサルーン「ゆめじ」|スーパーサルーンゆめじ]]」も同時期に製作された。
 
[[東日本旅客鉄道|JR東日本]]では、1990年に特急「「[[踊り子 (列車)#スーパービュー踊り子|スーパービュー踊り子]]」用として登場した[[JR東日本251系電車|251系電車]]が初の採用であり、10両編成のうち先頭2両とグリーン車1両のダブルデッカー3両を除いた7両がハイデッカーである。また、ダブルデッカー通勤車両の[[JR東日本215系電車|215系電車]]は、機器搭載スペースの関係で10両編成中の先頭車2両のみがハイデッカーとなっている。