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[[1931年]]([[昭和]]6年)、蔵王連峰がまたがる宮城県の[[柴田郡]][[川崎町 (宮城県)|川崎村]]<ref group="注">現在の川崎町。</ref>、[[刈田郡]][[宮村 (宮城県)|宮村]]<ref group="注">現在の[[蔵王町]]の一部。</ref>、[[山形県]]の[[南村山郡]][[蔵王村|堀田村]]<ref group="注">現在の[[山形市]]の一部。</ref>および[[中川村 (山形県南村山郡)|中川村]]<ref group="注">現在の[[上山市]]の一部。</ref>の計4村が[[国土地理院]]に「蔵王山」の読み方を「ざおう'''ざ'''ん」で申請して、これが表記登録された<ref name="kahoku20170701">[http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201707/20170701_53011.html <蔵王山>呼び名「ざおうさん」にして](河北新報 2017年7月1日)</ref>。
 
[[2015年]]([[平成]]27年)4月より、[[噴火警報#噴火警報・噴火予報の区分と基準|火口周辺警報]]を報道するテレビやラジオにおいて「ざおうざん」と連日称呼されたことで、「ざおう'''さ'''ん」の読み方に親しんでいる人々から関係諸機関に対して問い合わせが相次いだ<ref name="kahoku20170701"/>。山形県内8小中学校の校歌の歌詞はいずれも「ざおうさん」という読みで、地元住民には「ざおうさん」のほうがなじみが深いという意見もある<ref name="yamagata-np">{{Cite news|url=http://yamagata-np.jp/news/201702/11/kj_2017021100282.php|title=「ざおうさん」に改名できる?  県内で変更例、関連市町の結束が鍵|newspaper =[[山形新聞]]|date=2017-02-11|accessdate=2017-02-12}}</ref>。また、角川書店や平凡社の地名辞典でも「ざおうさん」と読みを付けている<ref name="yamagata-np"/>。[[2017年]](平成29年)[[6月30日]]の山形市議会6月定例会の本会議において、「ざおうさん」に表記変更を求める意見書が賛成多数で可決された<ref name="kahoku20170701"/>。ただし、「ざおうざん」と呼んでいる地域も一方にはあるとのことであり<ref name="yamagata-np"/>、同日時点で関係自治体の全てが表記変更に同意してはいない。
 
== 地理 ==
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約3万年前に始まり現在まで継続する活動期は、約2万年前まで、約8000年から3000年前、約2000年前以降に3分される。約8000年から3000年前には休止期を挟みながら107mm{{sup|3}}程度の噴出量のマグマ噴火が断続した。約2000年前以降の噴火は、規模は106〜107 mm{{sup|3}}程度と以前の活動期よりも規模がやや小さいが、頻度は以前より多い。
 
蔵王の火山活動について、文献に残る最も古い記録は『[[吾妻鑑]]』に記されている[[1230年]]の噴火である。[[14世紀]]から[[17世紀]]にかけての記録は無いが、活動が全くなかったとは考えにくいとする研究者もいる<ref name="oikawa2013">[https://wwwdoi.jstageorg/10.jst.go.jp/article14863/geosocabst/.2013/0/2013_084/_article/-char/ja/.0_084 及川輝樹、伴雅雄] 日本地質学会 第120年学術大会(2013仙台) セッションID: R3-O-4, {{doi|10.14863/geosocabst.2013.0_084}}</ref>。以下に主な活動を示す<ref>[http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/sendai/212_Zaozan/212_history.html 蔵王山 有史以降の火山活動] 気象庁</ref>。
* [[773年]]([[宝亀]]4年) 噴火 噴火場所は刈田岳?
* [[8世紀|8]]〜[[13世紀]]のいずれか 中規模:水蒸気噴火?→マグマ噴火 火砕物降下。噴火場所は五色岳。複数回噴火。
* [[1183年]]([[寿永]]2年) 噴火 噴火場所は五色岳(御釜)。
* [[1227年]]([[安貞]]元年) 噴火 火砕物降下。
* [[1230年]]([[寛喜]]2年) 噴火 火砕物降下。噴石により人畜に被害多数。
* [[1331年|1331]]-[[1333年]](元弘元-元弘3年) 噴煙? 詳細不明。
* [[1350年]]頃(観応年間) 噴煙? 詳細不明。
* [[1620年]]([[元和 (日本)|元和]]6年)、[[1622年]](元和8年)、[[1623年|1623]]-[[1624年|24年]](元和9年〜寛永元年) 噴火、火砕物降下。鳴動、噴石、降灰。
* [[1630年]]([[寛永]]7年)、[[1641年]](寛永18年)、[[1668年]]([[寛文]]8年)、[[1669年]](寛文9年)、[[1670年]](寛文10年)に噴火。
* [[1694年]]([[元禄]]7年) [[5月29日]] 中規模:[[水蒸気爆発|水蒸気噴火]]?噴火場所は五色岳(御釜)?神社焼失。[[8月30日]][[火山性地震|地震]]、河川毒水化、川魚死ぬ。火山泥流。[[1625年|1625]]-[[1694年]]の活動で御釜が形成された。
* [[1794年]]([[寛政]]6年) 水蒸気噴火。火砕物降下。噴火場所は五色岳(御釜南東に9つの火口生成)。
* [[1796年]](寛政8年)、[[1804年]](文化元年)、[[1806年]](文化3年)、[[1809年]](文化6年)、[[1821年]]([[文政]]3年)、[[1822年]](文政4年)、[[1830年]]([[天保]]元年)、1831年(天保2年)、1833年(天保4年)に噴火。1809,1831-1833 は火山泥流を生じた。
* [[1867年]](慶応3年) 水蒸気噴火?。噴火場所は五色岳(御釜)?鳴動、御釜沸騰、硫黄混じりの泥水が増水し、洪水を起こし死者3名。
* [[1873年]]([[明治]]6年) 1894年(明治27年)に噴火。
* [[1894年]]-[[1895年]](明治28年) 小規模:水蒸気噴火。火山泥流、火砕物降下 噴火場所は五色岳(御釜)。[[2月15日]]に爆発し、鳴動、白煙。御釜沸騰し、川魚被害。[[2月19日]][[3月22日]][[8月22日]][[9月27日|9月27]]〜[[9月-28日|28日]]にも噴火。
* [[1896年]](明治29年) [[3月8日]]、噴煙。8月、御釜にて水蒸気上昇。9月1日、御釜の水氾濫。
* [[1897年]](明治30年) [[1月14日]] 噴煙、鳴動。
* [[1918年]]([[大正]]7年) 御釜沸騰。
* [[1940年]]([[昭和]]15年) [[4月16日]] 小規模:水蒸気噴火。火砕物降下。噴火場所は御釜北東鳥地獄。新噴気孔生成。
以降は、顕著な火砕物降下を伴う活動はなくなり噴気、鳴動群発地震、[[火山性微動]][[低周波地震]]、<ref>[http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/weekly_report/2014/2014w32/2014w32.htm 平成26年 No.32 週間火山概況 (平成26年8月1日〜8月7日)] 気象庁</ref>が断続的に続いている。
* [[2015年]]([[平成]]27年)
** [[4月13日]] [[仙台管区気象台]]は[[火山性地震]]が増えていることから[[噴火警戒レベル]]を1「平常」(当時の呼称)から2「火口周辺規制」に引き上げた<ref>[http://www.jma.go.jp/jp/volcano/forecast_02_20150413133028.html 火山名 蔵王山 噴火警報(火口周辺)]仙台管区気象台、平成27年4月13日</ref>。
** [[6月16日]]9時 噴火警戒レベルが2「火口周辺規制」から1「活火山であることに留意」に引き下げられた<ref>[http://www.jma.go.jp/jma/press/1506/16a/zaozan150616.html 蔵王山の火口周辺警報(火口周辺危険)を解除-気象庁2015年6月16日]</ref>。
** [[11月30日]]5時33分 坊平観測点で地下の熱水などの動きを示すと考えられる[[火山性微動]]が14分余り観測され、気象台は「直ちに噴火に結び付くものではない」としつつ、「長期的には火山活動がやや高まった状態にある」とした<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151130/k10010324201000.html 蔵王山で火山性微動を観測 注意呼びかけ][[日本放送協会|NHK]] NEWS WEB2015年11月30日12時12分配信</ref>。
* [[2018年]]([[平成]]30年)
** [[1月28日]]から[[火山性微動]]が観測され、山頂の南方向が隆起。[[1月30日]][[噴火警戒レベル]]を1から2に引き上げた<ref>[http://www.jma.go.jp/jma/press/1801/30a/zaozan180130.html 蔵王山の噴火警戒レベルを2へ引上げ]気象庁、2018年2月1日。</ref>。3月6日に1に引き下げ<ref>[http://www.jma.go.jp/jma/press/1803/06b/zaozan180306.html 蔵王山の噴火警戒レベルを1へ引下げ]気象庁、2018年3月6日。</ref>。
 
== 人が関わる歴史 ==
[[File:Kattamine shrine at Mt.kattadake.JPG|thumb|250px|名称の由来となった、刈田岳山頂の[[刈田嶺神社 (七ヶ宿町)|刈田嶺神社・奥宮]](宮城県七ヶ宿町)]]
蔵王連峰はかつて[[修験道]]の地だった。[[天武天皇]]の時代に、修験道の開祖[[役小角]](役行者)の叔父に当たる行願が、[[大和国]]吉野の[[金峰山|金峯山]]から現在の蔵王の山頂に[[蔵王権現]]を分祀して修験の地としたと伝わる<ref name="角川山形"/>。あるいは、刈田嶺神社の社伝によれば、[[白鳳]]8年([[679(679]]<ref group="注">[[白鳳]]と[[西暦]]の対応は複数ある。[http://www.miyagi-jinjacho.or.jp/jinja-search/detail.php?code=310010164 宮城県神社庁の記述]では、白鳳8年を天武天皇在位期間中であるとしているため、[[672年]]を白鳳元年とする方が採用されている。</ref>)、役小角が大和国の[[吉野山]]から蔵王権現を不忘山<!-- 昔の不忘山と現代の不忘山は違う山である可能性があり、同一の物と確定して述べるのは危ういと思われます。 -->に奉還し、周辺の奥羽山脈を修験道の修行の場としたとも言われる。
 
近代においては、山形県出身の歌人である[[斎藤茂吉]]が蔵王山を愛した。斎藤は「みちのくに生まれしわれは親しみぬ蔵王のやま鳥海のやま」と歌を詠んでいる<ref name="角川山形"/>。
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近年、蔵王の酪農については[[牛乳]]の消費量低下と価格の底割れで一次産品中心の経営が不安定化しているため、蔵王[[ブランド]]の[[乳製品]]や肉製品などの二次産品開発が進められている。さらに、それらの二次産品を用いたレストランも増えている。また、[[牧場]]を観光牧場化して野外コンサートを誘致したり、キャンプサイト化したりもしている。その他、公衆温泉の改築、蕎麦の特産化など、日帰り客向けの観光開発が進められている。
 
[[2007年]](平成19年)には、「蔵王火山」が[[日本の地質百選]]に選定された。
 
== 観光 ==
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[[File:Zao juhyo.jpg|thumb|none|[[蔵王温泉スキー場]](山形県)]]
}}
[[南東北]]([[仙台経済圏]])の山岳観光地としては、近接する[[福島県]]の[[裏磐梯]]と観光[[コンテンツ]]がやや似通っており、場合によっては競合関係にある。裏磐梯が[[東京]][[資本]]などの域外からの投資が多いため、[[首都圏 (日本)|首都圏]]からの集客にも力を入れているのに対し、蔵王は地元資本が中心であるため、首都圏での営業力がやや弱い。
 
南東北主要[[都市圏]]の内、[[仙台都市圏]]は夏季にあまり暑くならないため[[避暑]]の需要は少ないが、他の[[山形都市圏]]・[[福島都市圏]]・[[郡山都市圏]]などは[[フェーン現象]]で高温となるため、避暑需要がある。[[避暑地]]としては、[[バブル景気]]期に高級化した[[ホテル]]や[[ペンション]]または別荘地が多く、また、[[湖]]や温泉がある裏磐梯の人気が強く、宿泊もする者も多いため客単価が高い。一方、蔵王は仙台から近いため、日帰り客を中心としており、夏季の客単価増が課題となっている。
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秋季は、[[蔵王温泉]]、[[蔵王エコーライン]]沿い、[[三階の滝]]、[[長老湖]]などで紅葉が楽しめる。しかし、紅葉ポイントが分散し公共交通アクセスに難があるうえ、宮城県側では[[鳴子峡]]が最も有名な[[紅葉]]スポットであるため、蔵王では、新[[蕎麦]]などの秋の味覚との組合せで集客を図っている。
 
蔵王連峰はスキーゲレンデが密集する巨大なスノーリゾートとなっている。また、世界的にも珍しい[[霧氷|樹氷]]ができる。スキーや樹氷見物は山形県側の蔵王温泉スキー場が著名で、蔵王樹氷祭りなどのスキーゲレンデを利用したイベントが行われる。宮城県側においては、冬季に雪上車による観光ツアーを行っており、こちらでも樹氷を見学できる。巨大な[[スキー場]]群と温泉がセットになっている山形蔵王が人気であるが、仙台との交通の便が良くなったため、宿泊客より日帰り客の比重が高くなり、客単価が下がっている。日帰りでは仙台からは宮城蔵王の方が近いため、[[ナイター]][[スキー]]では宮城蔵王の方が競争力がある。また、宮城県側では、山形に比べて1つ1つのスキー場が小さいため、[[スノーボード]]に特化した経営やファミリー層向けの[[そり]]用ゲレンデを設定するなど焦点を絞った小回りの利く経営がなされている一方、山形蔵王はその巨大さがかえって焦点を絞りにくくし、商品力の弱さを露呈する形になっている。しかし標高が高く約800mから1400mにゲレンデがあるため、暖冬の年でもすべてのゲレンデが滑走不可になることはまずない。2006年から2007年にかけてのシーズンにおいても全国的な暖冬で新潟、長野周辺のスキー場が苦戦する中、蔵王は豊富な積雪に恵まれたためにツアー客が流れ、バブル経済崩壊以降減り続けていたスキーシーズンの入り込み数が久々に前年を上回った。「樹氷原コース」や「横倉の壁」を初めとした多様なコースと温泉・郷土料理などは、海外、特にスキー熱が高まりつつある[[大韓民国|韓国]]では受け入れられ、毎年韓国人スキーヤーが増加している。そのため、[[ソウル特別市|ソウル]]・[[仁川国際空港]]便が毎日往復している[[仙台空港]]と山形蔵王との間に直行スキーバスを運行し、韓国での営業に力を入れている。今後は、従来からの地元・仙台・首都圏に加え、仙台空港の定期路線がある韓国および[[台湾]]、そして、[[北海道]]で集客が見られる[[オーストラリア]]や[[タイ王国]]もターゲットに入れた営業が進められる。
 
== 交通 ==
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== 参考文献 ==
* 平凡社地方資料センター  『宮城県の地名』(日本歴史地名大系第4巻)  平凡社、1987年。
* 平凡社地方資料センター  『山形県の地名』(日本歴史地名大系第6巻)  平凡社、1990年。
* 角川日本地名大辞典編纂委員会  『角川日本地名大辞典4 宮城県』  角川書店、1979年。
* 角川日本地名大辞典編纂委員会  『角川日本地名大辞典6 山形県』  角川書店、1981年。
* 秋葉隆(編著)  『日本地名大百科』  小学館、1996年。
 
== 関連項目 ==