== 名称の定義 ==
以下の名称は一例である。鉄道事業者によっては、以下と異なる名称を用いている場合もある。
; 工場・検車区など
: 一般的に「工場」と呼ばれる場合が多い。車両の[[日本の鉄道車両検査|重要部検査および全般検査]]・車両の修繕補修などを主に行う。
: [[日本国有鉄道]](国鉄)では工場のほか、工場より職員規模の小さなものを「'''車両所'''」と称した。また[[鉄道管理局#東海道・山陽新幹線|新幹線総局]]が博多に、工場と動力車区の機能を統合した「'''総合車両部'''」を置いた(博多総合車両部)。民営化後複数のJRが同様の現業機関統合を進め、「'''総合車両所'''」の名称を用いた。
; 機関区・電車区・運転区など
: 一般的に「車庫」と呼ばれる場合が多い。車両の[[日本の鉄道車両検査|仕業検査・交番検査]]などを主に行う。工場・検車区ほどではないが多くの留置線・設備を抱え、車両の検修施設を備えており仕業・交番検査を行っている。ここで[[日本の鉄道車両検査|重要部検査・全般検査]]まで行う事業者もある。
: 国鉄では運転関係の現業機関の一つである'''車両検修基地'''及び'''動力車乗務員基地'''として、主に機関車を配置する'''機関区'''<ref group="注">電化区間と非電化区間路線が交わる[[岩見沢運転所|岩見沢機関区]]のように蒸気機関車・ディーゼル機関車を配置する第一機関区と電気機関車を配置する第二機関区に分化したものも多く存在した。また機関車よりも旅客車の配置の方が多かった機関区もある。</ref>、電車を配置する'''電車区'''、気動車を配置する'''気動車区'''の各動力車区と、客車や貨車を配置する'''客貨車区'''・'''客車区'''・'''貨車区'''、車種を問わず配置する'''運転区'''があった。運転区のうち職員規模の大きなものは'''運転所'''と称した。車両の配置がなく動力車乗務員基地の機能のみを持つ区所も少なくなかった。
: このうち客貨車区は国鉄発足後の[[1951年]]、'''検車区'''と'''車電区'''を統合して誕生した。その後列車の動力分散化にともなって動力車区と客貨車区の統合が進められ、新たに「運転区」「運転所」と称した。一方、機関区と電車区・気動車区が統合した場合の新区名は原則として「機関区」に統一された。このほか地方閑散線区の合理化策として動力車区と駅・保線・信号通信区所などを統合した「'''[[鉄道管理局#運輸区・管理所制度|運輸区]]'''」「'''[[鉄道管理局#運輸区・管理所制度|管理所]]'''」が設けられた時期もあった。
: 国鉄民営化前の[[1987年]][[3月1日]]付で、継承会社にあわせて一部の区所で客貨業務の分離と名称が変更され、旅客会社に継承される機関区及び客貨車区を「運転区・運転所」及び「客車区」に、貨物会社に継承される運転区・運転所及び客貨車区を「機関区」及び「貨車区」に改称した。民営化後は各社独自の名称変更が進んでいる。
=== 電留線・留置線 ===
車両を留置するための施設で、車両検修基地や動力車乗務員基地の機能はなく、[[夜間滞泊]]などに使うことが多い。一般の旅客を対象とした案内放送などでは、便宜上これらも「車庫」と表現される場合が多い。
=== JR東日本の場合 ===
JR東日本では2004年から、体制及び設備を見直し車両管理業務を統合する「保全一元化」を進め、工場・総合車両所を「'''総合車両センター'''」に、車両検修基地を「'''車両センター'''」と順次改称している。車両検修基地及び動力車乗務員基地の両方の機能を持つ区所は対象となっていない。
検査項目についての詳細は、[[日本の鉄道車両検査]]を参照。
== 車両基地の設置場所 ==
車両基地の設置場所は、路線の構造や輸送需要、車両[[運用 (鉄道)|運用]]の都合などを考慮して決定される。おおむね路線の起点や終点、輸送需要に大きな段差のできる駅付近に設けることが望ましいが、広大な土地が必要で都市部での新規立地が難しいこと、基地が建設されてからの長い間に輸送需要が変化していることなどから、必ずしも最適な配置になっているとは限らない<ref>『列車ダイヤと運行管理』pp.50 - 51</ref>。
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